13. CRY OUT

──「CRY OUT」以降は、怒濤のクライマックスに突入していきます。

物語の流れももちろん汲んでいるんですけど、ライブの流れを意識してここに配置しましたね。MCをやってから「CRY OUT」になだれ込んで、16曲目の「影炎」までずっとボルテージが上がっていくイメージです。

14. SOS

──「CRY OUT」のにぎやかな流れは次の「SOS」にも続きます。

この曲は、小説の中に登場するもう1人の主人公である女の子について歌ってて。彼女は自分の意志とは関係なくチューンナップされるクローンで、“危険体”として見られてるんだけど、その子を助けてあげたいということを歌ってます。

──歌詞の中には「常識も 正論も 善悪の基準も 叩き潰してよ」というフレーズが登場します。SuGのバンド名の由来に通じる気がします。

これは今を生きる人に対してのメッセージでもあって。みんな自分がいる今の場所が正しいかどうか迷うことがあると思うんですよね。

──ええ。それに対しての答えが曲に込められていると。メッセージがシリアスなのに反して、サウンドはポップですね。

ポップに仕上がってますけど、かなり変わった展開らしくて、アレンジをしてくれたHIROKI（Dragon Ash）さんに「めちゃくちゃだね」って言われました（笑）。完全に言葉優先で書いていって、曲を付けた結果できたサウンドですね。

15. 一蓮托生

──こちらは「SOS」に続き武瑠さんが作曲を担当しています。

今回「HELLYEAH」「SOS」「一蓮托生」と自分が作詞作曲をしたんですけど、全部歌詞から書いていったんです。「どうなったっていいや一蓮托生」っていう言葉を歌いたくて、そこにメロディを付けていきましたね。あと「SOS」から「一蓮托生」の流れがセットになっているので、続けて聴いてほしいです。

16. 影炎

──「影炎」は物語のラストを感じさせるようなさわやかなナンバーに仕上がってます。

実はこの曲、活動休止期間が明けたタイミングで出そうと思った曲なんです。陽が当たらない、スポットライトが当たらない場所でもずっとあきらめないでいた自分たちの思いを表したくて。タイトルは、「影の中にいたときも灯していた心の炎」っていう意味です。

17. BLACK

これは完全に小説のエンドロール的な感じですね。「世界と僕 狂ってるのはどっちなんだい？」って言葉が書きたくて。小説のラストが「自分がおかしいのか、世界がおかしいのかわからない」という終わり方になっているのでそれを表現してます。

──リスナーに問題提起するような曲ですが、サウンドもメッセージも“未来”や“次”を予感させるものです。決してバッドエンドではない。

そうですね。

──いろんな要素が入ったアルバムですが、根底には「HEAVY POSITIVE ROCK」が流れている気がしました。さて「BLACK」リリース後のSuGは、どういう方向に向かっていくんでしょうか？

曲は作っているんですけど、具体的なビジョンは見えてないんです。いつもは次、次ってなってたのに、とにかく今は「BLACK」をどうやって聴いてもらうかのほうが大事で。昔はがむしゃらに進んでいくしかなかったけど、独自の道を進みすぎればリスナーは付いてこないし、消えていくバンドになってしまう。だけどその上で、進みたい。

──ただ、今はちょっと立ち止まってみている時期でもあると。

あと自分たちで「SuG Fes」を開催したことで、今度は自分たちのことを知らない人たちのところに戦いにいきたいという気持ちが生まれましたね。ただまずは「BLACK」を聴いてもらいたいです。マニアックなようでいて、全方位に向いているアルバムなんで。