音楽ナタリー PowerPush - SuG

武瑠が掲げる原点回帰の「パンクス '14」

やってないことに挑戦しないと復活した意味がない

──そもそも、なぜこのタイミングでパンクスというキーワードが出てきたんですか?

武瑠(Vo)

活動再開してから、これがウケるとかそういうことを考えずに単純に自分が一番得意なもの、原点に戻ろうという話が出て。俺の中の原点というと、いわゆる直系の先輩ではHYDEさんとか清春さんとかなんですけど、その前はいろんなジャンルをぐちゃぐちゃに混ぜて聴いてたんです。それこそGreen DayとかSum 41とかSex Pistolsとかも聴いてたし、曲はそうでもないけどイギー・ポップは存在が好きだったし。それでいてJ-POPも好きっていう。そういうめちゃくちゃな自分を一言で言い表そうと考えたときに、俺は音楽性じゃなくてスタイルとしてパンクが好きなんだって気付いて。ただドキドキしたいだけっていう……それがパンクなんだとしたら、それを今のSuGがやったらどうなるのかなと。結局、音楽でもファッションでもデザインでも映像でもライブでも、全部自分がドキドキしたいだけ、ワクワクしたいだけ。その初期衝動の大元の部分を出したいなと思った結果なんです。

──なるほど。でもキャリアを重ねれば重ねるほど、そういった初期衝動を表現するのって難しくなることもあると思いますが?

そうですね。でもSuGの場合はやってないことに挑戦しないと、復活したことに意味がないのかなって。だったら復活しないほうがよかったと思うし。

──活動休止以前と同じことをするんだったら復活しなかったと?

そうですね。だからその難しいと思われることに挑戦するのに意味があるんだと思うんです。

シングルを重ねるごとにアップデートされている

武瑠(Vo)

──やってないことに挑戦するという意味では、2012年のアルバム「Lollipop Kingdom」を発表して以降のSuGからは、「脱・それまでのSuG」じゃないですけども、それまでのSuGのパブリックイメージから少しずつ「外れよう」「新しい側面を見せていこう」という意思が感じられました。その意識は「MISSING」以降、どんどん強くなっている。これはある意味、活動休止前の「続き」と捉えることもできると思うんです。

延長っていう意味ですか?

──はい。ここに進みたかったのかなって。特に復活後の3作を聴いてより強く感じました。

そうですね。挑戦という意味では、なんとなく「Lollipop Kingdom」でつかめた感じはあったんです。「あ、これは誰にも真似できない、オリジナルだな」って。「sweeToxic」(2012年9月発売のシングル)もまさにそうでしたね。だから「Lollipop Kingdom」と「sweeToxic」は制作物に対しての希望をくれたし、これは次のアルバムが相当すごいことになるぞという、手応えもあったんです。「sweeToxic」レベルの曲が10数曲入ったアルバムができたらヤバいなって。実際、現時点でまだシングル5、6曲は出せるくらい、シングル向けの楽曲が手元にあって、「これを全部アルバムに入れたらどうなるんだろう? 確変アルバムなるんじゃないかな?」と思うんですよね(笑)。

──前回のインタビューでも武瑠くん、活動再開後にyujiくんがたくさん曲を持ってきた結果、シングルにしたい曲がたくさんあると言ってましたもんね。

うん、そうですね。曲数が尋常じゃないんで選曲が本当に大変で。5、600回は聴いたのかな。本当にヤバいくらい聴いて、どれが正解なのかわからなくなってきました(笑)。だけど来年のアルバムに向けてシングルを出すと考えたら、今手元にあるものとはまた違う曲を作らなきゃいけないと思うんですよ。俺たち自身もシングルを重ねるごとにアップデートされているんで、それを表現するためには新たに書き下ろした曲も必要だなって。

武瑠(Vo)

──アップデートという話に関連しますが、「MISSING」を初めて聴いたときに「活動休止前よりもレベルアップした、すごい曲で復活したな」と思ったんです。でもそのあとに「B.A.B.Y.」「CRY OUT」と、「MISSING」の記憶が薄れるぐらいにクオリティの高い楽曲が次々に届けられてるという。この作品ごとにアップデートされてる感じが、今のSuGを象徴している気がします。

自分たちでもそれは感じていて、特にライブを続けることでレベルアップしてると思うんです。復活後はお客さんからダイレクトに刺激を受けて、そこで自分たちも成長して曲に反映していく。リアルタイムでレベルアップしてる感じが作品ごとに出てますよね。実際、活動休止前に「たぶんこの曲で復活するんだろうな」って考えてた曲が3曲があったんですけど、今のところ1曲も使われてないんです。活動再開を決めてから「MISSING」や「CRY OUT」ができて、「こっちのほうがいい!」ってことになって。

──それにしても、ここまでのシングル表題3曲を聴く限りではジャンルがかなりバラバラだし、これがどうアルバムに収束されていくのかが気になるわけですが。

本当にスゴイですよ。なんて言うんだろうな……月並みないい方になっちゃうけど、“ミクスチャー”としか言いようがない。いろんなものが混ざり合ってるのにJ-POP感が強くて……いわゆるアイドル音楽的なミクスチャーとはまた違いますね。ものすごく独特なアルバムになると思います。ドポップに感じる人もいるだろうし、逆にめちゃめちゃ重いアルバムと感じる人もいるかもしれない。ヒップホップって思う人もいればパンクって思う人もいるし、J-POPって思う人もいる。そういう、ものすごく多角的なアルバムになりそうです。

ニューシングル「CRY OUT」2014年11月19日発売 / ポニーキャニオン
初回限定盤A[CD+DVD] 1890円 / PCCA-04116
初回限定盤B[CD+DVD] 1890円 / PCCA-04117
通常盤[CD] 1000円 / PCCA-70415
初回限定盤A CD収録曲
  1. CRY OUT
  2. 39GalaxyZ -Rebirth version-
初回限定盤A DVD収録内容
  1. CRY OUT -Music Video-
  2. CRY OUT -Music Video Shooting OFFSHOT-
初回限定盤B CD収録曲
  1. CRY OUT
  2. heavy+electro+dance+punk -Rebirth version-
初回限定盤B DVD収録内容
  1. CRY OUT -Music Video Band Only Ver.-
  2. LIVE in Thailand
通常盤 CD収録曲
  1. CRY OUT
  2. Nevermind
ライブ情報
SuGフェス-2014 冬-
  • 2014年11月21日(金)東京都 渋谷CLUB QUATTRO
    <出演者>
    SuG / バンドじゃないもん! / 0.8秒と衝撃。 / jealkb
SuG TOUR 2014「WE CRY OUT HELLYEAH」
  • 2014年12月19日(金)大阪府 梅田CLUB QUATTRO
  • 2014年12月20日(土)愛知県 THE BOTTOM LINE
  • 2014年12月22日(月)東京都 LIQUIDROOM
SuG(サグ)

2006年に結成された5人組ロックバンド。現在のメンバーは武瑠(Vo)、masato(G)、yuji(G)、Chiyu(B)、shinpei(Dr)。バンド名はスラング「Thug」に由来し、「周りの意見を気にせずに自分たちの思ったとおりに進む人たち」「悪友」という意味を持つ。結成当初より「HEAVY POSITIVE ROCK」というコンセプトを掲げ、前向きなメッセージを乗せたキャッチーな楽曲で人気を博す。2010年1月、シングル「gr8 story」でメジャーデビュー。メンバー全員が作曲を行い、作詞とそれに基づいた世界観、PV、衣装などのアートワーク全般を武瑠が手がける。また、武瑠は2012年1月には初の著書「TRiP」も刊行し話題を集めた。2012年10月に突然の活動休止を発表し、同年12月29日の国立代々木競技場第二体育館でのライブをもってバンド活動を休止。その後はメンバーそれぞれ独自の音楽活動を続けていたが2013年9月20日、東京・原宿でサプライズライブを行い活動再開を宣言。同年12月に国立代々木競技場第二体育館で復活ライブを行った。2014年に入ると2月に「MISSING」、7月に「B.A.B.Y.」とシングルを立て続けに発表。同年8月には多ジャンルにわたるアーティストをゲストに迎えた主催イベント「渋谷 SuG Fes 2014 夏」を3日間実施した。そして11月、復活後3作目のシングルとなる「CRY OUT」をリリース。