ナタリー PowerPush - SuG
武瑠「Lollipop Kingdom」全曲解説
01「Lollipop Kingdom」解説
──ではここからは、「Lollipop Kingdom」の収録曲について武瑠さんに解説してもらいたいと思います。まずオープニングのアルバムタイトル曲から。
yuji(G)が作ってきた曲に対して俺が「アルバム冒頭のSEにしない?」って話して。結果的にサビまでをSEにして、サビから全員で演奏して歌うスタイルにしようってことになったんです。これはライブでもその形でやろうと思ってるんですけど、BメロまではSEとして流して、その間にメンバーがステージに登場する。そしてサビからバンドの演奏がスタートするというアプローチが、ちょっとロックミュージカルっぽくて面白いなと思って。
──このアイデアはどこから?
去年ニューヨークに行ったときにブロードウェイでミュージカルを観て、こういうアプローチもいいなって。俺はSuGのアルバムを誰かがミュージカルにしてくれたらいいなと思っていて、そのへんも意識しつつ曲順も考えてるんです。だから1曲目の「Lollipop Kingdom」は物語の導入でありSEであると。
──アルバムのストーリーが少しずつ明かされていくわけですね。
で、そのストーリーは、お菓子の国とおもちゃの国が対立してる中、両国のお姫様と王子様が恋に落ちる話なんですけど、実は2人をくっつけるための八百長の戦争で、それ自体が国の行事なんです。
──あ、そういうことなんですね。
はい。2人が15歳になるとその戦争の脚本が動き出すんです。面白いことが始まるぞみたいな。それをゴーストたちは「Yum Yumな(おいしい)こと」と呼んでいて、これから始まるワクワク感が曲に詰め込まれてます。今、このアルバムのストーリーを元にした小説も書いてるんですけど、まあ小説の序章ですよね。この曲と次の「Pastel Horror Yum Yum Show」は、ゴーストたちが騒ぎ出しているところが描かれています。
02「Pastel Horror Yum Yum Show」解説
──続く「Pastel Horror Yum Yum Show」はめまぐるしい展開の楽曲です。シンフォニックメタルっぽさのあるAメロから、サビでヒップホップ調アレンジに一変するという。ジェットコースターみたいな起伏の激しさがありますね。
これは単純に面白い曲だと思います。歌詞にポップさを出したくて、あえて「パステル」「ホラー」「ヤムヤム」「フォーチュンクッキー」「ストロベリー」といった単語をたくさん使ってかわいくして、複雑に変化する曲の取っつきにくさを和らげたつもりです。単純にディズニーの曲みたいにかわいいって言ってくれる人もいるだろうし、逆にアレンジの奥まで聴いてくれてる人もいるだろうし。SuGを1曲で2度楽しめるみたいなスタンスをわかりやすく出せた曲じゃないかなと思います。
──オープニングの2曲からは何か新しいことが始まるなっていうワクワク感はすごく伝わってきます。
「Lollipop Kingdom」はお菓子の国、おもちゃの国、ゴーストという3大勢力がからみ合っていく物語なんですが、アルバムの冒頭ではこの3者がそれぞれ物語の導入部を語っていて。最初の2曲はゴーストの視点で物語が進行していて、続く「☆Gimme×Gimme☆」「Toy Soldier」がお菓子の国、おもちゃの国のエピソードになります。
03「☆Gimme×Gimme☆」、04「Toy Soldier」解説
──3曲目はシングル曲の「☆Gimme×Gimme☆」。ここでストーリーがお菓子の国編に移るわけですね。
この曲はBメロでドラムがちょっと複雑なプレイをしてるんですけど、そういうところに気付かなくてもメロディがポップなので十分に楽しめる。どんなにマニアックなプレイやアレンジを取り入れても、メロディと言葉のキャッチーさで全然押し通せるという今までの経験があるんです。だから今回、「Pastel Horror Yum Yum Show」みたいなチャレンジもできたんだろうなって。
──確かに、メロディだけではなく歌詞も耳に残るフレーズがたくさん並んでいると思います。
歌詞ではいつも特殊な言葉遣いをしているけど、メロディに合わせて書き替えることも多いんですよ。そのへんは意外と音とのバランスを考えていて、音がマニアックすぎるときはメロディと歌詞がぶつかり合わないようにするし、「☆Gimme×Gimme☆」のような曲ならサビをみんなが歌えるようなフレーズにするし。あとは歌詞カードを読んでも楽しいと思ってほしくて、1番で「カッコつけなくていい」と歌ってるところを、2番では「()つけなくていい」って表記するとか、いろいろ遊びも取り入れてます。だから、多面的にいろんな楽しみ方があるバンドなんだということに気付いてほしいし、それがゆっくりでもいいからリスナーに伝わっていったらいいな。全部伝わるのは時間がかかると思うんですけど、やりがいがあるし、ほかのアーティストがなかなか選んでない道だと思うんで。総合的なアートを目指したいんです。
──なるほど。そして「Toy Soldier」ではおもちゃの国について歌っているわけですが。
「他人の分まで傷つく程 ぼくら強くできちゃいないだろう? 地球の裏側の誰かより そう君を抱きしめてギュッとして 守りたいだけ」っていう歌詞は、マザー・テレサの言葉で「自分の国が厳しい状況のときに、外の国を助けに行く人は自分のことを良く思われたいだけの人です」に通ずるものがあるなってあとで気付いて。この曲自体は東日本大震災より前にあったものなんですけど、さっきのフレーズは震災後に出てきたんです。そこも「ときどきすてきなこのせかい」に通じていて、人間は不完全っていう言葉を象徴してるメッセージだなと思いました。
CD収録曲
- Lollipop Kingdom
- Pastel Horror Yum Yum Show
- ☆Gimme×Gimme☆
- Toy Soldier
- No! More! War!
- crispy.
- Howling Magic
- sleazy ARMY blood
- yellow strider
- SWEET COUNT DOWN -Album Ver.-
- きたないことば
- 不完全Beautyfool Days
- DOKI DOKI TV CREW
- Fancy Cake Yum Yum Show
DVD収録内容
- 「Pastel Horror Yum Yum Show」Music Video
- 「Lollipop Kingdom」メンバーインタビュー
- 39GalaxyZ only Live ADDICT Vol. 1(FC限定ライブ@恵比寿Liquid Room / 2011.12.24)
- Chakulza CM映像
- Chakulza CM撮影舞台裏 in Thailand
ブックレット
「Lollipop Kingdom -episode 0-」
グッズ
SuG特製トレーディングカードホルダー(過去のトレカが収納できる“武瑠デザイン”のカードホルダー第2弾)
CD収録曲
- Lollipop Kingdom
- Pastel Horror Yum Yum Show
- ☆Gimme×Gimme☆
- Toy Soldier
- No! More! War!
- crispy.
- Howling Magic
- sleazy ARMY blood
- yellow strider
- SWEET COUNT DOWN -Album Ver.-
- きたないことば
- 不完全Beautyfool Days
- DOKI DOKI TV CREW
- Fancy Cake Yum Yum Show
- ときどきすてきなこのせかい ※通常盤のみ収録
[初回限定盤] DVD収録内容
- 「Pastel Horror Yum Yum Show」Music Video
- 「Pastel Horror Yum Yum Show」Music Video撮影メイキング
- 「Howling Magic」Music Video
- 「Howling Magic」Music Video 撮影メイキング
[初回限定盤] フォトブック
「Lollipop Kingdom」(全20P)
[通常盤] 特典
初回生産分封入:トレーディングカード(全10種のうち1種)
SuG(さぐ)
2006年に結成された5人組ロックバンド。現在のメンバーは武瑠(Vo)、masato(G)、yuji(G)、Chiyu(B)、shinpei(Dr)。バンド名は黒人のスラング「Thug」に由来し、「周りの意見を気にせずに自分たちの思ったとおりに進む人たち」「悪友」という意味を持つ。HEAVY POSIVIVE ROCKというコンセプトを掲げ、前向きなメッセージを乗せたキャッチーな楽曲で人気を博す。2010年1月、シングル「gr8 story」でメジャーデビュー。メンバー全員が作曲を行い、作詞とそれに基づいた世界観、PV、衣装などのアートワーク全般を武瑠が手掛ける。また、武瑠は俳優として2009年春公開の映画「ビートロック☆ラブ」に出演。2010年3月には自身のファッションブランド「million $ orchestra」を立ち上げ、同年12月発売の女性ファッション誌「KERA」では表紙を飾った。さらに、2012年1月には初の著書「TRiP」も刊行し話題を集めた。