「Winding Road」は今も完璧

──5曲目の「Winding Road」もSPYAIRらしい曲ですよね。スケールが大きくて、とにかくメロディがよくて。

UZ　ありがとうございます。「Winding Road」はインディーズのときからあった曲なんですよ。タイアップの話をもらうたびにこの曲を候補に挙げてたんだけど、ことごとく採用されなくて。3rdアルバム以降に出すつもりはなかったから、絶対にここで入れようって。

KENTA　思い入れも強い曲です。

IKE　うん。これ、アルバムの最後にレコーディングしたんですよ。インディーズ時代に河口湖のスタジオで録音したときのことを思い出したり──エンジニアさんは同じ人だったんですよ──そのときのイメージと重ねながら歌って。そういう特別な曲を今のプレイで録音できるっていうのは、素晴らしいですよね。

──“集大成”というテーマにもぴったりだし。

IKE　うん。歌詞も変えてないし、アレンジも大きく変えたわけではなくて。それもすごくよかったですね。

MOMIKEN　この歌詞を書いたのは3年くらい前で。書き終わったときはいつも「完璧だ」って思うんですけど、しばらくすると穴が見えてきたりするんですよ。でも「Winding Road」に関しては、今も「完璧だな」って思えるというか。今でも最高だと思えるのは、自分にとってもすごくうれしいことですね。

──ここでアルバムに収録できたのは、バンドにとっても大きいんじゃないですか？

IKE　まさにこのタイミングだったんですよね、ホントに。

UZ　結果論だけど、ここでレコーディングできて一番よかったと思います。メンバーのスキル、気持ちの成熟も含めて、素晴らしい「Winding Road」になりました。

バカみたいじゃなくて、バカなんです（笑）

──でも、そのあとには「Are You Champion? Yeah!! I'm Champion!!」というバカみたいなタイトルの曲が入ってるっていう。

IKE　バカみたいじゃなくて、バカなんです（笑）。

──ギャルたちがコーラスしてるパーティチューンですからね。

UZ　ギャルの声、デモの段階ではサンプリングで入れてたんですよ。それもレコーディングでわざわざ録り直して。

IKE　日給○千円って言ってたよ。

UZ　意外と高給取りだな（笑）。でも、ギャルの声に救われるんですよね、アルバムの流れで聴くと。同じボーカルの声でずっと歌われると、どうしても疲れるんですよ。こういう耳休めみたいな曲あると、アルバム全体の構成もよくなるんじゃないかなって。

IKE　軽くDISられてる気もしますけど、僕も同意します（笑）。

──（笑）。こういうパーティ感も、SPYAIRのライブの魅力だと思います。エレクトロテイストの「Supersonic」も印象的でした。この曲でラップしてるのは……。

UZ　俺です（笑）。サビにだけIKEの声を使うのも、面白いんじゃないかなって。もともとエレクトロも大好きだし。

IKE　これも耳休めになる曲だと思うんですよね、いい意味で。ライブでも遊べるだろうし、すごく楽しみですね。

──「アタマ空っぽにして楽しめ！」っていう曲ですからね。

MOMIKEN　楽しかったですね、この曲の歌詞を書くのは。曲を鳴らしている状況だったり、そこに広がってる景色を想像しながら、ペンを止めないで一気に書いたんですよ。

UZ　ただ、このトラックはめちゃくちゃ賢い感じですけどね（笑）。かなり精密に作り込んでるので。

地盤はできてる

──アルバムのラストを飾る「16 And Life」についても聞かせてください。これはもちろん、最後の曲というイメージで作ったんですよね？

UZ　はい。最後の曲は、温かくて落ち着ける曲にしたかったんですよ。アコースティックで、耳触りがよくて……。

MOMIKEN　ホッとする感じですよね。全部を許せるというか。

IKE　この曲でホッとしてもらって、また1曲目に戻ってほしいんですよね。サイレンが鳴り響く感じで（笑）。

UZ　「虹」で終わってもキレイなんだけど、「もう1回聴こう」とは思わないんじゃないかなって。

IKE　やっぱりリピートしてもらいたいですからね。

──まさに狙い通りのアルバムになりましたね。あとはもう、これをリスナーに届けるだけっていう……。

IKE　地盤はできてると思うんですよ。いろいろなところに出て行ったし、「名前だけは知ってる」とか「1、2曲は聴いたことある」っていうところまでは来たっていう手応えはあって。優位な位置にいるんだから、ここでいいアルバムを出せば、反応しやすいんじゃないかな。アルバムのできにも自信を持ってるし、リリースのタイミングもいいと思うし。

UZ　“ここを逃したら……”ということですよ。

IKE　そう、“ここ”なんですよ。大丈夫だと思ってますけどね。このアルバムを聴いて「ダメ」って言われたら、それ以上、何を言ってもしょうがないっていう……そこまで腹を括ってるので。

UZ　3枚目のアルバムだし、数字を残さないといけないと思うんですよね。かと言って、媚びるつもりも全然なくて。自分たちが満足できるアルバムができたし、これが売れなかったとしても、「そういうことなんだな」って受け入れる覚悟もあるんですよ。

──このアルバムがホントにミリオンになったら……。

KENTA　すごいですよね。

MOMIKEN　とんでもないストーリーですよね。

IKE　ロックバンドが増えますよ。

UZ　うん、時代が変わるね。

IKE　まずは届けたいですね、ホントに。タイトルを見て「あいつらバカだな」でもなんでもいいので、とにかく聴いてほしいなって思います。