ナタリー PowerPush - SPYAIR
覚悟と決意の3rdアルバム「MILLION」
ここでようやくドラマーになれた
──アルバムの制作は順調でした?
UZ はい。制作に対するモチベーションが高かったんですよね。意欲が萎えることもなく、しっかり追求できたというか。シングルのタイアップに関しても、最初の設計図からブレないで作れたんですよね。もちろん、タイアップする作品からの要望もあったんだけど、あくまでも最初に決めた設計図の範囲の中でやろう、と。
IKE プリプロもしっかりやれたし、いつもよりも完成形がはっきり見えてたんですよね。だから妙にストイックになり過ぎることもなかったし、すごくスムーズでした。
KENTA 今回のレコーディングによって、さらに成長できたと思うんですよね。僕も「ここでドラマーとしての自分を発揮したい」と思ってたし……。今までのレコーディングの中で、自分の音をしっかり乗せられたと思えるものは1本もなくて。
──多少後悔が残ってた?
KENTA 多少どころではないですね。エンジニアさんを含め、周りの人たちに助けてもらって、それなりのカタチにはなっていますけど、自分としては全然納得できてなくて。でも、今回はしっかり乗せられたと思うし、ここでようやくドラマーになれたかなって。
UZ さっきも話に出てましたけど、去年の10月から取り掛かってますからね。アルバムのレコーディングが今年の6月にあることも決まってたし、そこに狙いを定めて、それぞれがスキルを上げて。……今までにない達成感がありますね、本当に。
IKE うん。11曲全部で「これがSPYAIRです」って堂々と言えるアルバムになったと思います。
歌詞も曲も抜くところは抜く
──1曲目の「OVERLOAD」から、ものすごい勢いですよね。SPYAIRの世界観が一気に広がっていくパワーがあって。
UZ 「サイレンを高らかに鳴らして、進んでいこう」っていう曲ですね。アルバムの1曲目ということは、おそらくライブでも1曲目になるだろうと思っていて。「Say Wow Wow Wow」というわかりやすい掛け合いもあるし、会場の温度も一気に上がるんじゃないかなって。
MOMIKEN 歌詞の中で難しい言葉も全然言ってないですからね。だって「デカい地図を広げて」とか、バカじゃないですか(笑)。まあ、「MILLION」っていうタイトルもそうなんだけど。
──この曲に限らず、アルバム全体を通して歌詞もすごくシンプルですよね。誰にでもわかるフレーズをズバッと歌う、というか。
MOMIKEN そうですね。今回は全体的に思想的なものをできるだけ抜いてるんですよ。それは音楽を純粋に気持ちよく聴いてもらうためでもあるし、本当に伝えたいメッセージを引き立てるためでもあって。全部ストライクを狙うというか、自分たちの思想みたいなものを詰め込み過ぎると、逆にメッセージが伝わりづらくなるんですよね。
UZ それは曲も同じですね。すべてのメロディをきっちり作り込み過ぎると、それが当たり前になるというか、ちょっと麻痺しちゃう感じがあって。今回、抜くところは抜いてるんですよ。Aメロに関しては、なんとなく歌ったメロディをそのまま生かしたりすることもあったし。そうすることで、本当に聴いてほしいサビのメロディがしっかり印象に残るんですよね。
“ザ・SPYAIR”を目指した
──なるほど。ヘビーなサウンドを全面に押し出した「Turning Point」もインパクト十分でした。
UZ 「サクラミツツキ」のカップリング曲なんですけど、これも最初から設計図の中に入ってたんですよね。自分たちのもともとのスタイルというか、ヘヴィロックをこよなく愛していた自分たちの匂いもちゃんと残したかったので。
IKE そうだね。
UZ ヘビーなリフやグルーヴを強調した曲というか。正直、そういう曲を作るのは飽きてるんですけど(笑)、そこから自分たちの音楽が始まったことは誇りに思ってるし、全然恥じていないので。昔は朝からKORNを爆音で聴いてたりしてましたからね。
KENTA 聴いてたねー(笑)。
IKE あのときは、それがよかったんだよね。
──嗜好する音楽が変化するのも、自然なことですからね。
UZ そうっすね。LINKIN PARKの3rdアルバム(「Minutes to Midnight」)は死ぬほど聴いてたけど、次のアルバム(「A Thousand Suns」)のときは「リンキン、変わったわ」って思ったし(笑)。
IKE ちょっと裏切られた感じね(笑)。俺らも言われますよ。「また『サムライハート(Some Like It Hot!!)』みたいな音を鳴らしてください」とか。
UZ それは2ndアルバムのときにイヤというほど味わいましたね。こっちは「マジでグッとくる曲ばっかりじゃん」と思ってたんだけど、「SPYAIR、変わった。1stのほうがよかった」っていう声がけっこうあって。求めてるイメージは1人ひとり違うんですよね、やっぱり。
──それに応えることも必要でしょ?
UZ そうですね。だからこそ、こういうアルバムを作ったんですよ。“ザ・SPYAIR”ですからね、「MILLION」は。
- ニューアルバム「MILLION」/ 2013年8月7日発売 / Sony Music Associated Records
- 初回限定盤A[CD+DVD] 3500円 / AICL-2557~8
- 初回限定盤B[CD2枚組] 3300円 / AICL-2559~60
- 通常盤[CD] 2800円 / AICL-2561
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CD収録曲
- OVERLOAD
- Turning Point
- 現状ディストラクション
- サクラミツツキ
- Winding Road
- Are You Champion? Yeah!! I'm Champion!!
- STAND UP
- Supersonic
- 雨上がりに咲く花
- 虹
- 16 And Life
初回限定盤A DVD
- WENDY ~It's You~(MUSIC VIDEO)
- サクラミツツキ(MUSIC VIDEO)
- 虹(MUSIC VIDEO)
- 現状ディストラクション(MUSIC VIDEO)
- OVERLOAD(LIVE)
- ジャパニケーション(LIVE)
- 0 GAME(LIVE)
- サクラミツツキ(LIVE)
初回限定盤B CD
- STAR
- WENDY ~It's You~
- Blowin'
- Rock This Way(SEAMO×SPYAIR)
- 0 GAME(80KIDZ Remix)
- I miss you(Acoustic ver)
SPYAIR(すぱいえあー)
IKE(Vo)、UZ(G, Programming)、MOMIKEN(B)、KENTA(Dr)の4人からなるバンド。全員が愛知出身で、2005年に結成される。地元名古屋の野外ライブでキャリアを重ね、デビュー前の2010年6月に行った100本目の野外ライブでは2000人の観客を集める。同年8月、ソニー・ミュージックアソシエイテッドレコーズからメジャーデビューシングル「LIAR」をリリース。その後も4枚のシングルを発表し、並行して精力的なライブ活動を展開する。2011年9月に1stフルアルバム「Rockin' the World」をリリース。同年10月には日比谷野外大音楽堂で初のワンマンライブを敢行した。2012年6月にリリースした映画「アメイジング・スパイダーマン」日本版テーマソング「0 GAME」が話題となる。同年12月18日には初の日本武道館ワンマンライブを開催。チケットは完売し、このライブをもってDJ ENZEL☆が脱退した。2013年3月、4人体制で初となるシングル「サクラミツツキ」を、7月3日に映画「劇場版銀魂 完結篇 万事屋よ永遠なれ」の主題歌「現状ディストラクション」を発表。8月に3rdアルバム「MILLION」をリリースする。