ナタリー PowerPush - SPYAIR

猛攻モード全開! “現状打破”シングル完成

もう1回野音でやりたい

──これまでのキャリアを振り返って、「かなり高いところまで来た」って思ったりはしない?

IKE そうですね……。例えば、ライブ会場がちょっとずつ変わっていくじゃないですか。路上から始まって、ライブハウスに出るようになって、動員が500人、1000人、3000人と増えていって、武道館では1万人が集まってくれて。そうやって景色が変わっていくと、少しは前に進んでるのかなって思うこともあります。

KENTA 武道館もはるか昔のことみたいだけどね。

IKE そうだね。武道館をやったことで、ライブハウスが恋しくなったり、野外ステージでやりたいっていう欲求も強くなったりしていて。

──日比谷野外大音楽堂のライブは、2011年10月にも経験してますけどね。

UZ 懐かしい(笑)。

IKE あのときは果てしなく緊張してましたねー。全員、ガッチガチだった(笑)。「しっかりしたライブをやらなきゃ」みたいな気持ちが強すぎて。

MOMIKEN お客さんが入った会場を見て、ビックリしちゃったんですよ。人が壁みたいになってて。

KENTA だから野音はもう1回やりたいですね。リベンジしたいです。

IKE うん。あそこで楽しめなかったのは、ちょっと後悔してるかも。

UZ 明日にでもやりたいよね(笑)。今だったら、また違った雰囲気でやれると思うし。

「テレビに出ることはカッコいい」

──そういう思いも、“もっと先に行きたい”という意思の表れなんでしょうね。「現状ディストラクション」のサウンドメイクからも「今のバンドの状態をそのまま表現したい」という気持ちを感じました。これ、めちゃくちゃ生々しいですよね?

UZ そうですね。今ってバンドをやってるヤツがどんどん減ってると思うんですよ。俺らは幸いなことにメジャーフィールドで活動できていて、テレビにも出られる状況にあって。そこで鳴らすべき音っていうのがあると思うんですよね。今のJ-POPって、エレクトロが浸透してるじゃないですか。そんな中、ロックバンドは生音で勝負するべきじゃないかなって。楽器を演奏することで、自然と自分たちの音が生まれると思うし、それを活かした音楽を聴かせたいな、と。

──バンドにしか体現できない音をしっかり鳴らしたいっていう。

UZ 以前だったらもっとキレイな音にしてたかもしれないけど、今はバンドらしい生音を打ち出していきたいと思っていて。今って、なんでもできちゃうじゃないですか。楽器が弾けなくても、まるで弾いてるみたいな音も作れちゃうし。でも、レコーディングで生の音をしっかり封じ込めるためには、それなりの経験と実力がないと無理なので。

──そういう音をメジャーのど真ん中で示すことにも大きな意味がありますよね。皆さんはまさに、テレビから聞こえてくるロックに刺激を受けた世代だし。

IKE そうなんですよ! 

UZ 俺らが中学くらいのときって、カッコいいロックバンドがテレビに出て、派手に活動してた時期だったんですよね。

KENTA チャートをにぎわしてたしね。

UZ うん。しかもクラスの男の半分くらいがギターを弾いてるような状況で。

KENTA ギターやってない奴もhide with Spread Beaverの「ROCKET DIVE」のソロは弾けたりとかね(笑)。

UZ ギター背負って学校行くだけで「カッコいい!」って(笑)。

──ロックバンド、ロックアーティストが憧れの存在だったわけですよね。

IKE うん。それを自分たちが体現したいんですよね。さっきUZが言ったように、今はそれができる状況だと思うし。

──ということは、テレビに出演することも大事?

IKE そうですね。身近な友達だったり、親やじいちゃん、ばあちゃんに自分たちの音楽を届けようと思ったら、やっぱりテレビなんですよ。前は「イヤだな」って思ってたこともあるんだけど、「テレビに出ることはカッコいい」っていうふうに感覚が変わったんですよ、ある時期から。

UZ うん。

IKE それをきっかけにして、CDを手に取ってくれたり、ライブに足を運んでくれることもあるわけだから。

「銀魂」主題歌に責任を感じる

──タイアップについてはどう考えてますか? 今回の「現状ディストラクション」は「劇場版銀魂 完結篇 万事屋よ永遠なれ」の主題歌になってて、「銀魂」とのコラボレーションは3回目ですよね。

MOMIKEN(B)

MOMIKEN 曲に関しても歌詞についても、銀魂のスタッフから「こういう曲にしてほしい」という要望はほとんどなかったんです。それは信頼感だと思うんですよね。銀魂とのタッグは3回目だし、すごく信頼されてるんだなって。だからこそ、自分たちの軸になっている“現状打破”というメッセージを、疾走感のあるサウンドに乗せて打ち出せばいいと思えたし。

UZ 3回も一緒にやらせてもらったっていうのは、本当に縁を感じますね。同時にすごく責任もあると思うんですよ。スタッフの期待に応えたいし、“作品の力になりたい、映画を盛り上げたい”と素直に思いました。

IKE そうだね。「完結篇」とうたっているわけだから、銀魂のファンの人たちにはすごく響く作品だと思うんです。俺らも「この物語を最高のカタチで終わらせたい、しっかり見届けたい」という気持ちがあるし。

MOMIKEN そのぶん、プレッシャーもありましたけどね。曲を作ったり、歌詞を書いてるときに、銀魂のスタッフの皆さんの顔が浮かんでくるんですよ。

IKE ライブにも来てくれるしね。

MOMIKEN 3回目ともなると「この人たちのためにがんばりたい。この人たちが力を注いでる作品をもっとよくしたい」って思っちゃうから。

KENTA うん。自分たちにできることは全部注ぎ込みたいって。

ニューシングル「現状ディストラクション」/ 2013年7月3日発売 / Sony Music Associated Records
初回限定盤[CD] 1600円 / AICL-2546
通常盤[CD] 1050円 / AICL-2547
初回限定盤 収録曲
  1. 現状ディストラクション
  2. サクラミツツキ
  3. サムライハート(Some Like It Hot!!)
  4. 現状ディストラクション(inst.)
  5. サクラミツツキ(inst.)
  6. サムライハート(Some Like It Hot!!)(inst.)
通常盤 収録曲
  1. 現状ディストラクション
  2. Ø GAME(80KIDZ Remix)
SPYAIR(すぱいえあー)

IKE(Vo)、UZ(G, Programming)、MOMIKEN(B)、KENTA(Dr)の4人からなるバンド。全員が愛知出身で、2005年に結成される。地元名古屋の野外ライブでキャリアを重ね、デビュー前の2010年6月に行った100本目の野外ライブでは2000人の観客を集める。同年8月、ソニー・ミュージックアソシエイテッドレコーズからメジャーデビューシングル「LIAR」をリリース。その後も4枚のシングルを発表し、並行して精力的なライブ活動を展開する。2011年9月に1stフルアルバム「Rockin' the World」をリリース。同年10月には日比谷野外大音楽堂で初のワンマンライブを敢行した。2012年6月にリリースした映画「アメイジング・スパイダーマン」日本版テーマソング「Ø GAME」が話題となる。同年12月18日には初の日本武道館ワンマンライブを開催。チケットは完売し、このライブをもってDJ ENZEL☆が脱退した。2013年3月、4人体制で初となるシングル「サクラミツツキ」をリリース。7月3日に映画「劇場版銀魂 完結篇 万事屋よ永遠なれ」の主題歌「現状ディストラクション」を発表する。