ナタリー PowerPush - SPYAIR

猛攻モード全開! “現状打破”シングル完成

SPYAIRの勢いが止まらない。3月にリリースした「サクラミツツキ」がオリコンシングルランキング10位を獲得。リリース直後から行われた全国ツアーでは各地でソールドアウトを連発し、さらに5月にはシングル「虹」を発表している。

そして7月3日には、今年3枚目となるシングル「現状ディストラクション」(※映画「劇場版銀魂 完結篇 万事屋よ永遠なれ」主題歌)をリリース。“現状打破”をテーマにしたこのストレートなロックチューンからも、現在の彼らの好調ぶりがダイレクトに伝わってくる。

今回ナタリーでは、メンバー全員にインタビューを敢行。ツアーの手応え、「現状ディストラクション」の制作プロセスから今後の展開までをたっぷりと語ってもらった。

取材・文 / 森朋之

「ツアーって最高だな!」

──まず、3月から5月にかけて行われた全国ツアー(「SPYAIR TOUR 2013 サクラミツツキ」)について聞かせてください。ENZEL☆さん脱退後、初のツアーだったわけですが、手応えはどうでした?

UZ(G, Programming) 手応えはもちろん感じてるし、それ以上にツアーライフを楽しめたっていうのが大きくて。ライブだけじゃなくて、移動だったり、地方での過ごし方を含めて「ツアーってこんなに楽しいものだったのか!」っていう。そういう感じを味わえたのは初めてだったんですよね。今まではどっちかっていうと、修行みたいな感じだったから。

IKE(Vo)

IKE(Vo) 確かに修行だったね(笑)。今回のツアーは全員のスタンスが今までと違ってたんですよね。いい意味で遊んでる感覚があったし、それがステージにもいい影響を与えていて。とにかく楽しかったんですよ、率直に。

MOMIKEN(B) 楽しかったね、ホントに。

UZ うん。「何かをつかめた」というよりも、「ツアーって最高だな!」って(笑)。もちろん、やるべきことはやってるんだけど。

KENTA(Dr) 今までは時間もなかったからね。ライブが終わったらすぐに移動で、「自分はどこにいるの? ここは何県?」みたいな。

MOMIKEN 箱(会場)から箱に移動するだけだったからね。あと、あまりにもストイックだった気がしますね。同じスケジュールであっても、今だったらもうちょっと楽しめるんじゃないかなって。

──余裕が生まれたのかもしれないですね。それは演奏にも反映されてる?

KENTA うん、出てるんじゃないかなあ。

UZ バンドの空気って、自然と音に出てきますからね。「楽しい音を出そう」って意識してるわけじゃないけど、去年とは明らかに違ってると思います。

──では、「4人になったSPYAIRをしっかり見せないと」という意気込みは?

UZ あ、それはなかったですね。

KENTA ツアーに出る前にそういう話をしたんだけど……。

MOMIKEN ツアーの前に1回ライブをやったら、「あれ?」って思うくらいフツーだったっていう(笑)。もともとのスタートがこの4人ですからね、SPYAIRは。

KENTA そう。僕らにとっては4人に戻ったっていう感じなんですよね。外から見てる人のほうが変化を感じてるかもしれないです。

UZ 「バンドっぽくなった」とか「硬派なイメージになった」ってけっこう言われますね。

KENTA 「男くさくなった」とか。そんな意識も全然ないんですけどね。

“現状打破”はSPYAIRのテーマ

──“楽しい”っていう感じが強くなってるわけですからね。さて7月3日にはニューシングル「現状ディストラクション」がリリースされます。「サクラミツツキ」(3月リリース)、「虹」(5月リリース)に続く今年3枚目のシングルですが、すごいペースですよね。

IKE そうっすね(笑)。

UZ 今日(※取材は5月29日に実施)は記念すべきニューシングル(「虹」)のリリース日なんですけど、すでに次のシングルのインタビューをやってるっていう(笑)。うれしいです。

──(笑)。「虹」は洋楽的なテイストを感じさせる曲でしたが、今回の「現状ディストラクション」はシンプルかつストレートなロックチューンに仕上がっています。

UZ(G, Programming)

UZ そうですね。曲に対する気持ちの込め方も違うんですよ。「虹」は心の奥底にあるものを解放するようなスケール感のある曲だったんですけど、今回はもっとわかりやすいというか「あまり深く考えないで、この曲に乗って開けていこうよ」というイメージなので。基本的にSPYAIRには閉じた感じの曲はないんですけど、“開いていく”というテーマの中にもいろいろな表現があると思うんですよ。リリースも夏だし(笑)。

──「現状を打破していく」というメッセージを含んだ歌詞も、SPYAIRらしさ全開ですよね。

IKE お、よかったです。過去にも似たようなタイトルの曲がありますからね。「感情ディスコード」っていうんですけど、この人(KENTA)が間違えるんですよ。「感情ディストラクション」って。

KENTA 混ざっちゃうんですよ(笑)。

──(笑)。歌詞を手がけているMOMIKENさんとしても、「SPYAIRらしさをストレートに出したい」という気持ちがあったんですか?

MOMIKEN そうですね。“現状打破”というのは、ずっとSPYAIRが表現してきたテーマだし。なんて言うか、いつも「自分たちがいるべき場所はここじゃない」っていう感じがあるんですよね。今も「もっともっと先がある」と感じているし、それが自然と出てるんじゃないかなって。この気持ちがなくなったら、逆にどうしていいかわからないです(笑)。

ニューシングル「現状ディストラクション」/ 2013年7月3日発売 / Sony Music Associated Records
初回限定盤[CD] 1600円 / AICL-2546
通常盤[CD] 1050円 / AICL-2547
初回限定盤 収録曲
  1. 現状ディストラクション
  2. サクラミツツキ
  3. サムライハート(Some Like It Hot!!)
  4. 現状ディストラクション(inst.)
  5. サクラミツツキ(inst.)
  6. サムライハート(Some Like It Hot!!)(inst.)
通常盤 収録曲
  1. 現状ディストラクション
  2. Ø GAME(80KIDZ Remix)
SPYAIR(すぱいえあー)

IKE(Vo)、UZ(G, Programming)、MOMIKEN(B)、KENTA(Dr)の4人からなるバンド。全員が愛知出身で、2005年に結成される。地元名古屋の野外ライブでキャリアを重ね、デビュー前の2010年6月に行った100本目の野外ライブでは2000人の観客を集める。同年8月、ソニー・ミュージックアソシエイテッドレコーズからメジャーデビューシングル「LIAR」をリリース。その後も4枚のシングルを発表し、並行して精力的なライブ活動を展開する。2011年9月に1stフルアルバム「Rockin' the World」をリリース。同年10月には日比谷野外大音楽堂で初のワンマンライブを敢行した。2012年6月にリリースした映画「アメイジング・スパイダーマン」日本版テーマソング「Ø GAME」が話題となる。同年12月18日には初の日本武道館ワンマンライブを開催。チケットは完売し、このライブをもってDJ ENZEL☆が脱退した。2013年3月、4人体制で初となるシングル「サクラミツツキ」をリリース。7月3日に映画「劇場版銀魂 完結篇 万事屋よ永遠なれ」の主題歌「現状ディストラクション」を発表する。