ナタリー PowerPush - SPYAIR
第2章の始まりを告げる渾身の新曲「My World」
昨年9月にリリースした1stアルバム「Rockin' the World」がオリコンウィークリーチャート8位を記録し、10月に行われた日比谷野外大音楽堂でのワンマンライブも大成功に収めたSPYAIR。2012年第1弾シングルとなる「My World」はテレビアニメ「機動戦士ガンダムAGE」アセム編のエンディングテーマとして既にオンエアされており、聴く者を勇気づけるメッセージソングになっている。
このインタビューではバンドとしての第2章の一発目となる「My World」への思い、そして初の大規模全国ワンマンツアー「SPYAIR TOUR 2012『My World』」について、メンバー全員に語ってもらった。
取材・文 / 田中隆信
生の音のグルーヴで攻めたことで曲の形が変わった
──6枚目のシングル「My World」は、アルバム「Rockin' the World」の次のシングルということでとても重要だと思います。この曲をシングルとして選んだ理由はどこでしたか?
UZ(G) 確かに重要な曲だと思います。どの曲をシングルにするのかは、いつもは自分たちで自由に決められるんですけど、今回はアニメ「機動戦士ガンダムAGE」のエンディングテーマというタイアップがあったので、100%自分たちで選んだわけではなかったんです。
──「ガンダムAGE」の世界観と合うかどうかもありますからね。
UZ そうなんです。何曲か提示した中からアニメの制作サイドに選んでもらったのが「My World」でした。ただ、1stアルバムを作り終えて、次にどの曲をシングルで出したいかを考えていたとき「My World」だったらいいなと思ってたんです。なので、偶然ではありますけど、この曲を自分たちの2ndタームの一発目として出せることはうれしかったです。
──選ばれた曲だけど、バンド側の思いとも一致した、と。
UZ そうなんです。
ENZEL☆(DJ) 今までのシングルはアッパーな曲だったり、バラードだったりしたんですけど、この曲はどっちでもないんですよ。なので、新しいSPYAIRが見せられるんじゃないかなって思います。
UZ この曲、作ったのは2年ぐらい前ですね。
IKE(Vo) 特別に温めていた曲なんです。
──メジャーデビュー前に既にあった曲ってことですよね?
UZ はい。自分が作る曲はリズムチェンジするものが多いんですけど、この曲はひとつのグルーヴで勝負して、その中でいかに曲を盛り上げていけるかをコンセプトに作っていきました。いつもはデモの段階で95%ぐらいまで作り込むんです。その後、レコーディングでメンバーそれぞれが演奏して音を置き換えていくわけですけど、ほとんどが完成型が予想できるというか、想像する範囲内というか。でも、「My World」はデモの段階では想像していなかったぐらい、どんどん自分のイメージを超えてくれた曲でした。シンセやループの音を削って、生の音のグルーヴで攻めたことによって曲の形が変わっていったんです。
KENTA(Dr) 普段はUZが作り込んできたデモに寄り添うというか、近付けるために演奏してたんだけど、この曲に関しては、UZがプログラミングしてきたものを消して、生の音をメインに持ってきたので、人間が演奏した音楽の力強さをものすごく感じました。この曲を録った2年前からは、UZをどう裏切れるかを考えながら演奏するようになったので、僕個人としてもSPYAIRとしても、大きく変わるきっかけを与えてくれた曲なんです。
MOMIKEN(B) KENTAの叩いたノリがすごくうねってて、それがすごく良いんです。人間味があるというか、今録り直しても同じものにはならないと思います。
KENTA 2年前なので、単純に下手だったというのもあるんですよ。
IKE それはあるね(笑)。
メジャーデビュー前の気持ちが表れた歌詞
──MOMIKENさんの歌詞も2年前にできていたんですか?
MOMIKEN はい。2年前ってメジャーに上がることが決まった頃なんですが、まだメジャーデビューの曲もデビュー日も何も決まってなくて、フワッとした感じだったです。デビューに向けて、それまでの仕事を辞めなきゃいけないし、でもいつから始まるのかも決まってないし、自分が決めた選択肢が本当に正しかったのかどうか迷ったり、自問自答したりしていました。まさにそういう気持ちが歌詞に表れています。
──メジャーデビュー前のいろんな思いが。
MOMIKEN はい、詰まっています。なので、この歌詞に手を加えたくないなって。ガンダムのタイアップ曲なので、その世界観に合わせるために修正があるかもしれないなって思ってたんですが、このままいかせてくれたのはホントにうれしかった。
──そんな思いが込められた歌詞を、IKEさんはレコーディングでどう表現しようとしましたか?
IKE 「僕が僕であるために・・失っちゃいけないモノはなに?」という歌詞が、当時の俺らの状況と心境にすごくリアルにフィットしているんです。俺たちはもっといいところに行けるということを信じながらも不安を抱えていましたから。レコーディングのとき、できあがったオケを聴きながら歌うわけですが、オケだけでも特別なものを感じましたね。さっきみんなも言ってたように、うねりがある曲なので、クリックを聴いてるだけだと歌えないんです。ちゃんとドラムの音を聴いて、そのうねりを肌で感じながら歌わないといけない感じでした。
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SPYAIR(すぱいえあー)
IKE(Vo)、UZ(G, Programming)、MOMIKEN(B)、KENTA(Dr)、ENZEL☆(DJ)の5人からなるバンド。全員が愛知出身で、2005年に結成される。地元名古屋の野外ライブでキャリアを重ね、デビュー前の2010年6月に行った100本目の野外ライブでは2000人の観客を集める。同年8月、ソニー・ミュージックアソシエイテッドレコーズからメジャーデビューシングル「LIAR」をリリース。その後も4枚のシングルを発表し、並行して精力的なライブ活動を展開する。そのライブパフォーマンスには定評があり、メジャーデビュー前に「SUMMER SONIC 2010」に出演しているほか、2011年7月には韓国最大のロックフェス「JISAN VALLEY ROCK FESTIVAL 2011」に出演した。2011年9月に1stフルアルバム「Rockin' the World」をリリース。同年10月には日比谷野外大音楽堂で初のワンマンライブを敢行し、チケットは全席完売した。2012年3月、ニューシングル「My World」を発表。