知らない中に飛び込んだMV撮影
──「Circus Funk」のミュージックビデオについても聞かせてください。宇宙を舞台にしたイマジネーション豊かな映像に仕上がっていますが、これはどのように作っていったんでしょうか。
YP監督とご一緒するのは初めてで。「面白いんじゃないか」と紹介してもらって、そこから「ぜひご一緒したい」とお願いしたんです。やっぱり長いことやってますから普段はよく知っている方がいる現場が多いですけど、今回は周りのスタッフも含めて知らない中に飛び込んでいくような現場で。最近は特に、歳を重ねたことによって、相手を信じることも多くなりました。フィーチャリングするアーティストとのやり取りでもそうだけど、「どこか違うな」とか「こうしてほしい」と思っても、相手が「いや、でもこうしたいんです」と言ったら、そのアイデアを信じてみようと思えるようになった。そんな中でYPは絵コンテを描いて説明してくれたけど「もう大丈夫、信じるから好きなようにやってください」と。そうしたら彼の発想でどんどん仕上がっていって。どこも疑うことなく面白そうだし、楽しそうで。「ついていきます」みたいな感じでしたね。
──生成AIを使った撮影ということですが、どういう感じだったんでしょうか。
生成AIって僕は初めてだし、よくわからないじゃないですか。あれはCGクリエイターの人が1枚ずつアニメーションを描いて組み立てた映像ではなくて。AIに「隕石」とか「宇宙」とか言葉を打ち込むんです。それが映像になる。「もうちょっと隕石が早く落ちる」とか、いろいろ調整して作った映像を映画館みたいな大きなスクリーンに映して、その前で僕らがお芝居をする。そんな撮影の仕方でした。車のシーンもあるんだけど、それは本物の車を装飾したものを使っているんですよ。背景はAIが作ったんだけれど、その前で実際の車を使っている。そのあたりのバランスによって、AIだけの味気ないものにならなかったのかなと思います。これからはこうやって生成AIと付き合っていくのかなという経験ができたし、こういう映像が今後増えていくのかなと感じました。
──今回「Circus Funk」がCD化されたわけですが、改めてこのアルバムは香取さんにとってどういう作品になったという感慨がありますか?
「香取慎吾は音楽をやっていきます。音楽が大好きで、ステージが大好きです。みんなで音楽を楽しみたいです」という決意表明のアルバムになったと思います。もう配信されているんだけど、CDっていいですよね。いざできあがってきたパッケージを見たら、すごくクオリティが高くて。ひさびさに「なんか、いいな」と思いました。僕もずっと配信で音楽を聴いてたんだけど、改めて自分のCDを見たら、おしゃれでかわいいし、「記念に」とか「思い出に」という言葉以上の魅力があって、自分でもCDが欲しいなって思いました。
楽しいですよ。僕は幸せ者です
──ライブについても聞かせてください。昨年12月に開催された「Circus Funk Festival」は大勢のゲストが登場された2日間でしたが、振り返ってどんな実感がありましたか?(参照:香取慎吾「こんな幸せな空間あるかい!」たくさんのNAKAMAと歌い踊った“初のフェス”に代々木熱狂)
「フェスをやりたい」って、ずっと思ってたんですよ。その憧れの始まりは「氣志團万博」に呼んでもらったことかもしれない。すごく愛のある空間で、いつか自分のフェスをやりたいなと思って。いざ今回やろうとしたら、自分の経験にないことばかりで思った以上に大変で、びっくりしました。
──どういうところが大変でしたか?
ステージが1個しかないので、皆さんがバンドセットで演奏しようとすると転換の時間が必要なんですよね。今さらながら、ライブの構成を組み立てているときにそのことに初めて気付いたんです。自分のライブに関しては、曲と曲の間をどうするかを本当に気にするんですよ。1秒にするのか0.5秒にするのか、ほんの1拍だけ短くしたらどうなるだろうって。だから、気持ちよくライブが続く構成を組み立てていくのがすごく難しかった。けど、すごく楽しかった。
──思い描いていたものを具現化したような手応えはありますか?
思い描いた通りの形でステージに立つと、観に来てくれたファンの皆さんの力でそれ以上のものになる。実際、そうなったと思っています。
──ライブを振り返って、特に印象的だった瞬間は?
いっぱいありますね。「COLOR BARS」ではSHOW-GOのヒューマンビートボックスに合わせて歌ったんですけど、SHOW-GOはぷらっと来たんですよ。その格好のままぷらっとステージに立ってた。最高でしたね。あとSHOW-GOとChevonとのトークの中で、ChevonのKtjm(G)くんに僕がビートボックスをムチャぶりしたんです。それでやったことないのにやってくれて。ALIのLEOは「アンコールのときにみんなでグッズのTシャツを着よう」と言ってたのに、テンションが上がっていたせいかアンコール前の曲から1人だけTシャツで登場してましたね。Kroiはトークのとき、SOIL&"PIMP"SESSIONSが登場した瞬間に明らかに3歩ぐらい下がったんです。大先輩のSOIL&"PIMP"SESSIONSの登場でKroiが緊張して下がったのが面白かったですね。あと、中森明菜さんが観に来てくれていて。最後に「今日、明菜さんも観に来てくれています」と言ったときに、カメラが客席の明菜さんを抜いて、ほかのゲストのみんながステージにいる状態でスクリーンに明菜さんが映った。その瞬間はたまらないものがありましたね。
──すごく幸せな空間に感じました。
幸福感がありましたね。幸せな空間でした。遊びに来てくれる人も出演してくれた皆さんも、みんな大好きなんですよ。楽しいですよ。僕は幸せ者です。
──そして、5月31日には全国ツアー「SHINGO KATORI 1st LIVE TOUR Circus Funk 2025」がスタートします。ツアーに向けてどんな思いがありますか?
楽しみですね。この「Circus Funk」という渾身のアルバムを引っさげて、全国のいろんなところを回るので。もともとこのアルバムを作ったときに思い描いていたパーティーが……踊って、声を出して、音楽を心から楽しむ時が来たという。間違いなく楽しい時間を一緒に作れると思っています。
──最後にもう1つだけ聞かせてください。「Circus Funk」はこれからも音楽をやっていく決意表明のような作品になったとおっしゃっていましたが、この先にトライしてみたいことや思い描いていることはありますか?
やってみたいことはいっぱいあります。そこが香取慎吾の面白いところですよね。このジャンルのこういう曲だけ、という感じでずっとやることはできない。「あんなテイストの曲もやりたい、こんな音色の曲もやりたい」って、毎回違うんじゃないかっていうくらい、いろんなことをやりたい。そうやって音楽の中でみんなと楽しみたいと思っています。
公演情報
SHINGO KATORI 1st LIVE TOUR Circus Funk 2025
- 2025年5月31日(土)東京都 国立代々木競技場第一体育館
- 2025年6月1日(日)東京都 国立代々木競技場第一体育館
- 2025年6月28日(土)福岡県 福岡国際センター
- 2025年6月29日(日)福岡県 福岡国際センター
- 2025年7月5日(土)兵庫県 ワールド記念ホール
- 2025年7月6日(日)兵庫県 ワールド記念ホール
- 2025年7月12日(土)北海道 真駒内セキスイハイムアイスアリーナ
- 2025年7月13日(日)北海道 真駒内セキスイハイムアイスアリーナ
- 2025年7月19日(土)愛知県 Aichi Sky Expo(愛知県国際展示場)
- 2025年7月20日(日)愛知県 Aichi Sky Expo(愛知県国際展示場)
プロフィール
香取慎吾(カトリシンゴ)
1977年1月31日生まれ、神奈川県出身。1991年にCDデビュー。主なドラマ出演作にNHKの大河ドラマ「新選組」(2004年)やフジテレビ「西遊記」(2006年)、主な映画出演作に「THE 有頂天ホテル」(2006年)、「座頭市 THE LAST」(2010年)、「こちら葛飾区亀有公演前派出所 THE MOVIE~勝鬨橋を封鎖せよ!~」(2011年)、「凪待ち」(2019年)などがある。2017年12月、稲垣吾郎、草彅剛とともに新しい地図として「72」を、2018年3月には「雨あがりのステップ」を配信リリースする。2020年1月、1stソロアルバム「20200101」を発表。2022年4月に2ndアルバム「東京SNG」をリリースし、2023年1月には香取慎吾×SEVENTEENとして草彅の主演ドラマ「罠の戦争」の主題歌「BETTING」を配信リリースした。アート分野でも活躍し、2018年9月にはフランス・パリのルーブル美術館で初個展「NAKAMA des ARTS」を開催。2019年3月には国内での初個展「サントリーオールフリーpresents BOUM! BOUM! BOUM! 香取慎吾NIPPON初個展」を実施した。2024年11月に3rdアルバム「Circus Funk」を配信リリース。2025年1月より、フジテレビ系ドラマ「日本一の最低男 ※私の家族はニセモノだった」に主演した。5月には「Circus Funk」をCDリリース。全国ツアー「SHINGO KATORI 1st LIVE TOUR Circus Funk 2025」をスタートさせる。
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