音楽ナタリー Power Push - 中津川 THE SOLAR BUDOKAN 2016

“発起人”佐藤タイジと“常連”大木伸夫 2人が語る「中津川フェス」の存在意義

大木伸夫(ACIDMAN)インタビュー

哲学がしっかりしてるフェス

──タイジさんから「『中津川 THE SOLAR BUDOKAN』に毎回出てもらって非常に心強いです」と、言付かって参りました。

「中津川 THE SOLAR BUDOKAN 2014」の様子。

いえいえ、こちらこそ。ありがたいです。

──それから「先日の誕生日会に行けなくてごめんね。結成20周年おめでとうございます」という伝言も。

ああ、この前の(笑)。

──タイジさんと会ったときのことは覚えてますか?

僕らがデビューした直後くらいだから、かなり昔ですね。そのとき「ACIDMANってお前、すごい名前付けたなあ」って言われて。

──タイジさん本人も同じことをおっしゃってました(笑)。

ははは!(笑) 僕は薬剤師でもあるし、「そういう心配はまったくないから大丈夫です」と答えたんだけど、「外国人にはそれ通用しないぞ」って言われましたね(笑)。

──ACIDMANは「中津川 THE SOLAR BUDOKAN」には初回から出演されていますが、最初にお話を受けたときはどう思われました?

前年に日本武道館でやったイベントのことは知ってたんです。とても意義のある試みだし、素晴らしいなって。それが今度は中津川で開催されることになり、そのまま名前も引き継ぐって、もうカオスじゃないですか? 会場が武道館じゃないのに「BUDOKAN」って(笑)。しかもイベントの運営を全部ソーラー発電でやるっていうの聞いて、面白いからぜひ出たいと思いました。

──数多くあるフェスの中でも、コンセプトが明快ですよね。

哲学がしっかりしてるフェスだと思うんです。ただ脱原発を掲げているわけではないし、自然のエネルギーを使っていろんなことやろうぜという主旨は正しいことだと思うので。

──タイジさんは3.11以降のライブの方向性として、例えば電気を使わないアコースティックセットだったり、やり方を模索していたりしたと思うんですが、そこにソーラー発電という活路を見つけて。

それでフェスをやっちゃうのがすごいですよね。

──今年はさらにステージが2つ増え、土曜の夜はオールナイトイベントも開催されますから。

それは楽しみだな。

晴天は神様に愛されてるおかげ

──過去3回出演しているACIDMANですが、初年度の中津川で印象的だったことはなんでした?

やっぱりソーラーパネルが並んでる景色は圧倒的でしたね。「言うだけじゃなく、本当にやってるんだ!」って思ったなあ。覚悟みたいなものを感じたので、ライブをやっているときも非常に心強かったし。ソーラー発電で出す音がいいというのも事実として感じられたので印象深いです。

「中津川 THE SOLAR BUDOKAN 2015」の様子。

──そして毎年、開催期間は晴天で。

やっぱりこういうイベントだからこそ晴れなきゃダメだし。野外だから天気のリスクもあるけど、今のところ神様に愛されてるおかげか、ちゃんといい天気でしょ? この先もタイジさんが悪いことしなければ、ずっと神様が晴れにしてくれると思うんです。もし雨が降ったらタイジさん、何かやったなと。

──プレッシャーかけますね(笑)。タイジさんは「この『中津川 THE SOLAR BUDOKAN』を続けることで、ロックを文化として残していく」と何度も強調していたんですが、その思いは参加されているミュージシャンの方々にも伝播していますか?

してますね。最初うちらの世代は俺らぐらいしか出てなかったんですけど、そこからいろんなミュージシャンに「すげえいいよ」って言って。それでストレイテナーとかDragon Ashといった仲間たちが賛同してくれて参加するようになりましたね。

──タイジさんは「ACIDMANが若い世代のバンドを連れてきてくれてありがたい」という話もされてました。

利益の何パーセントかもらわなきゃいけないな(笑)。まあ、それは冗談だけど、「『中津川 THE SOLAR BUDOKAN』っていう面白いフェスがあるよ」って話はけっこう意識的にしていたんです。こういう意義のあるフェスを続けてほしいという思いが強かったので、みんなに注目してもらって、もっと広がってほしいなって。逆にタイジさんが旗振ってることもあって、俺らもあまり接することのなかった上の世代の方々と交流を持てる場所でもあるんですよね。去年はCharさんとお話させてもらったり。

──どんな話をしたのか気になります。

ほとんど忘れちゃったんだけど(笑)、最終的には俺、Charさんのことオッサン呼ばわりしちゃうぐらい失礼なことになっちゃってたみたいで。でもすごくフランクな方で、話も面白いし、ずっとギャグを言ってて「こんな人だったんだ?」って驚いたところがあります。夜は藤井フミヤさんと斉藤和義さんとバーに飲みに行ったりして。フミヤさんとはたまに誘っていただいて一緒にお酒を飲む仲ではあるんですけど、普段なかなか会えないので、フェスでお会いできたのはすごくうれしかったですね。

──世代やジャンルを越えた幅広い出演者の顔ぶれが魅力ですよね。

俺らにも刺激をどんどん与えてくれるフェスだと思います。今年はまた和義さんとも会えるし、TOSHI-LOWとか細美(武士)くんとかホリエ(アツシ)くんとかまたみんなでワイワイしたいなと思いますね。

中津川 THE SOLAR BUDOKAN 2016

2016年9月10日(土)、11日(日)
岐阜県 中津川公園内特設ステージ
OPEN 10:00 / START 11:00

2016年9月10日(土)出演者
REVOLUTION STAGE
NAMBA69 / RIZE / 10-FEET / Dragon Ash / シアターブルック
REDEMPTION STAGE
SA / THE BLACK COMET CLUB BAND / SCOOBIE DO / 怒髪天 / MONGOL800
RESPECT STAGE
チャットモンチー / H ZETTRIO / AFTER SCHOOL HANGOUT(林立夫&沼澤尚 with 鈴木茂、森俊之、沖山優司 featuring Leyona and 高橋幸宏) / ましまろ / 麗蘭 / OVERGROUND ACOUSTIC UNDERGROUND
RESILIENCE STAGE
DJ NOBU A.K.A. BOMBRUSH! with IO, DONY JOINT & YOUNG JUJU(KANDYTOWN / BCDMG) / Spinna B-ILL / cro-magnon / Dachambo
REALIZE STAGE
オレスカバンド / DJダイノジ / XO809 / 中川敬(ソウル・フラワー・ユニオン) / NO GENERATION GAPS(うじきつよし・佐々木亮介) / シシド・カフカ / 加藤登紀子
Village Of illusion
LIVE:NAOKI(SA)&上原子友康(怒髪天) / 藤井一彦(THE GROOVERS) / Rei
DJ:SEIYA / DJ PAIPAI / DJ 吉沢dynamite.jp / DJ YUJIN / DJ SEIYA
Midnight illusion:瀧澤賢太郎 / DJ EMMA / KEN ISHII
2016年9月11日(日)出演者
REVOLUTION STAGE
ROVO / the HIATUS / MANNISH BOYS / ACIDMAN / THE King ALL STARS(加山雄三、佐藤タイジ、古市コータロー、名越由貴夫、ウエノコウジ、武藤昭平、山本健太)
REDEMPTION STAGE
a flood of circle / Nothing's Carved In Stone / 赤い公園 / THE COLLECTORS / ストレイテナー
RESPECT STAGE
LIFE IS GROOVE / インディーズ電力 大取締役会(佐藤タイジ、高野哲、うつみようこ、中村中、矢井田瞳、Rei、Leyona、iCas) / LIVE FOR NIPPON ~Pray For 熊本~(高田漣、東田トモヒロ、山口洋[HEATWAVE]) / 八代亜紀 / GACHI SOLAR SPECIAL(浜崎貴司、仲井戸“CHABO”麗市、佐藤竹善[SING LIKE TALKING]、PES[RIP SLYME]、山田将司[THE BACK HORN])
RESILIENCE STAGE
ROTH BART BARON / OZROSAURUS / The SunPaulo / Young Juvenile Youth / Yasei Collective
REALIZE STAGE
BimBamBoom / チャラン・ポ・ランタン / 真心ブラザーズ / 片平里菜 / the LOW-ATUS / さかいゆう feat. 福原美穂×中津川JAM
大木伸夫(オオキノブオ)

1977年生まれ、埼玉県出身。高校時代に佐藤雅俊(B)、浦山一悟(Dr)らとACIDMANを結成する。大学進学後の1997年より、下北沢を中心にライブ活動を開始し、1999年より現在の編成に。2002年にアルバム「創」でメジャーデビューを果たす。以降は、バンドのフロントマンとして活躍する一方で、ミュージックビデオの監督を務めたり、SPECIAL OTHERSやYEN TOWN BANDの楽曲にゲストボーカルとして参加したり多角的に活動している。