音楽ナタリー Power Push - 中津川 THE SOLAR BUDOKAN 2016
“発起人”佐藤タイジと“常連”大木伸夫 2人が語る「中津川フェス」の存在意義
ええ感じでやりたいんですよ
──今回は従来のREVOLUTION STAGE、REDEMPTION STAGE、RESPECT STAGEに加え、新たに2つのステージができますね。
そうなんですよ。RESILIENCE STAGEとREALIZE STAGE。ほかのステージに合わせて、あえてR始まりで縛ってみました。カッコいいでしょ?(笑) ちなみに「RESILIENCE(回復力)」はノーベル生理学・医学賞を獲った京都大学の山中伸弥教授が最近使っている言葉で、いい言葉だなと思って。回復する力っていうのはもと通りになる力とは違うと俺は感じたんです。もとよりよくなるイメージ。
──筋力トレーニングにおける超回復みたいな。
そうそう。俺がとても気に入ってる言葉なんです。「REALIZE(悟り)」のほうも、いい名前だと思ってて。今回この2つのステージはとにかくブッ飛んでますから。タイに「Big Mountain Music Festival」という面白いフェスがあるんですけど、以前そこにシアターブルックで出たいなと思って関係者を探したところ、ステージを設計してる人が日本人だったんです。その人のところに相談に行って、ステージの写真を見せてもらったら、とんでもないのを作ってるわけ。例えば牛の形をしたステージとか、ステージの作り方に対する考え方が日本と全然違っていて。結果「うちのフェスちょっと手伝ってくれない?」ってなった(笑)。おかげで1日目のREALIZE STAGEにタイのバンドX0809も出演する縁も生まれたし、これからさらにいろんなコラボができるようになって広がっていけばいいなと思ってます。
──年々、フェスが成長して、拡大していっている実感があると。
まあ、エリア的にはこれでマックスだから、あと拡大するとしたら日程しかない。そうなると余計死にそうになるという(笑)。でも、このフェスの時期って俺からしたらもう夢のような期間だし、これが一生続けばいいのにって思うんですよね。現実に戻るとけっこうキツい状況があるわけじゃないですか? 言論的なところでも微妙な雰囲気が漂っている時代でもあるし。だからこそ、ここが音楽を楽しめる自由な現場だってところは守っていかないといけない。改めて「中津川 THE SOLAR BUDOKAN」の存在って大事だなと思ってるところですね。
──今年はほかにも新しい試みがあるんでしょうか?
初日の夜、RESILIENCE STAGEでEMMAくん、KEN ISHIIくん、瀧澤賢太郎くんにDJをやってもらって。朝5時までオールナイトパーティをやります。俺はいわゆるクラブカルチャーも大好きだし、俺が好きなフェスはクラブ系のアーティストも出てて朝まで遊べるから、開催当初から朝まで遊べるエリアは絶対ほしいと思っていたんです。今年はようやくそこにこぎつけられたなと。こういうことができるのは、今年6月に風営法が改正になったことがすごく大きいと思うんです。そのためにCOLDFEETのWatusiさん、Zeebraくんは本当にがんばったし、そこに拍手を送りたいですね。
──朝まで遊べるのはうれしいですよね。楽しい時間がいつまでも終わらない感じが味わえる。
で、2日目の朝からぐでんぐでんになってるやつがいるっていうね(笑)。とにかく見た目から運営の仕方から、ええ感じでやりたいんですよ。ビジネスではなく、音楽がすべてをリードしてる雰囲気。中津川はオーディエンスがコンセプトにちゃんとオンしてくれてるところがあるから、よりええ感じなんですよね。
一番大事な日本人のアーティストしかいねえじゃねーか
──アーティスト自身が主催するフェスって、面白いですよね。主催者の顔が見えるとコンセプトも伝わりやすいし。
通常のフェスとはちょっと違いますよね。まあ、みんなぱっつんぱっつんでやってるから、めちゃくちゃ大変ではあるんだけど(笑)。でも「中津川 THE SOLAR BUDOKAN」を日本初の野外フェス(1969年、70年、71年に3回開催された「全日本フォークジャンボリー」)が行われた中津川で始められたことは本当によかったし、毎回必ず晴れるのも絶対何かあるなって思う。「フォークジャンボリー」に出演されていたエンケン(遠藤賢司)さん、小室等さんにも出てもらったし、いずれは岡林信康さんとかにも出てほしいですね。
──音楽にまつわるワークショップも、参加者の楽しそうな表情が毎年印象的です。
ミュージシャンが子供たちと接点を持つことって案外ないから、参加しているミュージシャンみんなにやってほしいんですよね。ちっちゃい子たちとか、今まで知らなかったジャンルの人たちと分かち合うのはいいことだし、しかもそれは必ずお互いWin-Winの関係になるわけじゃないですか。
──そうですね。
たぶんこうやっていろいろがんばれてるのは、やっぱ太陽光発電ってコンセプトがぶっといからだろうなと思って。太陽光発電は中津川の大事な要素の1つだし、地元の方々とみんなでやれてる感じも楽しいし。ここには希望があるなって思ってます。
──最後になりますが、開催直前ということで楽しみにしている人にひと言お願いします。
これは決まったばかりなんだけど、シアターブルックのステージでは佐藤千明さん(赤い公園)、真城めぐみさん(ましまろ)、Spinna B-ILL、高野哲(ZIGZO、nil、THE BLACK COMET CLUB BAND、インディーズ電力)、Kj(Dragon Ash)とのコラボもあります。今年はステージも5個になって、初日の夜は朝までだよ? 遊びに来たほうがいいと思うよ? 日本の希望みたいな若い世代もいれば、加山雄三さん、加藤登紀子さん、八代亜紀さんだよ? おいおい、日本で大事なアーティストしかいねえじゃねーかっていう(笑)。新しいステージも前代未聞のものになる予定だし、とにかく俺自身が楽しみですね。間違いなく、日本で一番楽しいフェスです!
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中津川 THE SOLAR BUDOKAN 2016
2016年9月10日(土)、11日(日)
岐阜県 中津川公園内特設ステージ
OPEN 10:00 / START 11:00
2016年9月10日(土)出演者
- REVOLUTION STAGE
- NAMBA69 / RIZE / 10-FEET / Dragon Ash / シアターブルック
- REDEMPTION STAGE
- SA / THE BLACK COMET CLUB BAND / SCOOBIE DO / 怒髪天 / MONGOL800
- RESPECT STAGE
- チャットモンチー / H ZETTRIO / AFTER SCHOOL HANGOUT(林立夫&沼澤尚 with 鈴木茂、森俊之、沖山優司 featuring Leyona and 高橋幸宏) / ましまろ / 麗蘭 / OVERGROUND ACOUSTIC UNDERGROUND
- RESILIENCE STAGE
- DJ NOBU A.K.A. BOMBRUSH! with IO, DONY JOINT & YOUNG JUJU(KANDYTOWN / BCDMG) / Spinna B-ILL / cro-magnon / Dachambo
- REALIZE STAGE
- オレスカバンド / DJダイノジ / XO809 / 中川敬(ソウル・フラワー・ユニオン) / NO GENERATION GAPS(うじきつよし・佐々木亮介) / シシド・カフカ / 加藤登紀子
- Village Of illusion
- LIVE:NAOKI(SA)&上原子友康(怒髪天) / 藤井一彦(THE GROOVERS) / Rei
- DJ:SEIYA / DJ PAIPAI / DJ 吉沢dynamite.jp / DJ YUJIN / DJ SEIYA
- Midnight illusion:瀧澤賢太郎 / DJ EMMA / KEN ISHII
2016年9月11日(日)出演者
- REVOLUTION STAGE
- ROVO / the HIATUS / MANNISH BOYS / ACIDMAN / THE King ALL STARS(加山雄三、佐藤タイジ、古市コータロー、名越由貴夫、ウエノコウジ、武藤昭平、山本健太)
- REDEMPTION STAGE
- a flood of circle / Nothing's Carved In Stone / 赤い公園 / THE COLLECTORS / ストレイテナー
- RESPECT STAGE
- LIFE IS GROOVE / インディーズ電力 大取締役会(佐藤タイジ、高野哲、うつみようこ、中村中、矢井田瞳、Rei、Leyona、iCas) / LIVE FOR NIPPON ~Pray For 熊本~(高田漣、東田トモヒロ、山口洋[HEATWAVE]) / 八代亜紀 / GACHI SOLAR SPECIAL(浜崎貴司、仲井戸“CHABO”麗市、佐藤竹善[SING LIKE TALKING]、PES[RIP SLYME]、山田将司[THE BACK HORN])
- RESILIENCE STAGE
- ROTH BART BARON / OZROSAURUS / The SunPaulo / Young Juvenile Youth / Yasei Collective
- REALIZE STAGE
- BimBamBoom / チャラン・ポ・ランタン / 真心ブラザーズ / 片平里菜 / the LOW-ATUS / さかいゆう feat. 福原美穂×中津川JAM
佐藤タイジ(サトウタイジ)
1967年生まれ、徳島県出身。4人組バンド・シアターブルックのフロントマンにして、作曲家、プロデューサー、俳優など数多くの肩書きを持つ。1986年にシアターブルックを結成し、1988年にアナログ盤「Theatre Brook」をリリース。以降、日本随一のファンクバンドの顔として活躍する一方、MCUや清春、tobaccojuiceなどさまざまなアーティストのプロデュースを手がけその手腕を発揮している。東日本大震災後、太陽光発電による電力で運営するライブイベント「THE SOLAR BUDOKAN」を企画。同イベントは2012年12月に東京・日本武道館で初開催され、2013年より岐阜県中津川市に場所を移して行われている。