SKE48「愛のホログラム」インタビュー|初選抜メンバーも交えて歌うシリアスな失恋ソング (2/2)

新曲では笑わないことを徹底

──さて今回のシングル「愛のホログラム」ですが、聴きどころや特徴はどんな点にありますか?

末永 “孤独な愛”がテーマになっていて、シリアスな雰囲気が全体を包み込んでいます。歌詞の内容も重めで、今までの元気で明るいSKE48のイメージとはだいぶ違った印象を受けるんじゃないでしょうか。何より笑わないことを徹底している点からして、今までにないパターンですし。

佐藤 前作の「好きになっちゃった」は、「好きすぎてハッピー!」というよりも「好きすぎて苦しい……」みたいな切ないニュアンスの楽曲だったんです。今回の「愛のホログラム」も切なさという意味では前作とつながる部分があるし、そこよりもさらに深いレベルで孤独感が出ているんですよね。ありがたいことに「好きになっちゃった」はファンの方からすごく評判がよかったので、そうした切ないテイストが好きな方には刺さるんじゃないかと思っています。

──ミュージックビデオでも、あえて感情を押し殺したような姿が印象的でした。

倉島 撮影では“お人形”になったりもしましたし、「瞬きはしないで」というディレクションが入ったんです。1人とか2人ではなく、撮影中は全員で瞬き禁止ですからね。自分がうっかり瞬きしてしまったら全体に迷惑がかかると思い、そこはプレッシャーを感じました(笑)。

──アイドル稼業をやるうえで、ファンサービスでニコッと笑うのが職業病みたいになっている面はないんですか?

佐藤 それは実際ありますね。今回の撮影では「やっぱり、さとかほはカメラを前にすると笑顔になっちゃうね」とスタッフの人に笑われたんですけど、それってこの作品的にはNGなことじゃないですか。極力、人間っぽさをなくすように意識しました。コンサートとかでも、極力、感情を殺すようにします。

末永 逆に私の場合、その点は苦労しなかったかな。というのも、普段から「ロボット感がある」「人間味がない」って言われることが多かったんですよ。「愛のホログラム」の無表情なお人形コンセプトは自分に合っていると思いました。けっこう自信あります(笑)。

大村 私はダンスの面で苦戦しましたね。この曲で大事なのは大人っぽい雰囲気を出すことなので、鏡の前で何度も練習しながら「こういう感じかな?」って確認しました。無機質なところも強調しなくてはいけないし、そのために個人の癖を極力なくしてそろえていく必要があるんですよ。シンクロ率を高めるのが大事なので。

佐藤 そのへんは本当に細かくそろえました。「足先の開きは45°」とか確認しながら、何度も練習して。普段はがむしゃらに踊ることが多いので、新しいことに取り組んでいる感覚がありましたね。美しくそろえるというのは、今まで正直あまりやってこなかったことなんです。

左から大村杏、末永桜花、佐藤佳穂、倉島杏実。

左から大村杏、末永桜花、佐藤佳穂、倉島杏実。

──つまりそれはSKE48の特徴自体が変わりつつあるという話?

末永 「激しいダンス!」「汗が飛び散るライブ!」みたいなイメージでSKE48はずっとやってきたんですけど、そのがむしゃらさはこれからも大事にしていきたいポイントです。ただ、新しいことに挑戦したい気持ちがあるのも事実で、進化した姿をファンの方にもお見せしていきたいんです。

新しいSKE48をメンバー全員で作っていきたい

──話を伺っていると、今、SKE48が大きな転換期に差しかかっていることを感じます。

末永 最近流行っているアイドルさんってかわいらしさを前面に出したグループが多いと思うんです。例えば=LOVEさんとかがわかりやすい例ですけど、女の子からの人気もすごく高いですし。それで言うと今のSKE48も衣装とかも含めてかわいい方向にシフトしている傾向があって、そういうテイストに合わせられる若いメンバーも増えてきていると思います。

倉島 あと、今のSKE48を知ってもらうポイントとしては、やっぱり劇場公演は外せないと思うんです。今はAKB48グループ全体を見ても劇場公演やチーム制が当たり前じゃなくなっている現状があって、その中でSKE48はオリジナルの劇場公演にこだわり続けている。私個人に関しては、すでに劇場での公演数が600回を超えていますし。

──600回! とんでもない数字ですね。

倉島 研究生の頃から何よりも大事にしていたのが劇場公演でしたし、穴埋め要員などでメンバー16人全員のポジションを覚えた公演もありました。そうやってSKE48は月に何度も公演をやってきているグループだから、どうしたって基礎体力も付くし、チームの絆も強くなるんです。

左から大村杏、末永桜花、倉島杏実、佐藤佳穂。

左から大村杏、末永桜花、倉島杏実、佐藤佳穂。

──確かに、地力が付くのは当然かもしれません。

倉島 振付師のTAKAHIRO先生がTeam Eの劇場公演を監修してくださったことがあるんです。ご存知のように、TAKAHIRO先生はいろんなアイドルを教えていらっしゃるじゃないですか。その先生が「SKE48は専門劇場を持っていて、常に公演をやっているから、体力や根性が段違いだね。そこは大事にしたほうがいよ」と言ってくださったんです。私、その言葉がすごくうれしくて。「SKE48のメンバーでよかったな」って、自分のグループに誇りが持てました。

大村 私も研究生として劇場に立っていて、ちょうど最近、「制服の芽」という公演が始まったところなんです。これは体力をすごく使う内容で、はっきり言うと今の17人の研究生にはハードルが高いんですけど、期待されているんだなという実感もあるんですよね。私たちにとってこの公演は大きな挑戦だし、大きなチャンスでもあるわけで。今はいろんなことが目まぐるしく動いている感覚なんですけど、新しいSKE48を私たち研究生も含めたメンバー全員で作っていけたらと考えています!

プロフィール

SKE48(エスケーイーフォーティエイト)

AKB48の全国進出第1弾として、名古屋・栄に誕生したアイドルグループ。名称の由来は、活動拠点の栄(SaKaE)の頭文字。秋元康の総合プロデュースにより、2008年7月より活動をスタートさせた。AKB48同様「会いにいけるアイドル」をコンセプトに、栄にあるSUNSHINE SAKAE 2階のSKE48劇場にてTeam S、Team KⅡ、Team E、および研究生が公演を行っている。2009年8月にシングル「強き者よ」でメジャーデビュー。2011年5月にエイベックスへのレーベル移籍を発表し、7月に移籍第1弾シングル「パレオはエメラルド」をリリースした。2012年に初めて単独で「NHK紅白歌合戦」に出場。2014年2月には愛知・ナゴヤドームで、2015年8月には愛知・豊田スタジアムで単独コンサートを開催した。2023年7月に末永桜花がセンターを務める31stシングル「好きになっちゃった」、2024年2月に32ndシングル「愛のホログラム」をリリースした。