12年のアイドル人生を終える大場美奈の思い
──今作は大場さんにとってラストシングルになります。メンバーの皆さんにとって大場さんの存在とはどんなものなんでしょうか?
林 私が加入したのは2019年の11月だったんですけど、そのあとすぐにコロナの問題が起きてしまったので、先輩メンバーと顔を合わせる機会があまりなかったんです。なので大場さんは素敵な方だと思ってはいましたが、どこかテレビの中の存在というか、「本当に実在するの?」というイメージでした。そして最近は選抜とかでご一緒させていただくことが増えたんですけど、本当に優しさの塊みたいな人で……。例えば私が1人でポツンと座っていると、すごくさりげない感じで声をかけてくださるんですよ。その場にいるだけで、パっと花が咲くように明るくなるんです。
大場 (花柄の髪飾りを触りながら)ちょうど今日は頭に花が咲いているけどね(笑)。
末永 私、みなるん(大場)さんみたいな先輩になりたいってずっと思っているんですよ。
大場 そうなの? それ初めて聞いたかも。
末永 こういう機会だし、初めて言いました(笑)。例えば「こうしたほうがいいよ」みたいに、先輩が後輩に意見を言うことがありますよね。みなるんさんは相手を全否定して怒るような感じじゃなく、柔らかく提案して相手に促す感じで伝えてくれるんですよ。だから後輩も傷つかないし、その場の雰囲気もギスギスしない。そうやってグループ全体を冷静に見渡しているところが素敵だなってずっと憧れていました。アイドルというよりも、大人として尊敬しています。私も加入して7年目になるし、これからはみなるんさんを見習って後輩に接していけたらと考えています。
──江籠さんはいかがですか?
江籠 いやー、公私ともにめちゃくちゃお世話になりましたからね。私は2011年に5期生として加入したんですけど、気が付いたら先輩メンバーがほとんどいなくなっていて。なので、みなるんさんは子供だった頃の私を知っている数少ないメンバー(笑)。自分が壁にブチ当たるたび、話を聞いてもらっていた気がしますね。
大場 特に改まって相談に乗ったこともないんだけどね。
江籠 そうそう。なぜか困ったときに近くにいるんですよ。私が何時間も泣き続けていたときは、黙々とティッシュを差し出して「少し休んでもいいんだよ」と言ってくれました。「がんばれ」じゃなくて「休んでもいい」。そう言われたことで、あの日は心がスーッと軽くなりました。覚えています?
大場 もちろん覚えてるよー。確か「今日は家に帰りなよ」って伝えた気がする。
江籠 それまで私はレッスンとかサボったことがなかったし、リハーサルも皆勤賞だったんですよ。だからあのとき1人で悩んでいるだけだったら「家に帰る」という選択肢はなかったと思うんです。本当にあの気配りには救われましたね。
──4月1~3日には大場さんの卒業コンサートが3DAYSで行われます。アイドル人生を総括するような内容になるのではと思いますが、現在の心境はいかがですか?
大場 今の気持ちとしては、「まるで実感が湧かない」というのが正直なところです。卒業したメンバーに話を聞いても、「卒業コンサートが終わっても実感が湧かなかった」とか「卒業してから何カ月かして、自分がアイドルじゃないことに驚いた」という声があるくらいなので、私もギリギリまでは平常運転なんじゃないかなと。ただ、おそらくですけど、実際に卒業する瞬間を迎えたらめちゃくちゃ悲しい感情が込み上げてくる気もするんですよね。なぜなら私はアイドルが大好きだから。SKE48を心から愛しているから。そもそもこの活動が嫌だったらとっくに辞めてますし、本当に好きじゃなかったら12年以上も続けられてません。
林 12年か……改めて重い響きですね。
大場 なんだかんだ言って、もう残り2カ月を切っているので、メンバーと一緒に楽屋で話しているとき、こうやってみんなで取材を受けているとき……すべての瞬間が私にとって貴重なんです。レコーディングやミュージックビデオ撮影も自分にとっては「心にFlower」が最後なので、持っているものをすべて出し切ったつもりです。なにしろ今後、私の顔がCDジャケットになることは一生ないですから。
──本当ですか? スポットライト症候群になり、まさかのソロデビューは絶対ない?
大場 うーん、たぶんそれはないと思うんですけどねえ。もしかしたら……。
江籠 あれれ? なんだか微妙に口ごもっているような気がしますよ(笑)。
大場 いや! もし万が一ソロデビューすることがあっても、ここまで大々的にCDにしていただくのは最後だと思います(笑)。とにかく、せっかくレコード会社さんやスタッフさんのご厚意で最後に選抜入りさせていただいたわけですから、私なりにSKE48へ恩返しをしたいんですよ。12年も活動していたし、途中でアイドルファンを辞めた方も大勢います。それはそれで仕方ないことなんですけど、大場の最後ということで、現在進行形の若手が大勢いるSKE48を多くの方に見ていただけたらうれしいです。
──シングルのカップリングには大場さんの卒業ソロ曲「生まれ変わっても」が収録されています。
大場 最初で最後のソロ曲ですからね。私のアイドル人生12年が詰まった曲に仕上がっているので、ぜひ聴いていただけたらと思っています。
──グループを去る立場として、メンバーに伝えておきたいことはありますか?
大場 一番は今のファンの方を大切にしてほしいということ。アイドル活動をしていると、やっぱり新しくファンを増やしたいという気持ちが強くなるものなんです。もちろんそれは素晴らしいことなんですけど、今まで応援してくれていた方の気持ちを絶対に裏切ってはいけないんですよ。私はほかのメンバーより長くアイドルを続けてきたからこそ、応援してくれるファンの方のありがたみをしみじみと実感できるんです。新しいファンを獲得したいなら、その機会はスタッフさんが設けてくれるはず。そこで魅力をアピールできるように、自分を磨き続けてほしいと思います。
末永 すごい……。本当にためになる言葉! 肝に銘じます。
今のSKE48は先輩後輩のバランスが絶妙
──SKE48には現在進行形の若手が大勢いるというお話がありましたが、確かに若手メンバーのみで結成されたユニット・カミングフレーバーをはじめとして、活きのいい次世代メンバーがどんどん登場しています。改めて注目のメンバーを教えていただけますか?
林 今回のシングル選抜メンバーから挙げるなら、熊崎晴香さん! 「心にFlower」のMVには派手なアクションシーンがあるんですけど、そのときの表情や迫力が本当にすごくて……。見ていて圧倒されました。
江籠 私は井上瑠夏ちゃんをプッシュしたいですね。注目ポイントはシンプルにかわいいところ。言葉はいらないですよ。後輩ができてお姉さんメンバーになっても、あの愛くるしさは失わないでほしい!
末永 私は坂本真凛ちゃんかな。今回のシングルが初選抜で、私はプリマステラ(SKE48内のティーンズユニット)で一緒になることが多いんですけど、いつもはホワホワしている不思議ちゃんなんですよ。でも、「心にFlower」のMVでは完全に別人になっていてビックリしました。キリッとしている姿がカッコよくて、惚れちゃいそうでした(笑)。大人っぽさと子供っぽさのギャップはハマると抜け出せないと思うので、ぜひチェックしてください!
大場 だったら私は浅井裕華ちゃんに1票! ゆうかたんって普段は「いかにもかわいらしい女の子」という雰囲気なんです。だから一緒にアクションシーンを撮るときもクールにキメるのは難しいかなと思ってたんですけど、全然そんなことなくて。むしろ「楽しいー!」ってウキウキしながら暴れていたんです。ファンの方が好きになる理由がよく理解できました。“妹感”が半端じゃないんですよ。
──今回のシングルで選抜入りしたメンバーを見ていて感じたのですが、今のSKE48は先輩と後輩がバランスよくまとまって一丸となっていますよね。そもそも女性アイドルグループでここまで年齢差があるケースも珍しいですし。
大場 うちには30歳のメンバー(須田亜香里)もいますしね。
江籠 確かに年齢がバラバラというのは今のSKE48の特徴かもしれません。私はまだ21歳ですが、キャリア的にはベテラン組で。年上の後輩もたくさんいるし、昔はそれでやりづらかった部分もありました。でも、プラスの面もたくさんあったんですよ。キャリアを積んでも若手メンバーと壁を作らず接することができますし。
大場 冷静に考えたら、今回のシングルってすごいですよね。キャリア12年になるメンバーのラストシングルで、そこでセンターを飾るのが12歳っていう。
江籠 私はSKE48で10年以上活動していますが、実はシングル曲の選抜でフロントに立つのは今回が初めてなんです。子供の頃から長い間続けているのに、いまだに初めてのことがあるという状態が気持ち的にも新鮮なんですよね。SKE48というグループとしてももちろん、私自身もまだまだ新しい一面をアピールできるぞというやる気に満ちあふれています。
林 知名度や人気のある先輩たちがいるにも関わらず、私たち若手にもチャンスをいただけている現状は本当に恵まれていると思います。その期待に応えるのが役目だと感じていますし、ファンの方をガッカリさせちゃいけないというプレッシャーも正直言ってあります。
末永 年齢的に言うと、私はちょうど中間世代になるんですよね。最初に選抜に入ったときは年齢的にもキャリア的にも一番下だったし、周りの全員がお姉さんに見えました。でも今は選抜メンバーの半分くらいが自分の後輩になったので、もう甘えているだけじゃダメなんだなと考えを切り替えているところです。私がみなるんさんの背中を追いかけてきたように、後輩たちは私たちの背中を見ていると思う。「あの先輩、何言ってるんだろうね」って笑われないように、もっとしっかりしなきゃいけないと最近は本当に思うんです。
大場 そうやって新人のメンバーも徐々に先輩になっていくんですよね。そのあたりのバランスが今のSKE48は絶妙だから、今後への期待がますます膨らんでいくんです。過去、現在、未来の枠を超えてSKE48らしさを出していけば、本当に無敵なグループになると私は信じています。末永くSKE48の応援をよろしくお願いします!
ライブ情報
大場美奈卒業コンサート@パシフィコ横浜 Day1
~卒業してもずっと可愛くてすみません~
- 2022年4月1日(金)神奈川県 パシフィコ横浜国立大ホール
OPEN 16:00 / START 17:00
大場美奈卒業コンサート@KT Zepp Yokohama Day2
~明日、晴れたらいいのにな~
- 2022年4月2日(土)神奈川県 KT Zepp Yokohama
OPEN 15:30 / START 16:30
大場美奈卒業コンサート@KT Zepp Yokohama Day3
~るんるん、30歳のおたんじょうび会~
- 2022年4月3日(日)神奈川県 KT Zepp Yokohama
[昼公演]OPEN 11:30 / START 12:30
[夜公演]OPEN 17:00 / START 18:00
プロフィール
SKE48(エスケーイーフォーティエイト)
AKB48の全国進出第1弾として、名古屋・栄に誕生したアイドルグループ。名称の由来は、活動拠点の栄(SaKaE)の頭文字。秋元康の総合プロデュースにより、2008年7月より活動をスタートさせた。AKB48同様「会いにいけるアイドル」をコンセプトに、栄にあるSUNSHINE SAKAE 2階のSKE48劇場にてチームS、チームKII、チームE、および研究生が公演を行っている。2009年8月にシングル「強き者よ」でメジャーデビュー。2011年にエイベックスへレーベル移籍し、7月に移籍第1弾シングル「パレオはエメラルド」をリリースした。2012年に初めて単独で「NHK紅白歌合戦」に出場。2014年2月には愛知・ナゴヤドームで、2015年8月には愛知・豊田スタジアムで単独コンサートを開催した。2021年4月にエースとして長年グループを牽引してきた松井珠理奈が卒業。同年9月にAKB48グループ最年少の林美澪がセンターを務めるシングル「あの頃の君を見つけた」を発表した。2022年3月に引き続き林がセンターを担当する29枚目のシングル「心にFlower」をリリースする。
SKE48 OFFICIAL WEB SITE|SKE48 Mobile
SKE48オフィシャルブログ Powered by Ameba