体重は5kgくらい増えたんです
──「おかえりなさい」と言ったらいいのでしょうか。ファンも非常に心配していたと思います。今、体調はいかがなんですか?
元気元気(笑)。もう本当に全然元気なんですよ。体重は5kgくらい増えたんですけど、でも前はガリガリだったから逆に「今くらいのほうがいい」っていう意見も多くて。特に男の人からはそう言われるかな。だから自分的にも今の感じでいいんじゃないかと思っています。これ以上増えちゃうと、アイドルとしてちょっとヤバいかもしれませんけど。
──休養期間中は、どうやって過ごしていたんですか?
とにかく私は小学6年生のときから10年間ずっと突っ走ってきたから、これまでできなかった普通のことをしていました。具体的に言うと、犬を連れて公園に散歩へ行ったり、お料理を作ったり……作ったのはワンプレート系が多かったです。カレーライスとか、ガパオライスとか。
──散歩中に「あっ、珠理奈だ!」ってスマホを向けられたりして、大騒ぎになりませんでした?
全然平気でした。たぶんまったく気付かれなかったんだと思う(笑)。正確に言うと、休み始めたときと元気になったときで過ごし方も若干違っていたんです。途中で元気になってからは、AKB48「センチメンタルトレイン」のミュージックビデオも観たりしました。
──休養中で不在の松井さんが絵コンテやCGで表現されるという、話題になったMVですね(のちに本人が参加した完全版が公開)。
そうです。自分がいないシングルのMVを観るのは精神的にこたえるものがあるかなと思ったんですけど、意外にそんなこともなくて。むしろ「あなたには帰る場所があるよ」というメッセージを感じ取ることができ、安心した部分があります。観ていたら本当に涙が止まらなくなるんですよ。もちろんそれはうれしい涙なんですけど。と同時に、せっかく投票してくれたファンの皆様には申し訳ないなという気持ちにもなりました……うん、あのMVは観ていていろんな感情がこみ上げてきましたね。
1人で突っ走ってきた感は若干あるんです
──それで言うと、SKE48の前回のシングル「いきなりパンチライン」も松井さん抜きでパフォーマンスされる機会が多かったです。
そうですね。私が休んでいる間、ちょうどSKE48はドキュメンタリー映画「アイドル」を撮影していたんですよ。その映画を観ることで、自分がいないSKE48を客観的に捉えることができた気がしますね。映画の中でメンバーたちは、「珠理奈がいないからダメだ」って言われないように、プレッシャーをすごく感じているんです。あるいは、それまでは付いて行く側だったメンバーが「これからは私がSKE48を引っ張っていかなきゃいけない!」って強い気持ちを持つようになったり。私がいないことでみんなが成長できたのだとしたら、それはそれでよかった部分もあるのかなって思いました。
──映画だけでなくTwitterなどでも、「珠理奈さんがいないSKE48を絶対に守り抜く!」というメンバーの強い意志が感じられました。
SKE48に関しては、今まで1人で突っ走ってきた感は若干あるんですよ。同期のメンバーも卒業していく中、自分はずっとセンターをやらせていただいていましたし。だけど今回みんなが立ち上がってくれたことで、少し肩の荷が下りたようなホッとした気持ちがあります。これまで私がほかのメンバーに「こうしたほうがいいよ」「こうしてね」って細かく指示を出していた部分を、須田(亜香里)ちゃんとかが担当してくれるようになったので。今の私はそうやって引き締める係ではなく、そのあとに何か一言を加えて場を和ませる役割なんです。「大丈夫だよ、みんな! できるよ! がんばろうね!」って明るく語りかける感じで。明らかに変わりましたね、そのあたりは。
──松井さんの休養が、グループにとってもプラスになったのかもしれません。
あっ、そうそう! 休養していて少し元気になってからは、プロレスも観ていました。時期的に夏だったので、新日本プロレスのG1 CLIMAX。今回、プロレスには本当に励まされたんです。特に棚橋(弘至)選手やケニー・オメガ選手、それに田口(隆祐)監督は今回の総選挙で私のことを応援してくださいましたしね。ケニー・オメガ選手に至っては、コスチュームをハリウッドJURINA風にまでしてくださって。で、プロレスの選手はケガと隣り合わせだから、どうしても欠場は避けられないじゃないですか。私がすごいと思うのは、そこから復帰したときの会場の盛り上がりですよ。「私もあんな感じで復帰できたらいいな」って考えていました。
──プロレスって人を鼓舞する力がありますよね。僕の知り合いの女性もガンで入院したとき、プロレスを観て勇気をもらったと言っていました。今は完治して元気でやっていますけど。
それ、すごくよくわかるな。そもそもなぜ私がプロレスを好きになったかというと、倒れても倒れても立ち上がる選手の姿を観て、自分のアイドル人生と重ね合わせたからなんです。それでものすごく勇気をもらったんです。「少しくらいくじけたって、まだまだ立ち上がるんだ」という生き様を学んだというか……。
──松井さんがやっているアイドルという仕事も、観ている人を励ますという意味では同じなのでは?
それこそ握手会に来てくれる人の中には、ガンと戦っているファンの方もいらっしゃいますからね。自分はアイドルとして何ができるのか、立ち止まって考えることは確かにあります。