私も寝ちゃいけないと思っていました
──そもそも松井さんは、なぜそこまで抱え込んでがんばっちゃうんですか? 6月の選抜総選挙前とか、明らかに入れ込みすぎじゃないかと心配していたのですが。
なんでなんだろうなあ、本当に。たぶんだけど、みんなのことが好きだからかもしれない。ファンの皆様が好きだし、メンバーのみんなが好きなので。ファンの皆様に対する感謝の気持ちっていうのはすごく大きくて、みんなの応援があるから私たちSKE48が夢を叶えることができたっていうのはリアルに感じていることなんです。だからこそ、「期待に応えなきゃ」「みんなの気持ちを裏切っちゃいけない」っていうふうに考えちゃうんですよ。総選挙は特にそういった傾向が顕著なんですけど。
──ファンに対する責任感ということですか。逆に言うと、その責任感が大きくなりすぎたのかもしれませんね。
それはありますね。特に今年の総選挙は10周年で名古屋での開催だったから、どこに行っても「今回は1位ですね」って言われていたんです。そう言われることはありがたいんですけど、やっぱりプレッシャーも大きくて。SKE48をもっとよくするためには自分が1位になるしかないのかなって考えていました。総選挙は寝ないで投票しているファンの皆様も多いから、私も寝ちゃいけないと思っていましたし。
──関係ないですよ(笑)。ファンも松井さんが寝ないことを望んでいないはずです。
そうなんですけどね(笑)。でも、やっぱり申し訳ないっていう気持ちになっちゃったんです。それで3日間まったく眠っていない状態で総選挙に臨んだら、結局は体調を崩しちゃって……実際、当日のことはほとんど何も覚えていないんですよ。
──休養期間中はたっぷり眠れました?
はい、おかげさまで。でも、やっぱり改めて睡眠って大事ですね。目覚まし時計もセットしないで好きなだけ寝るという生活をしていたら、体調もどんどんよくなっていきましたから。
──小学生の頃から生き馬の目を抜く芸能界で戦っていたのに、急に専業主婦というかおばあちゃんのような生活になって、戸惑ったんじゃないですか?
そうですね(笑)。のんびりはできたんですけど、まだこういう生活は自分には早いなって思いました。気分的にも寂しいというか、「早くステージに上がりたい」「早くファンの皆様の声を聞きたい」という気持ちに傾いていきましたね。「まだ卒業する時期じゃない」と思ったし、「まだSKE48というグループにいたい」という自分の気持ちも再確認できました。
──とは言え、ファンの中には「このまま引退しちゃうんじゃないか?」という不安を抱えていた人も多かったはずです。
そうなんですよね。休養期間中は私のファンの皆様がほかのメンバーの握手会に並ぶことがあったらしいんです。と言っても、それは推し変とかじゃないんですよ。どこに不安の声をぶつけていいかわからないから、とりあえず私と仲のいいメンバーに「珠理奈、戻ってくるかな? 辞めないかな?」って涙ながらに訴えてくるわけです。それを聞いたら、なんだかもういたたまれない気持ちになりました。そこまでファンの皆様に考えさせていたのかって。メンバーと合流したときも、みんな大号泣していましたし。
──松井さんがいないSKE48のパフォーマンスは、やっぱり違和感が残りましたけどね。「何かが足りない」って思いましたし。
そうですか? 私は逆なんですよ。自分がいないSKE48を観て、「これは私がいなくても成立するな」って感じたんです。正直、これまではそんなふうに思ったことは一度もなかったんですけどね。周りからも「珠理奈がいないとSKE48だとは思えない」って言われていましたし。映画を観ながら、なんだか切なくなりましたもん。「あれ? 私がいなくてもSKE48のカラーがバッチリ出ている」って。
──珠理奈さんが好きなプロレスに例えると、新日本マットから中邑真輔とAJスタイルズ(という団体を代表するスター)がいなくなったとき、「何かが足りない」という喪失感がけっこうあったじゃないですか。
いや、でも今の新日本はその2人がいなくても普通に成立していますから。結局、それと同じことなんですよ。でもそれは決して悲しいことじゃないと私は思うんです。10年目を迎えたSKE48が想像以上にしっかりしていて、誰か1人の力に頼らなくても成立するグループになったということですから。
──なるほど。休養前と今では、どういうところが変わったと自分で考えますか?
何もかも変わったような気がします。もともとSKE48に入る前に陸上競技をやっていたこともあってか、私って体育会系なんですよ。なんでも一番じゃないと気が済まないし、自分を追い詰めることも苦じゃないタイプ。例えばアイドルをやっていたらダイエットをみんな考えるものなんですけど、やっぱり年頃の女の子だからついついお菓子に手を出しちゃうんです。だけど、私は自分の意志でスッパリ断ち切ってしまう。基本にあるのが根性論なんでしょうね。休養期間を経た今の私は、前みたいにガツガツしていないですよ。今回もセンターになったからといって、「引っ張っていくぞ!」というよりは「みんなで一緒にがんばっていこうよ」って感じですし。
──確かにそれは大きな違いですね。
自然と肩の力が抜けていったんです。だから今は「プロレスをやれ」と言われても無理ですね。プロレスは観るだけにしておきます。
──もうハリウッドJURINAとしてギラギラする段階じゃないわけですね。
昔は私や先輩たちがギラギラしていたけど、若手メンバーはそうでもなくて、その温度差がけっこうあったんです。今度は逆に若手メンバーがギラギラして、私たちは一歩引いたところから見守っていきたい。SKE48は「センターになりたい」と口にするメンバーが多いんですね。これは、すごくいいことだと思うんですよ。SKE48のセンターになるっていうのは、ある意味、AKB48のセンターを務めるより大変だと私は考えているんです。というのもSKE48はずっと私がセンターをやっていた分、そのイメージが強すぎて、誰がやってもプレッシャーがかかるはずなので。私が休んでいる間、須田ちゃんも泣きながらセンターに立っていました。それでも「センターになりたい」っていうメンバーがいるのは頼もしいですよ。
今はSKE48もいろんなことが変わっていっている途中。だから本当に未来が楽しみです
──休養を挟んで大きく変わったということですが、松井珠理奈の第2章はどんなイメージで展開していくつもりですか?
例えばダンスに関して言うと、今までは元気いっぱいキレキレで踊るっていう部分に力を入れていたんです。ここからはもう少し余裕を持って、お姉さんっぽくなりたいんですよね。セクシーさとか、大人っぽさとかのニュアンスも出していきたいので。もともと男の人からヒップホップダンスを習っていたこともあって、メリハリをつけて優雅に踊るっていうのが苦手だったんです。自分の年齢も上がったことですし、女性ならではの表現というものを意識していきたいです。ちょっとだけ不安なのは、女の子のファンの皆様からどう思われるかっていうことなんですけど。
──女性らしい表現を身に付けたほうが女子受けするという話じゃないんですか?
私のことを好きだと言ってくださる女性の方って、「カッコいい珠理奈が好き」という意見が多いんですよ。もちろんそれは私にとってもうれしいことだし、私自身、男装とかするのも好きなんですけどね。そう言ってくれた人たちが、女性っぽく変わる私を好きになってくれるかなという不安が若干あるんです。あと元気なダンスじゃなくなった瞬間に「手を抜いている」って思われるのも怖いんですけど、そこは私の変化だし挑戦だと捉えて温かく見守っていただけたらうれしいです。
──休養期間を経て松井さんが大きく変わったように、SKE48メンバーの意識も変わったんじゃないですか?
それは感じましたね。特に須田ちゃんは、みんなの先頭に立って厳しいことを言うようになりました。ライブ前に円陣を組んで、けっこうキツい口調で仕事に対する向き合い方を話したりしているんですよ。嫌われる勇気を持てるようになったんだと思います。今はSKE48もいろんなことが変わっていっている途中なんです。だから本当に未来が楽しみですね。
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自分へのメッセージかなって私も感じました
- SKE48「Stand by you」
- 2018年12月12日発売 / avex trax
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初回限定盤 Type-A
[CD+DVD]
1646円 / AVCD-94203/B -
通常盤 Type-A
[CD+DVD]
1646円 / AVCD-94207/B - CD収録曲
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- Stand by you
- 凍える前に(Team S)
- 地元民たちよ(愛知トヨタ選抜)
- Stand by you off vocal
- 凍える前に off vocal
- 地元民たちよ off vocal
- DVD収録内容
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- Stand by you Music Video
- 凍える前に(Team S) Music Video
- 10周年記念リバイバル「手をつなぎながら」公演
-
初回限定盤 Type-B
[CD+DVD]
1646円 / AVCD-94204/B -
通常盤 Type-B
[CD+DVD]
1646円 / AVCD-94208/B - CD収録曲
-
- Stand by you
- 蹴飛ばした後で口づけを(Team KII)
- 地元民たちよ(愛知トヨタ選抜)
- Stand by you off vocal
- 蹴飛ばした後で口づけを off vocal
- 地元民たちよ off vocal
- DVD収録内容
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- Stand by you Music Video
- 蹴飛ばした後で口づけを(Team KII) Music Video
- 10周年記念リバイバル「制服の芽」公演
-
初回限定盤 Type-C
[CD+DVD]
1646円 / AVCD-94205/B -
通常盤 Type-C
[CD+DVD]
1646円 / AVCD-94209/B - CD収録曲
-
- Stand by you
- 入り口(Team E)
- 地元民たちよ(愛知トヨタ選抜)
- Stand by you off vocal
- 入り口 off vocal
- 地元民たちよ off vocal
- DVD収録内容
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- Stand by you Music Video
- 入り口(Team E)Music Video
- 10周年記念リバイバル「ラムネの飲み方」公演
-
初回限定盤 Type-D
[CD+DVD]
1646円 / AVCD-94206/B -
通常盤 Type-D
[CD+DVD]
1646円 / AVCD-94210/B - CD収録曲
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- Stand by you
- ありがとうは言いたくない(松村香織)
- 地元民たちよ(愛知トヨタ選抜)
- Stand by you off vocal
- ありがとうは言いたくない off vocal
- 地元民たちよ off vocal
- DVD収録内容
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- Stand by you Music Video
- ありがとうは言いたくない(松村香織) Music Video
- 10周年を愛知でPR 完結編
- 24th Single Music Video Special Movie
-
劇場盤 [CD]
1080円 / AVC1-94211 - 収録曲
-
- Stand by you
- 神様は見捨てない
- 地元民たちよ(愛知トヨタ選抜)
- SKE48 24th Single Medley
- Stand by you off vocal
- 神様は見捨てない off vocal
- 地元民たちよ off vocal
- SKE48(エスケーイーフォーティエイト)
- AKB48の全国進出第1弾として、名古屋・栄に誕生したアイドルグループ。名称の由来は、活動拠点の栄(SaKaE)の頭文字。秋元康の総合プロデュースにより、2008年7月より活動をスタートさせる。AKB48同様「会いにいけるアイドル」をコンセプトに、栄にあるSUNSHINE SAKAE 2階のSKE48劇場(SUNSHINE STUDIO)にてチームS、チームKII、チームE、および研究生が公演を行っている。2009年9月にシングル「強き者よ」でメジャーデビュー。2011年5月にエイベックスへのレーベル移籍を発表し、7月に移籍第1弾シングル「パレオはエメラルド」をリリースする。2012年9月に1stアルバム「この日のチャイムを忘れない」を発表。2017年2月には2ndアルバム「革命の丘」が発売され、同年7月にはシングル「意外にマンゴー」を発表した。2018年1月にグループの10周年イヤーの幕開けを飾るニューシングル「無意識の色」をリリースし、7月には10周年イヤー第2弾シングルとして「いきなりパンチライン」を発売。12月に松井珠理奈をセンターに据えたシングル「Stand by you」を発表する。