SixTONES|6人の音色が共鳴した、ジャニーズJr.としての最後の公演

SixTONESのライブBlu-ray / DVD「TrackONE -IMPACT-(トーンインパクト)」が10月14日にリリースされた。

YOSHIKI(X JAPAN)が楽曲を提供した「Imitation Rain」で1月22日に待望のCDデビューを果たしたSixTONES。単独としては初のライブ映像作品「TrackONE -IMPACT-」には、デビューを記念した同タイトルのアリーナツアーより1月7日の神奈川・横浜アリーナ公演の模様が収録されている。

音楽ナタリーでは、SixTONESにとってジャニーズJr.としてのラストライブとなった横浜アリーナ公演を振り返りながら、「SixTONESは楽曲に恵まれている」という本人たちの発言をもとに、彼らのオリジナル曲をピックアップしつつライブの魅力を深堀りする。

文 / 寺島咲菜

磨き上げられたSixTONES流パフォーマンス

ジェシー、京本大我、松村北斗、髙地優吾、森本慎太郎、田中樹で構成されるSixTONES。ドラマ「私立バカレア高校」の共演をきっかけに、2015年にグループを結成した6人は苦楽を共にし、挑発的かつ野生味あふれるパフォーマンススタイルを確立してきた。そして2019年8月、ジャニーズJr.が集結した東京・東京ドーム公演「ジャニーズJr.8・8祭り ~東京ドームから始まる~」にて、2020年にSnow Manと同時にCDデビューすることが発表された。

「TrackONE -IMPACT-」はデビュー日となった1月22日の前後をまたぐSixTONES初の単独アリーナツアー。デビューの約2週間前に行われた1月7日公演は、6人がJr.としての集大成を見せる大きな節目であり、ファンにさらなる躍進を約束する場でもあった。本稿では、映像化されたその公演の模様をじっくりとお伝えする。

うちわとペンライトを握り締めたファンの“SixTONESコール”が響きわたる横浜アリーナ。荘厳なSEが流れると、赤や青のライトが妖しげに客席を照らし始め、オーディエンスから悲鳴に似た歓声が上がる。メンバーの登場を今か今かと待ち構えるファンの前に、メンバーカラーのスポットライトが照らされた大きな幕が現れ、1曲目「Rollin'」のイントロが始まると同時に勢いよく幕が下ろされた。そこにはクリスタル型の巨大ゲージに入った6人の姿が。激しいロックチューンに合わせてゲージを回転させる曲芸のような身のこなしは、オーディエンスの度肝を抜いた。ゲージから放たれたメンバーは、滝沢秀明プロデュースのミュージックビデオでも話題を呼んだ「JAPONICA STYLE」、舞台「少年たち To be!」で初披露されて以来、奇抜な“パンチラダンス”で人気を集めている「RAM-PAM-PAM」など、名刺代わりとなるオリジナル曲を余すことなくパフォーマンス。ハイカロリーなダンスが連続する、瞬き厳禁の序盤パートとなった。

6人で世界へ

世界進出を目標に掲げるSixTONESは、YouTubeが世界的に展開している“アーティストプロモキャンペーン”にデビュー前から抜擢されるなど、ワールドワイドな活躍が期待されている。特にジェシーは「ザ少年倶楽部」を通じてさまざまな洋楽をカバーしてきた。

ジャニーズグループのデビュー公演では、オリジナル曲のみでセットリストを構成するには持ち曲が十分でないゆえに、先輩グループの楽曲が披露される機会が多い。SixTONESは、SMAP「Battery」や赤西仁「I.N.P」、そして山下智久「PARTY'S ON」など英語詞を中心としたエレクトロ調のナンバーを、SFチックな演出で歌唱。入念にリハーサルを行ったという「PARTY'S ON」では指の形をイメージした可動式装置に体を固定させ、アクロバットパフォーマンスを見せた。

カバー曲をクールに歌いつないだ中盤パートが終わると、ジェシー扮するMr.ズドンが作詞作曲した「Mr.ズドン」、6人の存在感を強く印象付ける「Amazing!!!!!!」などオリジナル曲が再び披露されていく。Mr.ズドンがリーダーシップをとる「Mr.ズドン」では“ズドンコール”でアリーナが一体になるものの、Mr.ズドンを除く5人の統一性を欠いた即興ダンスでステージ上はカオス状態に。「Amazing!!!!!!」におけるストレッチ運動をヒントに生まれたパフォーマンスも注目ポイントの1つで、あぐらをかいた姿勢から始まる斬新なダンスはジャニー喜多川氏も気に入っていたという。

SixTONES史に残る「Imitation Rain」

SixTONESのデビューまでの道のりは決して順風満帆ではなかった。彼らは後輩たちに先を越されながら、ジャニーズJr.として長い下積み時代を過ごしつつ、デビューの機会をうかがっていた。髙地と松村は2009年に中山優馬 w/B.I.Shadowの一員としてCDデビューを果たしているものの、グループは自然消滅。6人はライブや舞台でパフォーマンスを磨き、グループのYouTube公式チャンネルでトーク力を鍛えるなど、あらゆるシチュエーションで努力を重ね、デビューへの切符を掴みとった。

音楽番組やイベントでたびたび披露されてきたデビュー曲「Imitation Rain」。その中でも、ツアー7日公演での「Imitation Rain」は、メンバーだけでなくファンの心にも深く刻まれた歴史的なハイライトとなった。降りしきる雨のSEが流れる中、6人はどこか張り詰めたような表情で花道を歩き始める。SixTONESがメインステージに着き、1列に並んでまっすぐに客席を見据えると、事前に収録された6人のメッセージが会場中に響きわたった。そこには彼らがJr.時代に抱いていた焦燥感や、逃し続けたデビューへの思い、仲間やファンへの感謝など6人のさまざまな心情があふれていた。ジェシーが「SixTONESと最高の旅を始めよう。この曲で」と前置きし、静謐なピアノの音色と共に「Imitation Rain」がスタート。Jr.を卒業し、新たな旅に出る6人のパフォーマンスを、ファンはしかと目に焼き付けた。感極まりながらもフルで歌いきり肩で呼吸をする松村、精悍な顔つきのジェシー、涙をこらえてうつむく田中、強い眼差しをカメラに向ける京本、髙地、森本。6人の雄姿を見守ったオーディエンスは、彼らの門出を祝福するかのように拍手を送り続けた。

京本のJr.最後のわがまま

アンコールでは、晴れやかな表情をしたメンバーがステージに再登場。ここで届けられた「NEW WORLD」「光る、兆し」はこれまでのSixTONESの軌跡をたどりながら、さらなる飛躍をファンに誓うメッセージソングだ。髙地が自身のモットーである「日々笑顔」を体現する「"Laugh" In the LIFE」も歌われ、いよいよライブはフィナーレへ。6人がそろってグループ名を高らかに叫ぶエンディングかと思われたが、京本は「わがまま言ってもいい?」と切り出し、締めくくりの言葉について「『俺たちがジャニーズJr.』って言っていい?」と提案する。ほかの5人は照れくさそうにしながらこれを快諾したものの、普段はまとめ役の田中が涙を流し始めると、つられてジェシー、松村、髙地、提案を持ちかけた京本も男泣き。そんな彼らを森本は温かい目で見守っていた。手を取り合った6人はジャニーズJr.としてファンの前に立つ最後の公演を「俺たちがジャニーズJr.」という言葉で結んだ。

「TrackONE -IMPACT-」ツアーは横浜アリーナ公演のあと、福岡・マリンメッセ福岡、大阪・大阪城ホールと続いたが、北海道・真駒内セキスイハイムアイスアリーナ、松村の地元である静岡・エコパアリーナでの公演は新型コロナウイルス感染拡大の影響で中止となってしまった。会場に足を運べなかったファンも、SixTONESのターニングポイントとなった横浜アリーナ公演を映像作品で堪能しつつ、次なるライブに思いを馳せてほしい。

映像作品「TrackONE -IMPACT-」は異なる特典映像を収めた初回盤、通常盤の2形態が販売されている。初回盤にはライブ本編のほか、アリーナツアー「TrackONE -IMPACT-」と昨年のホールツアー「Rough"xxxxxx"」の裏側を追ったドキュメンタリー映像「DOCUMENT Rough"xxxxxx"~TrackONE -IMPACT-」と、6人が「TrackONE -IMPACT-」の秘話や見どころを語るビジュアルコメンタリーを収録。一方、通常盤には「Rough"xxxxxx"」ツアーより昨年11月19日に開催された東京・東京国際フォーラム ホールA公演のダイジェスト映像が特典として収められており、本編には収録されていないオリジナル曲「Jungle」「Hysteria」「Night Train」のパフォーマンス映像を観ることができる。