半年間駆け抜けたおかげで成長した

──前回のインタビューで山内さんは「聴いてくれる人の背中を押して、胸に抱えた言葉にできないモヤモヤを代弁したい」とおっしゃっていました。その通り歌詞やライブのMCで、ブレずにリスナーの背中を力強く押してくれますよね。この気持ちはどこからきているものなのでしょうか？

山内　僕が聴いてる音楽へのリスペクトからきてるんだと思います。SUPER BEAVERも、昔から好きなフラワーカンパニーズも、がんばらなきゃいけないときに力をくれる音楽なので。僕にとって音楽はそういう存在なんですよね。

細川　あとそもそも彰馬の人間性もあると思います。彰馬って僕から見たらすごくピュアなヤツだと思うんです。今回のアルバムには4曲すべてに「生きる」というテーマが入っていて。僕たちの世代ってSNSですぐ「死にたい」とか、「もうやだ」とか書いちゃうんですけど、悪い意味で死が“軽い存在”になってしまってるんですよね。だからそれに負けないぐらい「『生きる』という言葉を書いてやろう」って彰馬が言ってて。「死にたい」っていう人に「それは違うだろ」って言える、そんな彰馬の人間性に救われることも多いんですよね。

たいたい　メンバーだけど同世代として同じ悩みを抱えてる中で、やっぱり1曲歌詞が上がってくるときに、最初に背中を押されるんですよね。毎回そうなんですけど、それを一緒に形にするっていうところで、最初のリスナーとして「どうしたらもっと伝わりやすくなるかな」っていうところを考えて制作に挑んでますね。

──先ほどメジャーデビューするにあたって不安な気持ちがあったとおっしゃってましたが、前回インタビューしてからの半年間が体感では2カ月くらいに感じてしまうほどさまざまなことが起こって。きっと環境もすごく変わったと思いますが、戸惑いはなかったですか？

露口　けっこう状況も変わって、正直戸惑ったときもありました。でもこの半年間でちょっとずつ成長しているんじゃないかなあと思いますね。こんなこと言ったらメンバーに怒られるけど、前まではライブのミスをあまり気にしてなかったんですよ。感情でバーっと音源と違うことをしちゃったりだとか。でもメンバーから「それはダメだろう」と言われるようになって、すごく当たり前のことですけど、ライブのクオリティを上げなきゃなという意識に変わったりました。

細川　うん。最近はバンドとか音楽の話をしてる割合がすごく増えたよね。それに伴って仁（露口）のミスだったり、そういうことから目を背けなくなりましたね。

山内　ライブの本数が去年に比べてめちゃくちゃ増えて、いろんな場所にいくようになったからこそ「こんなところにも聴いてくれる人がいてくれるんだ」って実感して、1本1本をさらに重いものとして捉えるようになって。だからもっとクオリティを上げたくて、メンバーともスタッフさんともちゃんとぶつかれるようになったよね。この半年間駆け抜けてきたおかげで成長したと思うし、周りがさせてくれたと思うし。だから短く感じたっていうのはすごくいい意味ですね。走ってきました。

──いよいよメジャーデビューですが、今後の目標はありますか？

山内　自分たちも、ステージも、どんどん大きくしていきたいです。でも大きくなっていっても、近い存在でいたいなっていうのはすごく思いますね。そこは変えたくないです。

たいたい　メジャー発表直後に、Twitterで「さみしい」とか「遠くに行っちゃう」っていう声がたくさん届いて。でもそれが僕たちにとってはすごく不思議な感覚だったんですよね。メジャーデビューしたら僕らの音楽がいろんなところで流れるし、たくさんライブができるようになってある意味身近な存在になれると思うんです。だからもっともっと親近感を感じてほしいですね。