湘南乃風 RED RICE×SHOCK EYE|充電期間を経て戻る場所 2年間の答えと「四方戦風」

湘南乃風が5月20日にニューアルバム「湘南乃風 ~四方戦風~」をリリースする。

デビュー15周年を迎えた2018年にアルバム「湘南乃風 ~一五一会~」をリリースし、それを携えたアリーナツアーで全国を巡ったのち、無期限の充電期間に入っていた湘南乃風。デビュー以来、走り続けて来た彼らがその歩みを止めたのには果たしてどんな理由があったのか。そして、完全復活を告げる本作が完成するまでにはどんな思いがあったのか。ビデオ通話でSHOCK EYEとRED RICEの2人にインタビューを実施し、その疑問を紐解いていく。

取材・文 / もりひでゆき 撮影 / 西槇太一

湘南乃風にどう向き合っていくか

──メジャーデビュー15周年を迎えた2018年、湘南乃風はアルバム「湘南乃風 ~一五一会~」をリリースし、全国ツアー「風伝説 ~一五一会TOUR 2018~」を開催しました。非常に充実したアニバーサリーイヤーだったと思うのですが、その後、グループは一旦その歩みを止めます。あのタイミングでなぜ湘南乃風は活動を止めなければいけなかったのか。その理由から聞かせてください。

SHOCK EYE

SHOCK EYE ツアーのリハを始めた頃から、いろいろ話し合いをしていました。僕らはデビューしてからずっと初期衝動のままに休むことなく走り続けてきたわけですけど、その過程の中でいつの間にか走っていることが当たり前になってしまっていて。だから15周年を機に、もう一度目的意識を持って活動するために、1回立ち止まることが必要なんじゃないかということになったんです。メンバーの中にもいろんな意見はあって、「このまま続けたい」ってメンバーもいたんだけど。

──やみくもに活動歴を重ねていくことに対して疑問符がついたということでしょうか。

SHOCK EYE そうかもしれないですね。振り返ると10周年のときって、自分たちの集大成としてのパフォーマンスをスタジアムで見せることができたりとか(参照:湘南乃風、10周年記念で悲願の横浜スタジアム単独公演)、個人的にはすごくキラキラした節目になったんです。でも15周年のときは、少なくとも僕が思い描いていた湘南乃風とは少し違っていたような気がした。だから、メンバーそれぞれが湘南乃風に対してどう向き合っていくかを考えるために、期限を決めず充電期間を設けることにしたんです。

RED RICE 僕個人としては、このままずっと続いていくものだと思っていたし、むしろ歩みを止めずに続けたいという気持ちでした。ただ、それぞれが思っていることを包み隠さず言い合い、深いところまで突っ込んで話していくと、それぞれの思いにバラつきがあることがわかって。だったら少し止まる時間も必要なのかもなと思えたというか。とは言え、期限が決まってなかったから不安もあったし、この2年は常に危機感がありましたよ。

──充電期間中は各メンバーが個々の活動を活発化させていましたが、その裏では湘南乃風に対してじっくりと向き合っていたわけですね。

RED RICE はい。湘南乃風は自分の中にずっと存在していたものだから、当たり前に思っていた部分がすごくあったと思うんですよね。だから改めて向き合ってみると、見えてくることもいろいろあった。「自分は本当に必要とされているのかな」みたいなことを考えたりもしたし。グループでやっていると、人の手柄が自分のものになっちゃうこともあるから、自分自身に対しての評価がわからなくなってしまっていたところもありました。だから僕はこの2年間、お芝居をしてみたり、ソロ曲を作ってみたりしながら、自分の持っているスキルを確認し、湘南乃風での立ち位置を再確認していたんだと思います。その結果、湘南乃風と自分の関係がちょっとずつ明確になってきたような気がしていて。じっくり考える時間を与えてもらえたことは幸せなことだと思います。

覚悟を持って、もう一度

──期限を決めていなかった充電期間を終え、再び動き出すことになったのには何かきっかけがあったんですか?

SHOCK EYE それは「龍が如く」ですね。

──今年1月に発売されたPS4ソフト「龍が如く7 光と闇の行方」の主題歌となった「一番歌」を書き下ろしたこと(参照:湘南乃風がユニバーサルミュージックに移籍、「龍が如く」新作主題歌リリース)がきっかけだったと。

SHOCK EYE はい。公私ともに仲よくさせていただいている名越稔洋さん(「龍が如く」シリーズ総合監督)が声をかけてくださって。きっと湘南乃風の動きが止まっていることを心配してくださった部分もあったと思うんですよね。しかもあの曲は中田ヤスタカくんとのコラボという、僕らとしてもすごくエキサイティングなトピックもあったので、「じゃあ、4人でやろう」ということになって。名越さんにはすごく感謝しています(参照:湘南乃風&中田ヤスタカ「一番歌」特集 湘南乃風HAN-KUN&RED RICE×中田ヤスタカ×名越稔洋座談会)。

──ひさしぶりとなる湘南乃風としての作業はいかがでしたか?

RED RICE

RED RICE 僕は単純にこの4人でやれたことが楽しかったし、うれしかった。名越さんが湘南乃風に声をかけてくれたのは、今まで僕らがやってきた仕事に対しての評価だと思うし、僕らを見て何かを感じてくれたからこそじゃないですか。それが、この2年の間に自分なりにいろいろ考えてきたことへの1つの答えになったところもありましたから。再始動一発目が「一番歌」で本当によかったと思いましたね。

SHOCK EYE この4人で何かを作ると単純にフィットしますよね。もちろん中田くんのサウンドっていう新しいアプローチはあったんだけど、でも「やっぱこれが湘南乃風だな」と思えるというか。「一番歌」はメンバー4人が集まって、各自のバースをその場で確認しつつ、ああだこうだ言いながら作ったんです。ある意味、そういう昔ながらのスタイルで作れたのもよかったんですよね。リハビリとしては、すごくいい一発目になったと思います。

──その段階で、活動を止めることになった根本的な課題は解決していたんでしょうか?

SHOCK EYE そこはメンバー同士で答え合わせをしてないから正直まだわからないし、きっと課題はまだ残っているんだろうなとも思います。「一番歌」でいいリスタートが切れたけど、言ったらそれは自分たちじゃない部分での動機によるものだから。これからさらにいろいろ考えなきゃいけないところはあると思う。ただ僕個人としては、とにかく前に進まなくちゃいけないってことだけはわかったんですよ。

──それはどうしてですか?

SHOCK EYE 僕らを頼りにしてくれるファンのみんながいてくれるから。僕らが背中を押さないと毎日が不安で苦しくて、倒れてしまいそうになる人たちがいるから。動きを止めていた間、僕はほんとにふがいない気持ちでいっぱいだったんですよ。何もできない自分たちに対して、「情けねえな、ダセえな」とずっと思っていた。やっぱり湘南乃風の役目をちゃんと自覚して、その責任は果たすべきだと思ったんですよね。その覚悟を持って、もう一度自分たちを鼓舞する必要があるなって。