音楽ナタリー Power Push - SHANK
長崎の“雑魚”、新天地へ
でっかい音で遊びたいだけ
──以前ライブで、庵原さんが「『SHANKってなんでメッセージがないの?』とかよく言われるけど、そんなんもともと求めてない。でっかい音で遊びたいだけだ」とおっしゃっていたのが印象的で。とはいえ「でっかい音で遊びたいだけ」じゃここまで来れないと思うんですよね。
庵原 うーん……アルバムを作るとか今回みたいにレーベルを設立するとか、ポイントポイントでは考えてきたと思うんですけど、基本的にはでっかい音で遊んでるっていうのは変わらないです。
松崎 ホントに好きなことやってるだけなんです。制作中もしんどくなったらスタジオ5時間取ってても1時間で帰ったりもするし。アイデアが出ない日は出ないんで。
庵原 ずっと曲を作ってたら嫌になることもあると思うんですけど、その感情に持っていかないための作業をするように心がけていて。例えば友達のクラブのイベントに遊びに行ったりとか。音楽を楽しめる自分の気持ちを作っていくっていうのは、最近すごく意識します。曲を作ろうと思って作るんじゃなくて、作りたいと思える状況にしようと。もちろんそれは楽しいことだけじゃなくて「今日クソやったわ」っていう感情でもいいと思うんですけど。とりあえず“作業”にならないようにと。たぶん俺ら、そういうのが曲に出やすいと思うので。
松崎 音楽に対してラフに考えてると思うんですよね。「カッコよくやりたい」「楽しくやりたい」以外に“こうやらないといけない”っていうのはないので。それが自分らでできなくなるようだったら辞めようっていう。本当に大きい音を出して遊んでた状況に、いろんな人が力を貸してくれて今の状況があるんだと思ってます。
今までで一番痛々しい
──今作「SHANK OF THE MORNING」は全体的に怒りがこもっているなという印象を受けました。
庵原 まあ怒ってたことが多いというか。例えば怒ってた人物に対してとか、ストレートな感情を曲にアウトプットできてたっていうのが多かった。最後の曲「Flightless」は金持って逃げた友達に書いた曲なんですけど。メンバーみんな仲良かったので、そいつへの怒りに任せてじゃないですけど、包み隠さず書きましたね。アルバム全体では今までで一番痛々しいというか、すごく喜怒哀楽がアウトプットされてるような1枚だと思います。
──あと1曲目「First Light Anthem」を聴いたときに、イントロが今までのSHANKとはちょっと違うアプローチだなと思いました。ポップパンクっぽいさわやかなギターリフで。
松崎 このイントロはもともと別々だった2曲を1つにしたんです。最初の部分は別の曲として作ろうとしてて、ギターだけになるところから別の曲であった。もうめんどくさいからつなげたんです。
庵原 この曲は最初GarageBandでなんとなく作ってて。そのときサーフィンの番組か何かを観てて、気持ちがすごく西海岸だったんですよ(笑)。だからああいうさわやかな曲に。この曲がいつもと変わってるかどうかは自分たちじゃわかんないですけど、確かに今までと変えようっていう意識はなかったわけじゃないと思います。今までと同じようなことしても意味ないなっていうところは常にあるんで。
──出すなら新しい何かを?
松崎 「前のアルバムみたいなのを」って言われたらじゃあ前のアルバムを聞いてくれればいいわけで。
庵原 昔あったような曲を出したところで、それは昔の曲には勝てないし。だから自分らの中で似たようなものは出さないっていうのは毎回意識してます。
──4曲目「Isn't She Lovely」はスティーヴィー・ワンダーのカバーです。SHANKはこれまでもカバー曲を入れていましたが、それはこだわりなんでしょうか?
庵原 楽しいっていうのが一番ですね。他人の曲って演奏してて楽しいんですよ。自分らじゃ思い付かないようなコード進行とか、メロディの乗せ方とかあって。毎回カバー曲を決めたりする時点で楽しい。今まではみんながあんまり知らないような曲をわざと選んでたんですけど、今回はみんなが知ってるハッピーな曲をやろうやって。
池本 「SHANKのあの曲いいよね」って言われて「ありがとうございます」って言いながらも心のなかで「俺らの曲じゃないんだけどな」って思ってることもよくあったので。単純に知ってる曲だとアガるし。
松崎 ちょうどこういうシャッフルビートの曲を作ろうとしてて。そのときに並行してカバー曲も考えてたから、将平がこの曲持ってきて、これだったらそのままシャッフル使えるんじゃないかってひらめいて。アレンジしたらいい感じにハマりました。
タイトで攻撃的な1枚に
──5曲入りの「SHANK OF THE MORNING」が出来上がって手応えはどうですか?
庵原 今までになくタイトだなと思います。無駄なものをなくした。
──それはタイトなものを作ろうとしたわけじゃなく、出来上がったらタイトに?
庵原 そうです。本当に無駄なものを削る作業が多かったですね。とりあえずシンプルにしようみたいな。ドラムのフレーズ1つにしても「そういうよくわかんないのいらない」「男らしい感じでやろう」っていう精神論みたいなことを言って。ストレートで刺さるものだけを入れようとしました。
池本 「男らしい感じか……」と。難しかったです。
庵原 「もっとしっかりしなさい!」みたいな。
松崎 フレーズだけじゃなくて、展開も猪口才なことはやめようって言って。
──シンプルさにこだわったのはなぜですか?
庵原 やっぱりメジャー第1弾って言われるのはわかってたんで、そのタイミングでこういうCDを出したらどうなるのかなって。あと攻撃的にというのは意識しましたね。メジャー第1弾だから守りに入るんじゃなくて攻めていこうと。
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- ミニアルバム「SHANK OF THE MORNING」 / 2015年9月30日発売 / 1404円 / BAiTFiSH RECORDS / CTCD-20031
- ミニアルバム「SHANK OF THE MORNING」
収録曲
- First Light Anthem
- Take Me Back
- Hope
- Isn’t She Lovely
- Flightless
- ライブDVD「11 YEARS IN THE LIVE HOUSE」 / 2015年9月30日発売 / 2160円 / BAiTFiSH RECORDS / CTBD-20032
- ライブDVD「11 YEARS IN THE LIVE HOUSE」
収録内容
- ライブ映像 SHANK 11th Anniversary ONE MAN SHOW" 2015.5.7@恵比寿LIQUID ROOM
- その他(SHANK秘蔵VTR等)
- 期間限定生産CD+DVD「SHANK OF THE MORNING×11 YEARS IN THE LIVE HOUSE」 / 2015年9月30日発売 / 3564円 / BAiTFiSH RECORDS / CTCD-20030/B
- 期間限定生産CD+DVD「SHANK OF THE MORNING×11 YEARS IN THE LIVE HOUSE」
収録内容
- ミニアルバム「SHANK OF THE MORNING」
- ライブDVD「11 YEARS IN THE LIVE HOUSE」
- 封入特典フォトブック付き
BLAZE UP NAGASAKI 2015
- 2015年10月11日(日)
長崎県 長崎市神の島公園特設ステージ
OPEN 9:00 / START 11:00
- SHANK / ARTIFACT OF INSTANT / BAN’S ENCOUNTER / The BONEZ / CONCRETE NAILS(オープニングアクト) / COUNTRY YARD / Day tripper / G-FREAK FACTORY / MEANING / My Hair is Bad / NUBO / ORANGE POST REASON / S.M.N. / SPARK!!SOUND!!SHOW!! / SUNSET BUS / WANIMA / ザ・アンドロイズ
SHANK OF THE MORNING TOUR
- 2015年10月15日(木)千葉県 千葉LOOK
- SHANK / dustbox / WANIMA
- 2015年10月16日(金)神奈川県 F.A.D YOKOHAMA
- SHANK / Boobie Trap / SUNSET BUS / おい、そこの道あけろ
- 2015年10月18日(日)茨城県 mito LIGHT HOUSE
- SHANK / NUBO / JELLYFiSH FLOWER’S / ircle
- 2015年10月23日(金)青森県 八戸ROXX
- SHANK / SPARK!!SOUND!!SHOW!! / THE FOREVER YOUNG
- 2015年10月24日(土)岩手県 盛岡club change
- SHANK / SPARK!!SOUND!!SHOW!! / THE FOREVER YOUNG
- 2015年10月27日(火)宮城県 enn 2nd
- SHANK / HOTSQUALL / SPARK!!SOUND!!SHOW!!
- 2015年10月30日(金)京都府 KYOTO MUSE
- SHANK / MEANING / OLEDICKFOGGY
- 2015年11月1日(日)兵庫県 MUSIC ZOO KOBE 太陽と虎
- SHANK / BOMB FACTORY / 打首獄門同好会
- 2015年11月6日(金)富山県 Soul Power
- SHANK / COUNTRY YARD / HEY-SMITH
- 2015年11月7日(土)長野県 Sound Hall a.C
- SHANK / COUNTRY YARD / G-FREAK FACTORY
- 2015年11月8日(日)新潟県 GOLDEN PIGS RED STAGE
- SHANK / COUNTRY YARD / G-FREAK FACTORY / 四星球
- 2015年11月17日(火)北海道 札幌PENNY LANE24
- SHANK / TOTALFAT / Northern19
- 2015年11月20日(金)山口県 LIVE rise SHUNAN
- SHANK / Dizzy Sunfist / S.M.N.
- 2015年11月21日(土)岡山県 IMAGE
- SHANK / Dizzy Sunfist / and more
- 2015年11月23日(月・祝)愛媛県 Wstudio RED
- SHANK / Day tripper / MOROHA / Northern19
- 2015年11月24日(火)香川県 DIME
- SHANK / Day tripper / MOROHA / Northern19
- 2015年11月27日(金)三重県 M'AXA
- SHANK / THE CHERRY COKE$ / My Hair is Bad / PAN
- 2015年11月28日(土)岐阜県 yanagase ants
- SHANK / THE CHERRY COKE$ / My Hair is Bad / PAN
- 2015年12月1日(火)愛知県 名古屋CLUB QUATTRO
- SHANK / SHAKALABBITS
- 2015年12月2日(水)東京都 渋谷CLUB QUATTRO
- SHANK / KEMURI
- 2015年12月3日(木)大阪府 梅田CLUB QUATTRO
- SHANK / SiM
- 2015年12月10日(木)福岡県 Queblick
- SHANK / SNATCH / and more
- 2015年12月12日(土)長崎県 Studio Do!
- SHANK / SNATCH / and more
SHANK(シャンク)
長崎在住の庵原将平(Vo, B)、松崎兵太(G, Cho)、池本雄季(Dr, Cho)からなるスリーピースバンド。スカの要素を多く取り入れたメロディックパンクサウンドで人気を集めている。2014年には「FUJI ROCK FESTIVAL '14」「COUNTDOWN JAPAN 14/15」など大型フェスティバルに出演。その名をさらに広めた。2015年、それまで所属していたインディーズレーベル・THE NINTH APOLLOから離れ、エイベックス内に自主レーベル・BAiTFiSH RECORDSを設立する。 9月には同レーベルより3rdミニアルバム「SHANK OF THE MORNING」、DVD「11 YEARS IN THE LIVE HOUSE」を同時リリース。10月には自主企画イベント「BLAZE UP NAGASAKI 2015」を長崎・長崎市神の島公園特設ステージにて開催する。