ナタリー PowerPush - SHAKALABBITS

メンバーが語り尽くすKING脱退の真相&バンドの今

昨年12月1日に前任ベーシストKINGの脱退を、オフィシャルサイトで突然発表したSHAKALABBITS。そのあまりに赤裸々なメンバーコメントに、驚かされたファンも多いはずだ。しかし、彼らはバンドとしての歩みを止めることなく、同月末のライブで新ベーシストYOSUKEの加入を発表。間髪入れずに、新編成で初となるアルバム「Condenser Baby」をリリースした。

今回のインタビューでメンバー4人は、KING脱退までの経緯を含め当時のバンドの状況を吐露。さらにYOSUKE加入までの流れや、彼が加わったことで生まれ変わったバンドのこと、アルバム「Condenser Baby」についてなど、バンドの近況について余すところなく語ってくれた。

取材・文 / 西廣智一 インタビュー撮影 / 中西求

6~7年前から「あら?」っていう兆候はあった

──KINGさんの脱退発表にはビックリしたファンも多いと思いますが、まずは脱退に至るまでの経緯をお訊きしたいと思います。

UKI(Vo) どこまでさかのぼりましょうか?

──……というレベルの話なんですね。

インタビュー風景

UKI そうですね。6~7年前から「あら?」っていう兆候はあって、その頃からバンドとして「これでもか」ってくらいにみんなでキンちゃん(KING)をフォローしてきたと思います。

TAKE-C(G) 特にここ数年は、キンちゃんのために割く時間が増えていって。ツアーのリハーサル前になると、曲の解釈やベースのフレーズを僕らがずっと教えていって、その時間がかなり長くなってきたんですね。

MAH(Dr) 僕らが何も言わなくても、ちゃんと気付いてほしかったんですけどね。だから、3年くらい前に意を決して「キンちゃん、それだと多分ダメだ。ミュージシャンだったらちゃんと楽器や自分の出す音と向き合わないと、プロとして音楽で飯を食っていけないよ」って言って。でも、やっぱりキンちゃんは甘えちゃってて……結局、曲も作らずベースラインも考えず、レコーディングもどんどん人任せになっていって、それを何年も続ければ……。

TAKE-C 麻痺しちゃう。

MAH そう。ミュージシャンのやれることってすごく限られてるんですよ。こういう場で話をさせてもらうこと、楽器を演奏すること、曲を作ること、ライブをすること。その半分以上を放棄したら、それはもうミュージシャンではないだろと。自分自身がやるべきことをちゃんと見つめろと。彼にも同じように言ったんですけど、「わかった」って答えて結局逃げてしまったんです。

UKI 気付けば全部が中途半端なものになっていて、ベースも生活も、自分の思想もそうだし、あまり考えずにずっと放っておいてしまってたのかなって。本人にも「カッコつけるな」って言い続けてたんだけど、「そうだな、自分ってカッコつけてたと思う」と答えるけど何をカッコつけてたのか理解しないまま次に行こうとして、結局進んでは戻ってを繰り返して。気付いたらだいぶ後ろに戻ってしまってたんです。それが去年の2月くらい、ちょうど沖縄でこのアルバムのプリプロ合宿をしてた頃。その前にツアーをしてたんですけど、それも散々なもので、ツアー前からキンちゃんのための練習時間を結構割いて。

TAKE-C 結構どころじゃないよ、全部だよ。

そこまで音楽が好きじゃなかったんだな

──なるほど。で、4月には震災で延期になった新木場STUDIO COAST公演がありましたが、それ以降はどんな感じだったんですか?

UKI 5月くらいになるとキンちゃんのモヤモヤパワーがスタジオ中に蔓延して、みんなどこかフワフワしていて、どんどんバンド内の様子がおかしくなってましたね。

TAKE-C それでもレコーディングはスタートしてしまう。やっぱりキンちゃんにベースを弾いてもらいたいから、ベースラインだけ抜き出したテイクを作って、ビデオにも撮って「本チャンのレコーディングではこう弾くんだぜ」みたいな話までして。でも、いざレコーディングに入っても弾けなくて、時間だけが押し迫る。

MAH そういう状況で、8月くらいかな、リハスタに入ったときにキンちゃんから「もう演奏する側に立ちたくない、ベース弾くのもやだ!」って言われたんです。ここ何年かの彼の姿勢を見て「そこまで音楽が好きじゃなかったんだな」っていうのがなんとなくわかってたんで、「じゃあ好きなようにしなよ」って。

──皆さんKINGさんの話を聞いた後、バンドについてどうしようって話し合いましたか?

インタビュー風景

UKI 私たち3人は続けたい気持ちが強かったですね。アルバムは制作途中だし、年末のイベントもアルバムツアーも決まってたので。でも、キンちゃんはさらに暗くなっちゃって、またそこで「自分で決めた覚悟でしょ!」って励まして(笑)。

MAH 避けられたりとかね。

UKI 「小学生か!」って言って(笑)。

MAH そんな中で学園祭ツアーが決まって。学園祭を盛り上げるために僕らを呼んでくれてるのに、そこでキンちゃんが「これが最後です」みたいなことを言ったら、せっかくの学園祭が楽しくなくなってしまうと思ったんです。

TAKE-C それだけはやめようって言ったんだよね。

UKI 年末の「COUNTDOWN JAPAN 11/12」出演も決まってたし、どうしようって思ったけど、でも答えを出してくれてよかったっていう気持ちはありますね。

MAH 何年も何年も「がんばる」って言ってポーズを取ってきたけど、やっと自分の本心を素直に言えるようになったんだなって。それは本当に良かったと思うんです。

UKI でも、「これからどうするの?」って訊いたら「東京で仕事を探す」とか言って。「そんな簡単なことじゃないよ?」って、今後がものすごく心配になってきちゃったんだよね(笑)。スタジオにいる間は人生相談みたいになっちゃって、みんなでキンちゃんの将来について話し合って。学園祭ツアーの練習も最後のほうは、キンちゃんも新たな人生の準備ってことなのか、スタジオには来なくてあまり一緒に練習できなかったけど、ライブ自体は楽しめたんじゃないかな。キンちゃん自身も。

ニューアルバム「Condenser Baby」 / 2012年2月15日発売 / 3000円(税込) / ポニーキャニオン / PCCA-03546

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CD収録曲
  1. Player (Instrumental)
  2. Condenser Baby
  3. Tope con Giro
  4. mademoiselle non non –special-
  5. ユメミギャロップ
  6. River's Edge
  7. YOU and ME
  8. A Magical Hand Story
  9. Go An' Let Me Go
  10. Blue Flamingo
  11. I'm a Dreamer
  12. mademoiselle non non –dubwise-
  13. Vamos A La Marcha
SHAKALABBITS(しゃからびっつ)

1999年に結成された、UKI(Vo)、TAKE-C(G)、YOSUKE(B)、MAH(Dr)の4人からなるロックバンド。パンキッシュなサウンドとポップなメロディ、UKIのキュートなボーカルがファンから高く支持されている。インディーズでの活動を経て、2002年にシングル「ROLLIE」でメジャーデビュー。2004年には全国ホールツアーを敢行し、翌2005年に初の日本武道館公演を成功させる。2006年にも全国ツアーの一環として、自身2度目となる武道館ライブを実施し即日ソールドアウトを記録。その後もライブとリリースを精力的に重ねてきたが、2011年12月に前任ベーシストのKINGが脱退。同月末に行われた「COUNTDOWN JAPAN 11/12」でのステージから、TAKE-Cの実弟YOSUKEが加わり現編成となる。2012年2月にはニューアルバム「Condenser Baby」をリリース。