ナタリー PowerPush - school food punishment

さまざまな出会いを反射させた待望のメジャー1stアルバム完成

昨年5月のメジャーデビュー以降、5枚のシングルをハイペースでリリースすることで、その存在をシーンへ鮮やかに知らしめたschool food punishment。いよいよ満を持しての1stアルバム「amp-reflection」を完成させた。

コアなリスナーをも唸らせる緻密なサウンドと、ボーカル&ギターの内村友美による繊細でリアルな詩が融合して生み出される、めくるめく世界。バンドとしての変化が色濃く反映された楽曲群から放たれる良質のポップネス。そこには彼らだけが手にした、圧倒的なオリジナリティが渦巻いている。

取材・文/もりひでゆき

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「1stにしてベスト!」はイヤだったんですよ

──待望の1stアルバム。school food punishmentというバンドが持っている個性が、ひとつの大きな世界を形作っているというか、心地良い統一感がありますね。

蓮尾理之(Key) シングル曲が多いので、「1stにしてベスト!」みたいな感じになっちゃうのはちょっとイヤだったんですよ。作品として通して聴けるものにどうしてもしたかったので、そこはすごく意識しました。1曲目にSEを入れたのもそういう理由で。

──1曲目の「signal」がプロローグ的な意味合いを持って存在していますもんね。それがあることで、スッとアルバムの世界に入っていけます。

蓮尾 ただ、マスタリングが終わるまでは、けっこう悩んでましたね。「これでいいんだろうか」とか。その後、家で何度も聴いたりとか、こうやってインタビューでいろんな話をしていくうちに、意外とコンセプチュアルにまとまった作品になったんだなぁって実感できるようになった感じですね。

比田井修(Dr) シングルはそれぞれに違ったテーマや目的を持って作っていたけど、アルバムとしてまとめてみると、トータル的な作品性が出せたような気はします。

──アルバム制作はいつ頃からスタートさせたんですか?

蓮尾 3rdシングルの「sea-through communication」(2009年10月7日リリース)を作り終えた後くらいから、アルバムに入れる曲とか、タイトルをどうしようかって話をし始めた感じですね。

──アルバムタイトルは早い段階で決めたんですね。

蓮尾 そうですね。曲もまだボヤッと「これがハマりそうかも」みたいな感じでしかなかったので、まずはタイトルを決めようって話になったと思います。

──「amp-reflection」というタイトルには、どんな意味を込めたんですか?

内村友美(Vo,G) デビューからの1年の軌跡がわかるものとして、名刺代わりのようなアルバムになるだろうと思っていたので、まずは自分たちが1年通してやってきたこと、変わってきたことっていうのを表す言葉として“amp”が出てきたんです。自分たちの中にインプットしたものを増幅して出すっていう意味合いで。でも、ただ出すだけではなくて、それがいろんな人に反射していって、また自分たちに返ってくるといいなっていう意味で“reflection”をつけました。

今までとは違うものを噛み砕けるようになった

──「変わってきたこと」っていうのは、具体的にどんな部分なんでしょう?

内村 人や周りの環境からの影響がすごく強くなったことですね。インディーズでやってたときは、ほんとに好きなようにやらせてもらってたんですよ。イヤなものはイヤっていう感じで。でも、この1年でかかわる人たちも増えたし、イヤでは終われない感じになったというか。そこで自分が間違ってたことにも気づいたし、いろんなことを考え始めたことで、作品がすごく変わっていったんです。今までとは違うものをインプットして、それを自分なりに噛み砕けるようになったところが一番大きな変化だと思うんですよね。

──そういう変化は、アルバムに収録されている楽曲たちにも反映されていますか?

内村 1曲1曲に、ダイレクトに反射しているなぁっていう感じはありますね。歌詞にしてみても、今まではどうしようもない状態で終わっているものが多かったと思うんですけど、今回の曲たちを後から見なおしてみると、すごく救いのあるものが多いことに気づいて。ヤダヤダヤダの曲であっても、最後には前を向こうとしてたりっていう姿勢を主人公が持ってるんですよね。それを確認したときに、自分たちもそうあろうとして1年過ごしてきたんだなっていうことがよくわかったというか。

──前回取材をさせていただいたときにも、フランスでのライブをきっかけにバンドとしての気持ちが外に向き始めたということをおっしゃっていたのが印象的で。そういうことが積み重なって手にすることができた変化なんでしょうね。

蓮尾 そうですね。ほんとにフランスの「JAPAN EXPO」や、サマーソニックのオープニングアクトとか、そういう大勢の人の前に立ったことがひとつのきっかけでしたね。で、それを経て、内村から「sea-through communication」って曲が出てきたのが転機になってると思います。

──バンド内だけで完結するのではなく、人とのかかわりや繋がりをより強く意識し始めたと。

蓮尾 そういう気持ちが今回のアルバムタイトルにも表れてますからね。やっぱりそういうことがこの1年のモードだったと思うし、アルバムとしての一貫したテーマにもなってると思います。

作品をより多くの人に届けたい

──曲作りの手法には変化はありましたか? 以前は、バンドでセッションをしている横で内村さんが歌詞やメロディをガーッと作っていくスタイルだとおっしゃっていましたが。

内村 そういう曲もあるし、そうじゃない曲も増えてきましたね。例えば、「line」は一番新しい曲なんですけど、これは蓮尾くんが1人でだいたいのものを用意して、「ここはこういう感じで」とか、メンバーにディレクションしながら作っていったんです。作り方はいろいろ多彩になってきた感じはしますね。

蓮尾 みんなで一緒にスタジオに入って、時間をかけて曲の断片を作っていくよりも、それぞれができることを持ち寄って一気に作り上げる方法が良かったりするときもあるんですよね。あとは、「future nova」なんかは、バンドのセッションで原型はできたけど、サビのメロディは内村じゃなくて山崎さんが書いたものを使ったんですよ。

山崎英明(B) サビだけを考えるっていうのは初めてでしたね。内村さんっていうメロディメーカーがいてこそのschool foodっていう意識もあったので、すごく悩んだりはしたんですけど、自分が思うschool food感とか、自分だったらこうしてみたいっていう思いとかを入れながら作ってみたんですけど。

蓮尾 あと、「after laughter」では、内村が弾き語りでワンコーラス分の原型を持ってきて、アレンジをプロデューサーの江口(亮)さんにお願いしてっていうやり方をとったりもしましたし。今回、作り方はほんとに様々ですね。

比田井 作品をより多くの人に届けたいっていうふうに、自分たちの目的が変わってきたと思うんですよ、やっぱり。なのでアレンジ面でも、今まではメンバー4人だけでっていう気持ちがあったけど、例えばドラムを打ち込みにすることも、曲をより良く聴いてもらうためだったらアリだなと思えるようになったし、ストリングスを入れてみたりっていうこともできるようになったし。今まで閉じてた部分に、空気を入れてどんどん広げていくというか、そういう作り方で幅が広がったと思いますね。

メジャー1stアルバム「amp-reflection」 / 2010年4月14日発売 / EPIC Records

  • 初回限定盤[CD+DVD] 3600円(税込) / ESCL-3414~3416 / Amazon.co.jpへ
  • 通常盤[CD] 3059円(税込) / ESCL-3417 / Amazon.co.jpへ
DISC1
  1. signal
  2. goodblue
  3. butterfly swimmer
  4. future nova -album edit-
  5. 電車、滑り落ちる、ヘッドフォン
  6. light prayer
  7. after laughter
  8. 04:59
  9. 駆け抜ける
  10. futuristic imagination -album version-
  11. line
  12. パーセンテージ
  13. sea-through communication
DISC2(初回盤のみ)
  1. signal
  2. goodblue -instrumental-
  3. butterfly swimmer -instrumental-
  4. future nova -album edit instrumental-
  5. 電車、滑り落ちる、ヘッドフォン -instrumental-
  6. light prayer -instrumental-
  7. after laughter -instrumental-
  8. 4:59 -instrumental-
  9. 駆け抜ける -instrumental-
  10. futuristic imagination -album version instrumental-
  11. line -instrumental-
  12. パーセンテージ -instrumental-
  13. sea-through communication -instrumental-
初回盤DVD収録内容
  • セルフライナーノーツムービー収録
Live Information
「amp-reflection」release tour “Switch”
  • 2010年5月21日(金)名古屋Electric Lady Land
    OPEN18:30/START19:00
  • 2010年5月23日(日)福岡DRUM SON
    OPEN17:30/START18:00
  • 2010年5月24日(月)広島ナミキジャンクション
    OPEN18:30/START19:00
  • 2010年5月30日(日)仙台HOOK
    OPEN17:30/START18:00
  • 2010年6月1日(火)札幌KRAPS HALL
    OPEN18:30/START19:00
  • 2010年6月6日(日)心斎橋CLUB QUATTRO
    OPEN17:00/START18:00
  • 2010年6月11日(金)LIQUIDROOM ebisu
    OPEN18:00/START19:00
school food punishment
(すくーるふーどぱにっしゅめんと)

内村友美(Vo,G)、蓮尾理之(Key)、山崎英明(B)、比田井修(Dr)からなる4人組ロックバンド。2004年10月結成。2007年4月に1stミニアルバム「school food is good food」を発表し、同年11月に2ndミニアルバム「airfeel, color swim」をリリース。音源制作と並行して、ワンマンライブや全国ツアーなどライブ活動も精力的に行う。
2008年12月に発売した3rdミニアルバム「Riff-rain」はタワーレコードJ-Indiesウィークリーチャートで1位を記録。2009年3月に発表されたJUDY AND MARYのトリビュートアルバムでは「Brand New Wave Upper Ground」をカバ―し話題となった。
同年5月にメジャー1stシングル「futuristic imagination」をリリース。