ナタリー PowerPush - School Food Punishment

徹底的な意識改革を経て生まれた こだわりの新作「Prog-Roid」

メジャー1stアルバム「amp-reflection」から1年3カ月。School Food Punishmentから届いたアルバム「Prog-Roid」は、バンドのハイブリッドなアイデンティティを高らかに掲げる進化の1枚に仕上がった。

フックのあるメロディとキュートな内村のボーカルが導く、カラフルな曲調。バンドサウンドとプログラミングが一体となり、洗練されたセンスと生々しい熱量の両方を感じさせるサウンド。全11曲に、School Food Punishmentならではのポップセンスが息づいている。

ナタリーでは、内村友美(Vo)と比田井修(Dr)の2人にインタビューを実施。制作の背景にあったセカンドフェイズへの「意識改革」から、ビジュアル面も含めた仕掛けまで、新作についてじっくりと語ってもらった。

取材・文/柴那典

とにかくいいものを作ることだけに向かおう

──メジャーデビュー直後の怒涛のリリースに比べると、1stアルバムのリリースとツアーの後からこの2ndアルバムにかけてはじっくり時間をかけて作品を作ってきた感じもありましたけれども。まず、自分たちの活動をどういうふうに位置付けて、このアルバムに向かっていったんでしょう?

内村 振り返ると、去年の「amp-reflection」をリリースするまでは、わけがわからない感じで進んできたんですよね。無我夢中だったし、どうしたらいいのかもわからず、ひたすら走ってきたという(笑)。

比田井 がむしゃらでしたね。

内村 で、次を作ろうと思ったとき、まず単純に「どうしよう?」と思ったんですよね。「amp-reflection」の仕上がりにはすごく満足しているし、いいものができたと思う。でも、それを超える2ndを作るためにはどうしたらいいんだろう? と。そこで、バンドをどう進めていくのかについてすごく話をして。

──どういう話をしたんですか?

内村 まず、自分たちでじっくり作ろうと思ったんです。わけわかんないまま走るんじゃなくて。自分たちが何をしたいのか、どうしたいのかをもっと見つめ直そうと。そういうことを考えて、去年の秋ぐらいから曲作りをしてきて。でも、どうやっても「amp-reflection」を超えることができなかったんですよね。で、すごく行き詰まったというか。

比田井 自分たちだけでやろうとしたことで、その壁を余計に感じたという。

──そこで 意識が変わったんですね。

内村 そうですね。自分たちの力だけでやるということにこだわって、それで納得するものができるまで延々と時間をかけるのは、果たしてどうなんだろうかって。何が一番大事なのかって、結局、自分たちでやることよりも、いいものを作るということなんです。だから完成した曲に納得いかなかった。それで、もう一度立て直そうということになって、年末から年明けにかけて、マインドを変えていったんです。自分たちの力だけで全部やるということじゃなくて、任せられる部分は任せて、とにかくいいものを作る。本当にそこだけに向かおうという方向になりました。

ポイントは「デジタル感とアナログ感の融合」

──School Food Punishmentにとって大事なことっていうのは、いいものを作るということですよね。でも、いろんなバンドが自分たちなりに考えた「いい」と思う音や価値観を出していると思うんです。だからこそ、School Food Punishmentなりの「良さ」が何か? ということが明確にならないと、ぼんやりしちゃいますよね。

内村 そうですね。その判断基準は自己満足じゃないんだということですよね。自分が「いい」と思うだけでいいわけじゃない。

──その「良さ」ってどういうものだと思います? School Food Punishmentの音楽は決して単純な成り立ちをしているわけじゃないと思うんです。スタイルが決まってるわけでもないし、キラキラしたエレポップというふうに簡単に言えるわけでもない。それが言いづらい分、バンドの「良さ」とか「らしさ」がハッキリしないと、向かっていく方向がばらけてしまうと思うんですよね。

内村 それについては、何かを決めるときに昔から「デジタル感とアナログ感の融合」だったり「相反するものが共存していること」を1つのポイントにしてきたんです。それが自分たちの「良さ」とか「らしさ」になったと思うんですよね。

──インディーの頃から、そういうことは変わっていない?

内村 インディーのときは、難しいこと考えてなかったです(笑)。デビューしてからも、自分たちの良さを突き詰めるというよりも、単純に「この曲カッコよくないですか?」くらいのつもりでいたから。

──でも、「良さ」とか「らしさ」って、ほかの人からのリアクションでわかったりしますよね。ビデオクリップの監督さんとか、ジャケットのデザイナーさんとか、そういう人から「バンドのカッコよさってこういうイメージでしょう」というアプローチがあったり。

内村 そうですね。そういうこともありますね。

ニューアルバム「Prog-Roid」 / 2011年7月13日発売 / Epic Records

  • 初回限定盤[CD+DVD] / 3500円(税込) / ESCL-37070~3708 / Amazon.co.jpへ
  • 通常盤[CD] / 3059円(税込) / ESCL-3709 / Amazon.co.jpへ
CD収録曲
  1. free quiet
  2. RPG
  3. in bloom
  4. ウツロウ、サンガツ
  5. are
  6. Ura Omote
  7. ハレーション
  8. flashback trip syndrome
  9. Y/N
DVD収録曲
  1. RPG
  2. Slide show
  3. in bloom
School Food Punishment(すくーるふーどぱにっしゅめんと)

2004年10月に結成された、内村友美(Vo)、蓮尾理之(Syn)、山崎英明(B)、比田井修(Dr)からなる4人組ロックバンド。2007年4月に1stミニアルバム「school food is good food」を発表し、音源制作と並行して、ワンマンライブや全国ツアーなどライブ活動も精力的に行う。2008年12月に発売した3rdミニアルバム「Riff-rain」はタワーレコードインディーズウィークリーチャートで1位を記録した。2009年3月に発表されたJUDY AND MARYのトリビュートアルバムでは「Brand New Wave Upper Ground」をカバ—し話題となった。 同年5月にシングル「futuristic imagination」でメジャーデビューを果たす。「futuristic imagination」や「light prayer」「future nova」「after laughter」といったシングル曲はアニメ「東のエデン」のテーマ曲に選ばれ、大きな注目を集めた。2011年5月には約1年ぶりの音源となるシングル「RPG」を発売。7月に2ndアルバム「Prog-Roid」をリリースする。