ナタリー PowerPush - school food punishment
さまざまな出会いを反射させた待望のメジャー1stアルバム完成
元々ロックっぽい曲がすごく苦手
──制作の手法や過程が印象に残っている曲ってあったりします?
内村 「パーセンテージ」ですかね。これは蓮尾くんが家で音を重ねたりしているときに、私も行って「ああでもない、こうでもない」みたいなことをしたんですよ。
蓮尾 元々はバンドアレンジのバラードっていう感じで、ちょっと甘めなサウンドに寄ってたんですけど……。
内村 もっと切なさとか、気が狂いそうな感じみたいなのを出したいなぁと思って。その中で、いろんなやり取りをしたのが印象的でしたね。
蓮尾 僕がサウンドを作ってる横で、内村がノートに箇条書きでズラズラッと、いろんなことを書き出してくれたんですよ。
──それは歌詞ではなく、曲に対するアイデアを?
内村 そうですね。ここでこういう音が、このタイミングで入ってほしいとか。
蓮尾 これ全部は叶えられないなぁと思いながらも(笑)、それを踏まえて音を足していったりして。で、パンク状態でよくわからなくなったところで、プロデューサーに整理してもらって形になったんです。
内村 そのプロデューサーに整理してもらう段階で、私の箇条書きは塗り替えられていくんですけどね(笑)。
──アルバムは全体的に疾走感のある仕上がりですけど、この「パーセンテージ」だったり、「04:59」だったりっていうちょっとテンポを落とした曲がすごくいいアクセントにもなっていますよね。
山崎 今までのschool foodの曲って、A・B・サビっていうのがちゃんとわかりやすく、パキパキってあったんですけど、「パーセンテージ」や「04:59」とかは、そっと始まって、後半に向けてだんだん上がっていくっていう感じなんですよ。なので、後半でしっかりと風景が見えるようにとか、そういう部分はかなり意識しましたね。自分なりにはいい感じでできたかなと思ってるんですけど(笑)。
──ボーカルもやっぱりアップテンポなナンバーとは表情が違いますよね。
内村 そうですね。元々、私は速い曲、ロックっぽい曲がすごく苦手なんで。どちらかというと、こういうタイプの方が昔は多かったし、得意ではあるんですよ。
──え! それは意外ですよね。
内村 今はそういう曲がすごく多いですからね。でも、そういう部分では、今回のアルバムでは苦手なことができるようになったなっていう印象もあって。この中で一番昔に録音してるのは「futuristic imagination」で、一番新しいのは「line」なんですけど、その2曲が並んでいることもあって、聴き比べるとすごく自分の成長を感じられるというか。「futuristic~」のときにやりきれなかったり、悔しかったことが、他の曲でできたのは良かったなって思いますね。
これがもう自分たちの最大の能天気
──歌詞は内村さんがすべてを手掛けていますが、難産だった曲ってあります?
内村 一番ツラかったのは「future nova」ですね。テーマは“能天気”だったんですけど、自分の中の能天気をどうやって見つけるかっていうこともまず苦労して。ほんとに明るいことだけをバーッて書いてしまうとウソっぱちになっちゃうなぁっていう気持ちがあったので。結果、苦しいけど這い上がるみたいなことを込めてみたんですけど。
──前を向いた曲ではあると思うんですけど、一般的な意味合いの能天気という印象ではない感じです、よね?
内村 これがもう自分たちの最大の能天気だったんですけど(笑)。
蓮尾 うん。これが精一杯ですね(笑)。
内村 これ以上明るいものは書けないなぁって思いました。何度、ラテン系の人に生まれ変わりたいと思ったことか(笑)。明るい曲を書くっていうチャンネルが自分たちの中にはあまりないので、じゃメロディとコード進行で明るさを出してみようってことにもなったんですけど、考えれば考えるほど暗くなっちゃうんですよ。それで泣きついたのが山崎さんのメロディだったんです。
──なるほど。そういう理由があったわけですね。
内村 そこでようやく明るいものが書ける見通しがついて安心したんですよね。
──でも、そういうスタイルの歌詞は、すごくschool foodらしい感じがしますよね。やっぱりリアリティを忘れないというか。生きている中で、何もかも忘れて、本気で能天気になれる瞬間なんてそうそうないですもんね。
内村 そう思えたら、そう書くとは思うんですけど、私が今まで生きてきて悩みが何もないっていうことが多分ないので、今のとこは書けないなと思うんです。でも、ポジティブという意味では、「駆け抜ける」みたいな曲もあるんですよね。明日イヤなことがあるかもしれないけど、とりあえず今は忘れようみたいな。それを能天気と言うかはわからないですけど、この13曲の中では多分一番元気なときに書いたんだと思います。
インストを聴けば耳コピもしやすくなると思います(笑)
──あと、面白いなと思ったのは、初回盤にアルバムの曲すべてのインストを収録したCDが同梱されることで。これも、緻密にサウンドを構築しているschool foodならではだなぁと思いました。細部までじっくり聴きたいと思いますもんね、やっぱり。
山崎 自分の好きなバンドだったら、「ベースはどんなことしてるんだろう?」とか、気になりますからね。そういう意味では楽しんでもらえるんじゃないかな、と。それぞれの音が聴き取りやすくなるので、耳コピもしやすくなると思います(笑)。
内村 インストだと、また曲の印象が違って聴こえるんで、私もビックリしましたね。なんか自分の声っていうのは、すごくポップスの声なんだなってことがわかったというか。演奏だけ聴くとすごく激しい曲なんだけど、歌が入るとちゃんとポップスに聴こえてるんですよね。それってある意味、いろんな人に聴いてもらいたいって思う面からすると、私はすごくいいことだと思ってて。
──そして、本作のリリース後、5月21日・名古屋Electric Lady Landからは全国ツアー“Switch”もスタートします。ライブ映えする曲がたっぷり収録されていますからね、すごく楽しみです。
比田井 ただアルバムの曲をやるだけのライブっていうよりは、お客さんを見ながらいい流れを作って、それ自体がひとつの作品というか、ちゃんとショウとして成立するようにこだわってやりたいなと思ってます。
内村 果たしてライブでそのままできるのか、っていう曲もあったりするんですけど(笑)、そこはいろいろ考えながら面白いことができたらいいなと思ってます。今まで行ったことのない場所にも行くので、楽しみに待ってて欲しいですね。
DISC1
- signal
- goodblue
- butterfly swimmer
- future nova -album edit-
- 電車、滑り落ちる、ヘッドフォン
- light prayer
- after laughter
- 04:59
- 駆け抜ける
- futuristic imagination -album version-
- line
- パーセンテージ
- sea-through communication
DISC2(初回盤のみ)
- signal
- goodblue -instrumental-
- butterfly swimmer -instrumental-
- future nova -album edit instrumental-
- 電車、滑り落ちる、ヘッドフォン -instrumental-
- light prayer -instrumental-
- after laughter -instrumental-
- 4:59 -instrumental-
- 駆け抜ける -instrumental-
- futuristic imagination -album version instrumental-
- line -instrumental-
- パーセンテージ -instrumental-
- sea-through communication -instrumental-
初回盤DVD収録内容
- セルフライナーノーツムービー収録
Live Information
「amp-reflection」release tour “Switch”
- 2010年5月21日(金)名古屋Electric Lady Land
OPEN18:30/START19:00 - 2010年5月23日(日)福岡DRUM SON
OPEN17:30/START18:00 - 2010年5月24日(月)広島ナミキジャンクション
OPEN18:30/START19:00 - 2010年5月30日(日)仙台HOOK
OPEN17:30/START18:00 - 2010年6月1日(火)札幌KRAPS HALL
OPEN18:30/START19:00 - 2010年6月6日(日)心斎橋CLUB QUATTRO
OPEN17:00/START18:00 - 2010年6月11日(金)LIQUIDROOM ebisu
OPEN18:00/START19:00
school food punishment
(すくーるふーどぱにっしゅめんと)
内村友美(Vo,G)、蓮尾理之(Key)、山崎英明(B)、比田井修(Dr)からなる4人組ロックバンド。2004年10月結成。2007年4月に1stミニアルバム「school food is good food」を発表し、同年11月に2ndミニアルバム「airfeel, color swim」をリリース。音源制作と並行して、ワンマンライブや全国ツアーなどライブ活動も精力的に行う。
2008年12月に発売した3rdミニアルバム「Riff-rain」はタワーレコードJ-Indiesウィークリーチャートで1位を記録。2009年3月に発表されたJUDY AND MARYのトリビュートアルバムでは「Brand New Wave Upper Ground」をカバ―し話題となった。
同年5月にメジャー1stシングル「futuristic imagination」をリリース。