ドイツでの幼少時代が自分の音楽に影響している

──独創的な世界観を持っている関取花さんのクリエイティビティの源を探るべく、これまでのお話をいろいろ訊いていきたいと思います。子供の頃に音楽にまつわる思い出はありますか？

ちっちゃい頃ドイツに住んでいたので、町中にトラディショナルミュージックみたいなものが流れていたり、学校で歌うのもヨーロッパ民謡みたいな曲に日本語の歌詞をつけたものだったりしたんですね。だから日常的に不思議な音楽に触れる機会があったんです。そういうところはなんとなく今の自分の音楽に影響しているのかなっていう気はしていますね。今でもそういう曲は聴きますし。今回のミニアルバムに「ラッターネ」っていう曲があるんですけど、あれは、ランタンを持って歌うとハロウィンみたいにお菓子がもらえるっていうドイツのお祭りへのオマージュみたいな感じで書いたんですよ。

──幼い頃に見た景色や様々な経験が曲になることは多いですか。

景色と物語みたいなものがバーッと浮かんで、それを歌詞にすることが多いんですけど、そこで浮かぶのはちっちゃい頃に見たドイツの景色が多いですね。ケルト民謡とかポルカとかワルツとかそういう音楽が好きなところや、英詩を翻訳したような日本語が好きなところも、きっとドイツでの経験が影響しているのかもしれないです。

部活引退記念のカラオケで「これだ！」

──実際にご自身で音楽を始めたのはいつ頃からだったんですか？

高校に進んで軽音楽部に入ったときからです。人から褒められることをやりたいなって思ったのがきっかけで。

──なぜそこで音楽を選んだんでしょうね？

私は中学で3年間バスケをやっていたんですけど、身長が149センチで止まってしまったので高校で続けるのは難しいかなって思うようになって。そのときに、今まで褒められたものを伸ばしてみるのもアリかもしれないなと思って、何があったかなと考えていた矢先に、ちょうど中学のバスケの引退試合があったんです。で、引退だ、お疲れだ、カラオケだ、みたいなことになったんですよ（笑）。

──引退記念としてみんなでカラオケに行ったと。

そうです。そこでみんなが自分の歌をすごく褒めてくれたんですよ。ちょっと引退っぽいあざとい選曲をしたせいもあったとは思うんですけど（笑）。それまでは人前で歌う機会もほとんどなかったし、カラオケもその日が初めてくらいな感じだったんですけど、ちょっといい気分になって「これだ！」と思っちゃって。で、高校で軽音楽部に入るっていう。

──歌うこと自体はずっと好きではあったんですか？

家族にはずっと音痴だって言われてたんですよ。だからそれが悔しくて……これほんとに誰にも話したことないんですけど、当時流行ってた「ピクミン」の曲をラジオから録音して、それを聴きながら練習していたことがあったんです。ひたすら練習してピクミンの歌にハモるっていう（笑）。そういうものすごく地味でくだらないことをしていたぐらいで、歌に関して全く何もしてなかったです。今思えば、その負けず嫌いな性格が功を奏したのかもしれないですけど。