ナタリー PowerPush - 関取花

「閃光ライオット」から3年 女子大生シンガーのリアルな姿を語る

「何か結果を残さなきゃ」とコンテストに出場

──軽音楽部ではどんな活動をしていたんですか?

インタビュー写真

軽音楽部に入ってすぐ、友達2人とバンドを組んだんです。でも、すぐにものすごい大げんかをしてしまって、ほぼ何もやらないまま仲違いして終わるっていう青春の1ページを刻み(笑)。そこからはしばらくダラダラ過ごしてました。で、高2のときに、自分に自信をつけたい、褒められたいっていう気持ちから、県内の軽音楽部が集まるコンテストに1人で参加したんです。締切りの1週間くらい前にバババッとやって曲を送って、そのときは準グランプリをいただいて。翌年に出場したときにはグランプリをいただきました。

──“バババッとやって”っていうのは、曲を作ったっていうことですよね?

そうですね。オリジナル曲でしか出場できなかったので。

──それまでに曲作りは始めていたんですか?

いや全然やってなかったです。それがほぼ初。中学生の頃にギターを買ってもらったんですけど、3日で弾かなくなっていて。それを高2のときに久々に触って、コードを3つか4つ使って曲を作ったんです。反抗心が全面に押し出された、かなりふさぎこんでる曲でしたけどね。「この世界はなんや!?」みたいな(笑)。

──その曲で準グランプリを獲れたことは自信になりました?

なりましたね。高3のときにはそのコンテストとは別に、「横浜ハイスクールミュージックフェスティバル」にも出場したんですよ。決勝まで行くと横浜アリーナで演奏できるっていう大会で。賞はいただけなかったんですけど、決勝までは残れて横浜アリーナには立つことができました。そこで見た景色は今でもすごく覚えてますね。たくさんの人が観てる中で演奏するのは、なんて気持ちがいいんだろうってすごく思いました。

──コンテストには積極的に参加していたんですね。

あんまり好きじゃないんですけど、何かやらなきゃみたいな部分があったんでしょうね。何か結果を残さなきゃっていう。そういう気持ちは常にあるので。

曲作りは高校3年間で通算2曲

──そして2009年には閃光ライオットにも出場し、審査員特別賞を受賞しました。今振り返るとどうですか?

決勝まで行けただけでもビックリだったのに、まさか賞までいただけるなんて。出場している人たちも、観ている人たちもバンドが好きな子たちが多いので、正直私がやってるような音楽は受けないだろうなと思ってたんですよね。審査員特別賞は絶対にズットズレテルズが獲ると思ってましたもん。ものすごくカッコよかったんで。

──デビューしたいという気持ちが高まりだしたのも、そのくらいの時期からですか?

インタビュー写真

そうですね。高校生のときには音楽を続けていこうなんてこれっぽっちも思ってなかったんですよ。曲作りも大会ごとに録って出しで、高校3年間で通算2曲でしたから(笑)。でもデビューできたらいいなって思うようになったのも、全然色気のある話ではなくって。もしデビューできたら、最近ニュースで話題になってる就職氷河期を迎えずに済むんだっていう安易な気持ちなんです。自分はこういう音楽がやりたくて、こういうメッセージを届けたいっていう気持ちも若干はあったとは思うんですけど、人知れず心の中で考えていたのはそういうことで。なんかすいません、掘ってもいい話が出てこなくて(笑)。

──いやいや(笑)。

そういう気持ちでやってたからか、前回のミニアルバム(2010年リリースの「THE」)を出した後に燃え尽き症候群になってしまって。実は「THE」を出した後の全国ツアーが終わってから、デビューに向けたプレゼンをしたんですよ。でも、そこで引っかかってくれるレーベルさんがいなかったので、一度音楽を止めることにしたんです。結果、半年間休んだんですけど、自分の中に音楽に対する強いこだわりがあって、音楽で食べていこうっていう強い意識があったとしたら、そういう選択はしなかったと思うんですよね。

──半年間休んだ後、再び動き出せたのはどうしてだったんでしょう?

以前は、私のイメージはこうだから、じゃあこういう曲を作ろうっていう感じが強かったので、音楽が楽しいわけじゃなかったんだと思うんです。だからそれを1回リセットして、その半年間では、純粋に自分がいいなと思う音楽を片っ端から聴いてみたり、初めて人の曲をコピーしてみたり、そういう中から気になるコード進行を見つけて、それを使って曲を作ってみたりっていうことをしていたんですよね。ほんとに純粋に楽しんで音楽を作っていたというか。

──自分にとっての音楽というものに、改めて向き合うことができた時間だったんでしょうね。

それも自分から向き合いにいったっていうよりは自然にそうなった感じでした。

ミニアルバム「中くらいの話」 / 2012年11月7日発売 / 1500円 / dosukoi records / DQC-973
ミニアルバム「中くらいの話」
収録曲
  1. 塀と宇宙
  2. 汽車のうた
  3. ラッターネ
  4. 石段のワルツ
  5. むすめ
  6. 10月のあなた
LIVE INFORMATION

2012年11月26日(月)
大阪府 南堀江knave
OPEN 18:00 / START 18:30

2012年11月27日(火)
京都府 京都ROOTERx2
OPEN 18:30 / START 19:00

2012年11月28日(水)
大阪府 天王寺おれん家
OPEN 18:30 / START 19:00

関取花「中くらいの話」レコ発ライブ

2012年12月14日(金)
東京都 下北沢GARAGE
OPEN 18:30 / START 19:00

関取花(せきとりはな)

1990年12月18日生まれの女性シンガーソングライター。幼少期をドイツで過ごし、日本に帰国した後の高校時代より軽音楽部で音楽活動を始める。2009年には「閃光ライオット2009」に出場し、審査員特別賞を受賞して大きな注目を集めた。2010年に初の音源となるミニアルバム「THE」をリリースし、全国ツアーを開催。その後約半年の活動休止を経て、再びライブ活動を本格化させる。2012年7月より、新曲「むすめ」が神戸女子大学のテレビCMソングに起用されて話題を呼ぶ。この「むすめ」を含む全6曲収録のミニアルバム「中くらいの話」を、11月7日にリリースする。