ナタリー PowerPush - SCOOBIE DO
奇跡のエバーグリーンミュージック CHAMP RECORDS勝負の1枚
「今のままでいいと思っているんじゃねえぞ」
──1作1作重ねるごとの進化や成長はもちろんあると思いますけど、SCOOBIE DOには最初の頃から変わらない軸もしっかりと残ってますよね。
マツキ 僕たちは1995年に結成したんですけど、当時日本はAIR JAM、海外だとOASIS……いわゆるギターロックが隆盛していた中で、僕らはそのカウンターとして1960年代のブルースやソウルを荒々しく演奏したくて始めたバンドなんです。それが16年続いて、大きなロックフェスに呼んでもらえるようになって、ひとつのロックバンドとして見られているというのは、不思議なんだけどすごくうれしいことで。同じ時期にやっていたバンドはもういなくなってたりする中で、僕らはまだSCOOBIE DOをやっていて、J-POPのフィールドで戦っていることを、昔の自分に教えてあげたい。「今でもやっている」ってことは改めて思うと感慨深いですね。
──カウンターでありながら非常にポップ、というSCOOBIE DOならではの音が16年前から一直線につながっているような。それがすごく良いかたちでパッケージされたのが「MIRACLES」なのかなと思います。
MOBY いわゆる集大成ってやつですかね。
ナガイケ ここで終わっちゃいそうだね(笑)。
──勝負作としては申し分ない内容なんじゃないかと。
マツキ 勝負というほど大げさなものではないですけどね。いつもよりお金をかけましたってだけで(笑)。5年後、10年後に鮮度を保ったまま残るような音楽を目指して、それができたと思えるアルバムです。僕ら的にはいいタイミングでできたかなって。そこの自信はありますね。
ナガイケ 10曲入ったデモテープを渡されたとき、「今のままでいいと思っているんじゃねえぞ」「もっと大きくならなきゃダメだぞ」みたいな、リーダーの強い意思を感じて。その思いが伝わってきたから、いいものを作らなきゃなっていう意識はいつも以上に高くなったかな。
──そういう具体的な話を、机を囲んで話し合うわけじゃないですよね?
ナガイケ うん。ただそういう気がしたってだけで。自分でも今ある状況に満足しているわけじゃないし、ただバンドがうまく回るようになってきただけだと思うから。そんでデモテープを渡されて、これは勝負をしようとしているんだなって。……いかがでしょうか(笑)。
コヤマ あはは(笑)。
MOBY そうだね。
勝負の先にある到達点は?
──SCOOBIE DOが「勝負をかけた」とき、その到達点は一体どこなんでしょう。
マツキ 武道館ですかね(笑)。
──意外とストレートな答えが出ましたね!
コヤマ 初めて聞いたよ(笑)。
マツキ いや、武道館は目指していますよ。いずれはね。
──例えば「ミュージック・ステーション」出演などは?
MOBY ドタキャンした外タレの代わりに2曲歌うとかね(笑)。
──いわゆる「100万枚売れる」とか、形式的な目標はSCOOBIE DOにもあるんでしょうか。
マツキ でっかい夢は持ってますよ。現状維持がきっと一番ダサいから。現状維持にだけはならないように、とは思っていますね。
Dプランまで考えてあります
──今回のツアーはどういう形態で回るんでしょうか。会場によってはホーンが入ったりすることも?
マツキ 基本は4人で。ゲストを迎えるのも考えてはいますが、基本はロックバンドスタイルで、いつものとおりに。
──前回は年末まで夏をゴリ押しするツアーでしたけど(笑)、今回のはどんなツアーになると思いますか?
コヤマ 何も考えてないですね(笑)。目の前の課題でいっぱいいっぱい。まあ、「MIRACLES」の曲をやるツアーになると思います。
ナガイケ そりゃそうだ(笑)。
──アルバムツアーでは、コヤマさんのMCがアルバムの世界観を表す重要なフレーズになっているところもあると思うんですよ。だからこの「MIRACLES」がコヤマさんのMCでどう表現されるのか楽しみで。MCは基本アドリブなんですか?
マツキ 完全にアドリブだよね。
コヤマ そうです。とりあえずDプランぐらいまで考えてありますけど。
MOBY どんなボーカルだよ!
SCOOBIE DO(すくーびーどぅー)
1995年にマツキタイジロウ(G)とコヤマシュウ(Vo)を中心に結成。1996年に現ドラマーのオカモト“MOBY”タクヤ(Dr)が加入し、自主制作カセットなどを販売する。1999年にK.O.G.A. RECORDSから初のシングル「夕焼けのメロディー」をリリース。続いて発表された1stアルバム「Doin’ OurScoobie」で圧倒的な存在感を放つロックバンドとしてその人気を確かなものとする。2001年にナガイケジョー(B)が加入し、現在の編成で活動開始。2007年には自主レーベル「CHAMP RECORDS」を立ち上げ、ライブのブッキングからCD制作、プロモーションまですべてメンバー自ら行っている。2011年10月5日、CHAMP RECORDS通算5枚目となるオリジナルアルバム「MIRACLES」を発表した。