SCANDAL|4人のソロインタビューで紐解く「アイボリー」の魅力

RINA(Dr, Vo)

RINA

“みんなが見たいSCANDAL”を見せたツアー

──まずは4月に開催された全7公演のファンクラブツアー「SCANDAL MANIA TOUR 2021 request」について聞かせてください。

RINA(Dr, Vo)

完走できて本当によかったです。去年は自分たちのライフスタイルの核であったライブがほぼできない時間をずっと過ごしていたので、目の前にお客さんがいてくれることがものすごく幸せで。ライブでしか感じられないエネルギーを今まで以上に感じながら、1音1音を大切に演奏できたツアーになりましたね。

──各公演のセットリストはWeb上で展開されている楽曲人気投票の結果が反映された内容でしたね。毎公演、その時点での最新ランキング上位10曲が演奏されるという。

2017年の47都道府県ツアー以降、毎回セットリストの違ったライブをするのが自分たちの中では定番になっているんですけど、今回はファンのみなさんに好きな曲を選んでもらったことで公演ごとの違いが出たのが面白かったですね。ツアーをやるにあたっては、「みんなが見たいSCANDALを見せたい」という気持ちが強かったので、リクエストライブという形にして正解だったなと思いました。意外と新旧曲がミックスされたランキング結果になったのもすごくうれしかったです。

──今も継続している人気投票の最終結果がどうなるのかが気になりますね。

はい。8月15日まで投票を受け付けていて、最終結果は8月21日の大阪城ライブ(SCANDAL 15th ANNIVERSARY LIVE「INVITATION」)で発表するので楽しみにしていてほしいですね。

これから先どうなるかわからないドキドキ感を詰め込んで

──そんなSCANDALから新曲「アイボリー」が届きました。この曲はどんな流れで生まれたのでしょうか?

MAMIから「こんなメロディ思い浮かんだんだけど、どう?」っていうお風呂で録った鼻歌のボイスメモが送られてきて。それがすごくキャッチーで好印象だったので、みんなで形にしていくことを決めたんですよね。実は「eternal」ができたあと、「次はどんな曲をやるのが正解なんだろう?」って、けっこうみんな悩んでいる時期があったんですよ。なんとなく落ち着いたテンポの曲をやりたい思いはあったんだけど、具体的なイメージが全然見えてこないというか。そんなときにMAMIからこの曲が送られてきて、ある意味、バンドとしてイメージがまとまらない状況がそのまま曲になったんだなっていう印象があって(笑)。

RINA(Dr, Vo)

──「明確な答えが見えなかったとしても、好きなことを楽しんでやればいい」という肯定感の強いメッセージが込められた歌詞になっていますよね。

そうそう。正解がわからなくて迷いながら、「これからどうなって行くんだろう?」と思うドキドキ感が歌詞に出てるなと思って。で、その内容は今の自分たちはもちろん、世間の状況にもマッチしていると思ったんです。全然押しつけがましくないのに、聴き手をちゃんと救ってくれる曲になっているところがすごく優しいなって。メロディも、歌詞もすごくいいですよね。

──パーソナルな感情が込められた曲なので、MAMIさんが歌うのもすごく自然ですよね。

MAMIの性格がそのまま出たような曲ですからね(笑)。それに今回は15周年ということも大きいとは思うんですけど、今までにやってこなかったことに挑戦したい気持ちが4人の中では大きくて。だからMAMIのボーカル曲をシングルとしてリリースしてみようって振り切れたところがあったんだと思います。

よりしなやかに、よりナチュラル志向に

──アレンジには宗本康兵さんが参加されています。

今回は鍵盤の音を入れたい思いがあったので、宗本さんにお願いしました。一緒にスタジオに入ったんですけど、お互いにアイデアを出しやすい空気感だったし、すごくスムーズにアレンジすることができて。めっちゃ楽しかったです。

──ドラムに関してはどんなイメージでプレイしましたか?

RINA(Dr, Vo)

ドラムから始まる曲なので、ビートが鳴った瞬間にお客さんの気持ちが高まるようなキャッチーさを意識してフレーズを考えていきました。あとは、弱くないんだけど、でもたくましすぎない感じのドラムにしたかったので、ちょっとこだわって音色を作ったりもしました。

──弱すぎず、たくましすぎないという絶妙な塩梅のムードは、サウンドの方向性は違えども「eternal」(2021年3月発売のシングル)と共通しているような気がします。

そうですね。どっしりした雰囲気ももちろん好きではあるんですけど、今はしなやかな感じを大事にしたいというか。普段の自分とあまりかけ離れていない音、素の自分のままで表現できる音楽を最近はすごく意識していて。今回はMAMIの書いた歌詞のテイストに引っ張られたところもあったので、よりナチュラル志向で作れたような気がします。

──そういったムードを大事にすることはバンド全体としての共通認識でもある?

はい。スタジオに入ると、しょっちゅうそういう話になります。ライブで盛り上がる激しくてとがった曲は今も好きだし、それを全部なくすっていうことではないんですけど、バンドを長く続けていくことを考えると、今の自分たちのフェーズを反映した曲を受け入れてもらいたい。そのための表現力をもっと付けていきたいなって今はすごく思っています。

──2021年に入り、すでに2枚のシングルを作ったわけですが、SCANDALは引き続き制作に励んでいるそうですね。

少し前からアルバムに向けた曲作りをしているんですよ。「eternal」以降、バンドサウンドだけにこだわらず、打ち込みを積極的に取り入れて、トラックベースみたいな曲にもトライしているので、次のアルバムはそういった雰囲気になるかもしれないです。この前フェスで「etarnal」をやったときに、自分たちが思っていた以上に受け入れてもらえたんですよ。そのことに大きな勇気をもらえたので、ここからはさらにいろんなトライができそうです。

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