SCANDAL|4人のソロインタビューで紐解く「アイボリー」の魅力

TOMOMI(B, Vo)

TOMOMI

ジャンルに囚われないSCANDALを表現できたツアー

──有観客での開催となったファンクラブツアー「SCANDAL MANIA TOUR 2021 request」はいかがでしたか?

本当にひさびさのツアーだったので開催できてめちゃくちゃうれしかったです。まだお客さんは声が出せないものの、「私たちが欲しているのはやっぱりこれだな!」って思いました。たぶんみんな心の中で一緒に歌ってくれてたと思うんですけど、ライブをやってるとその声が本当に聞こえてくるんですよ! これはまだ知られていない人間の能力だなって思ってるんですけど(笑)。

──ファンからの人気投票の結果を反映したセットリストも興味深かったです。

TOMOMI(B, Vo)

5年前にも一度、楽曲の人気投票をやったことがあるんですけど、そこから時が経ったことで曲数も増え、だいぶランキングの様子も変わりましたね。個人的にはどの時代の曲もまんべんなくランクインしているのがすごくうれしくて。SCANDALは1つのジャンルをやり続けてきたわけではなく、けっこう時期によって曲の雰囲気が違っていたりするんですよ。にもかかわらず、どの時代の私たちも愛してくれていることが今回の投票結果で伝わってきたんですよね。それにすごく自信をもらえたので、感謝の気持ちでいっぱいになりました。今回のツアーではある意味、15周年のアーカイブ的なことはできたかなと思っているので、8月21日の大阪城ホール公演(SCANDAL 15th ANNIVERSARY LIVE「INVITATION」)では最新の私たちを見てもらえたらいいですね。

今まで培ってきたものと最新の自分たちを織り交ぜられた

──ニューシングルとしてリリースされる新曲「アイボリー」はMAMIさんが作詞・作曲を手がけたナンバーです。最初に聴いたときはどんな印象を受けましたか?

デモが送られてきたとき、MAMIの独り言みたいな曲だなと思いました。毎週4人で集まってミーティングをしているんですけど、そこで私たちが話している内容をMAMIの話し言葉で曲にしてくれたような感じもして。私たちが共通して思っていることを曲にしてくれたことで、すごく救われたような気分になりました。

TOMOMI(B, Vo)

──アレンジに関してはどう詰めていったんでしょう?

普段MAMIが送ってくれるデモはわりと作り込まれていて、完成形が見えているものが多いんですよ。でも、「アイボリー」は弾き語りの状態で送ってくれたので、どんな方向にもアレンジできそうだとすごくワクワクしました。今回はアレンジに宗本さんに入ってもらい、みんなでいろいろ方向性を探りながら、一番いいバランスを見つけていくのがすごく楽しかったです。

──その中で見えたのはどんな方向性だったんですか?

サウンドはシンプルにしつつ、コーラスワークを全面に押し出した曲にしようと思いました。活動の中期くらいまでお世話になっていた大平太一さんにも参加してもらって、コーラスのディレクションをしてもらいました。大平さんはハモを作る天才なんですよ。ちょっとトリッキーなところもあるけど、とにかくカッコよく仕上げてくださるんです。今回はちょっとゴスペルみたいなことをしたいという相談をして、それをうまく形にしてもらいました。

──ここまでコーラスが入った曲はひさしぶりですよね。

そうですね。昔はそれが自分たちのスタンダードだったけど、今はもはや新鮮(笑)。そういう意味でも今回はすごく不思議な曲なんですよ。今までのシングルでは出してこなかった新しいタイプの曲だけど、ちょっと懐かしい気持ちにもなるっていう。今まで培ってきたものと最新の自分たちをうまい具合に織り交ぜられたような気がしてます。

一筆書きみたいな感じで自然に出てきた雰囲気

──ベースに関してはどんなこだわりを注ぎましたか?

ベースは基本的にめちゃくちゃシンプルにすることを心がけました。本当に独り言みたいな歌だから、バックのサウンドはあんまりうるさくないほうがいいなって。とは言え、ちょっとだけリズムを変えてみたりとか、淡々としたプレイにならないような工夫はしましたけどね。

──MAMIさんのボーカルがグッと際立つ仕上がりですよね。

TOMOMI(B, Vo)

MAMIちゃんの歌、めっちゃよくないですか?(笑) 本当にお気に入りです。曲自体、MAMIちゃんから一筆書きみたいな感じで自然に出てきた雰囲気があるので、レコーディングでも数回しか歌ってなかったと思います。いろいろ考えながら作ってはいたけど、サウンドも含め、今回は自然とこの形に導かれていった感じでしたね。みんな気に入ってくれたらいいな。

──曲の雰囲気にマッチしたMVも素敵ですね。

ありがとうございます。MVの中でメンバーが1人ずつ映るシーンでは、カメラの向こうでほかのメンバーがいろいろ指示を出したんですよ。「ちょっと笑ってみて」とか「悲しい顔してみて」とか。今までそんなふうにガン見されながら撮影したことってなかったので、この15年で一番恥ずかしかったかもしれない(笑)。ちょっと照れてはいるけど、自然な表情を引き出してもらえたんじゃないかな。

──「eternal」と「アイボリー」ができたことで、この先の展開が見えてきたところはありますか?

どうだろうなあ……。でも、この2曲で1本の線ができたような気はしているので、それをこの先にもつなげていきたい気持ちはありますね。言葉にするのは難しいけど、曲が持つ広さみたいなものが2曲に共通していると思うんですよ。さらに言うと、どちらも普段の生活の中で心地よく響く音になっている。これはきっとライブができなかったコロナ禍を経たことでたどり着いたサウンド感だと思うので、自分たちのスタンダードとしてもっと取り入れていけたらなとは思いますね。

次のページ »
RINAソロインタビュー