SCANDAL「LOVE, SPARK, JOY!」特集|自信を胸に結成20周年へ向かって

SCANDALが3月5日に4曲入りのEP「LOVE, SPARK, JOY!」をリリースした。

アルバム「LUMINOUS」以来、1年ぶりのフィジカルリリースとなる本作には、元日から3カ月連続で配信リリースしてきた楽曲と往年の名曲「Oh, Pretty Woman」のカバーを収録。配信リリースされた楽曲はミュージックビデオも公開されており、すべて同じシチュエーションで撮影されたMVには4人が全力で音楽を楽しむ姿が映し出されている。

結成当初はバンド未経験だったこともあり、楽曲提供を受け活動してきたSCANDAL。今回のEPでは「LOVE SURVIVE」や「夜明けの流星群」を提供した田中秀典、「瞬間センチメンタル」や「SCANDAL BABY」を提供した田鹿ゆういちといった初期のSCANDALの音楽を作ってきた2人とひさしぶりにタッグを組んだ。なぜ今回SCANDALは自分たちで楽曲を作らず、作家に楽曲の制作を依頼したのか。その理由は「もっともっと純粋に音楽を楽しみたい」という非常にポジティブなものだった。このインタビューではその思いをより深く紐解く。

取材・文 / もりひでゆき撮影 / 草場雄介

楽曲提供を受けたのはもっともっと純粋に音楽を楽しみたいから

──SCANDALは今年1月から新曲を3カ月連続配信してきましたね。そして今回それらの楽曲をまとめたEP「LOVE, SPARK, JOY!」が完成しました。フィジカルアイテムのリリースとしてはアルバム「LUMINOUS」以来、約1年ぶりとなりますが、本作の制作自体はかなり前から行われていたそうですね。

HARUNA(Vo, G) そうなんです。「LUMINOUS」をリリースするちょっと前、2023年の年末ぐらいから動き始めていました。

HARUNA(Vo, G)

HARUNA(Vo, G)

──今回のEPに収録されている楽曲はどれも初期SCANDALを支えていたクリエイター陣からの提供を受けたもので。メンバー全員が作詞作曲を手がけ、セルフプロデュースで活動してきた近年の動きを考えると、その選択をしたことこそが本作最大の面白さになっているなと思いました。

HARUNA まさに。2023年はギネス世界記録を獲った年だったんですけど、その先の自分たちが向かうところとしては2026年に控える結成20周年だよねとチームで話していて。振り返れば、ギネス世界記録に向けてやり切った気持ちがあったんですよ。自分たちの内面に向き合って、改めて自分たちのことを曲にすることも多かった。その時期を経たことで、未来に向けたSCANDALはもっともっと純粋に音楽を楽しむ気持ちを大事にしてもいいんじゃないかなと思うようになって。だったら自分たちで作詞作曲をするのではなく、今までSCANDALを支えてくれた人たち、SCANDALの音楽を構築してくれた人たちに曲を書いてもらいたい。そうすることが、いい意味で無責任に音楽と向き合えるきっかけになるのではと思ったんです。

TOMOMI(B, Vo) より楽しく音楽をやっていきたいという気持ちをみんなが持っていたんですよね。

──ここ数年、ソングライティングに対してスランプになっていたことを公言していたMAMIさんは、本作の制作以前から楽曲提供を受けたい気持ちがあったそうですね。

MAMI(G, Vo) はい。コロナ禍の頃から、どこに矢印を向けて曲を書いたらいいのかがわからなくなってしまって、それをずっと引きずり続けているところがあるんですよ。だから今の状況を助けてほしいという思いがずっとあって。私たちは楽曲提供を受けるということを昔経験しているので、そこに対する抵抗はそんなになかったですし、自分たちで曲を作れるようになった今、もう一度それを経験できる柔軟さこそがSCANDALらしいなと思ったんです。しかもハルちゃん(HARUNA)が言ったように、SCANDALの音楽を構築してくれた方々にお願いするわけなので、新たに勉強させてもらえることもきっとたくさんあるはずだし。「LUMINOUS」で思い切りやれた感覚があったので、すごくいいタイミングで実現しました。

MAMI(G, Vo)

MAMI(G, Vo)

TOMOMI 「LUMINOUS」ではRhythmic Toy WorldとEOWという友達と一緒に作った曲がありましたけど、その経験もすごく大きかったんですよね。特にEOWは、自分たちとまったく違うジャンルの音楽をやっているから、どんな曲ができるのか未知なところがあった。でも、実際に曲が仕上がって、自分たちで演奏したらちゃんとSCANDALの音になったんですよ。改めてバンドとして自信がついたうえで、また楽曲提供をしてもらうことにしたのは、すごくよかったなと思います。

──今回の曲たちも、一聴してSCANDALの音になっていることが感じられますもんね。

TOMOMI ありがとうございます。初期の自分たちを構築してくれた人たちとだったから、そうなるのは必然かなとは思いますけどね。でも、一緒に制作をするのは10年以上ぶりだったりもするので、新鮮な気持ちもありました。

初期の頃の作業とは全然違う実感がある

──「Terra Boy」と「どうかしてるって」はともに田中秀典さんが作詞作曲を、川口圭太さんがアレンジを手がけられています。

RINA(Dr, Vo) お二人に会うのはかなりひさびさだったので、最初に雑談も含めたミーティングの時間を設けて。そこで、これまでの自分たちのストーリーや今の自分たちが思っていることを正直に話させてもらったんです。さっきMAMIが話してくれたような、制作に行き詰まった瞬間があったっていう話も含めて。そうしたら2人は「そんなSCANDALが今、改めて声をかけてくれたことがすごくうれしい」って言ってくれたんです。特にひでさん(田中)は、4人全員が作詞作曲できるようになったから、一緒に仕事をすることは二度とないだろうなと寂しく思っていたみたいで。ものすごく熱量高く引き受けてくれたので、これは絶対にいい作品になると確信したし、2人を頼ってみて本当によかったです。

RINA(Dr, Vo)

RINA(Dr, Vo)

──楽曲のテイスト、方向性に関してもリクエストしたんですか?

RINA はい。とにかくバンドで楽しく、遊んでいるかのように演奏できる曲がいいですという思いを強く伝えました。あとは「ひでさんは初期からSCANDALのポップサイドを支えてくれてた人なので、遠慮せず、思い切りやっちゃってください」って(笑)。

TOMOMI ひでさんが得意な“キラキラしてて泣けちゃう”、“明るくて泣けちゃう”みたいな曲をもう一度やりたかったんですよ。ちょっと前までの私たちは自分たちと向き合って、それを歌った曲を出すことが多かったから、いい意味でわりとシリアスだったところもあって。だからこそ今回はそうではなく、私たち自身が無責任に楽しめる曲をやりたい気持ちが大きかったんです。

TOMOMI(B, Vo)

TOMOMI(B, Vo)

RINA 自分たちからは出てこないメロディや歌詞を歌い、演奏してみたい気持ちが大きかったので、どんな曲が届いても面白がれる状態でしたしね。とは言え、この先もずっと歌っていく曲にはなるので、気になるところを細かく変えてもらったりとか、「もっとこういう気分なんだよね」みたいなことはその都度、伝えて。単純に曲を提供してもらうというよりは、一緒に作っていった感じにはなりました。本当にいろんなことを話した気がする(笑)。そういう部分も含め、初期の頃の作業とは全然違う実感がありますね。