平行線が交わる世界もきっとある
さユり イメージボードでは、宇宙もモチーフにしてらっしゃいますよね。それも、すごくうれしかったです。
横槍 「平行線」は、サビの「太陽系を抜け出して平行線で交わろう」という歌詞に象徴されるように、宇宙も1つのテーマになってるのかなって。私も宇宙っぽいものはけっこう好きで、つい描いちゃったんですけど。
さユり 私も好きなんです。宇宙って、地上からは空として見えてるじゃないですか。でも見えるのに手が届かないから、自分にとっては思いを馳せやすい対象になっているというか、届かないからこそ想像が膨らむんです。それこそ「太陽系の向こうはどうなっているんだろう?」とか。
横槍 「平行線」の歌詞の内容は、「地球上では平行線は交わらないけれども、太陽系の外なら、また違う物理法則の中で交わるのでは?」みたいなことですよね。
さユり そうなんです。平行線が交わらないっていうのは当たり前なんですけど、そうじゃない世界もきっとどこかにあって、もしそこまで行けたとしたら、叶わない願いも叶うんじゃないかって。
「フラレガイガール」が「平行線」に至る道筋を示した
横槍 さユりさんの1stアルバム「ミカヅキの航海」も聴かせていただきまして、さんざん言われてると思うんですけど、やっぱり声がすごくいいんだなっていうのを改めて感じました。声質そのものはもちろん、ピーンと張ってるところと柔らかいところで、ニュアンスにメリハリもあって。
さユり ありがとうございます! ただ、「声が好き」って言ってくださる方も多いんですけど、正直、自分ではあまりピンとこないというか……ずっと自分の声は普通すぎて面白くないなって思っていたので。
横槍 ええ!? 普通どころか、むしろクセが強い……と言ったら言葉が悪いかもしれませんけど、十分個性も魅力もある声だと思いますよ。聴き手に刺さるって言うのかな。
さユり そう言っていただけると、自信になります。
横槍 作詞作曲に関してもやっぱり素晴らしいセンスをお持ちですよね。例えば「birthday song」とか。さユりさんの曲って、どれも背伸びしてないというか、等身大な感じがするんですけど、この曲は特にそれを強く感じましたね。
さユり 「birthday song」は、10代最後に書いた曲です。
横槍 なるほど。だから等身大のさユりさん感が色濃く出てたのかな。あと、単純に自分の好みで言ったら「蜂と見世物(サーカス)」もすごく好き。
さユり ダークな感じがお好きなんですかね。
横槍 ダーク(笑)。私は普段からアルバムを聴くときは、ちょっとトリッキーだったりテクニカルだったり、アルバムならではのアプローチを取り入れた曲に惹かれるんですよ。そういう意味で、「蜂と見世物(サーカス)」は個人的にこのアルバムのハイライトになってるかなと。それから、これはさユりさんの作詞作曲じゃないんだけど、野田(洋次郎)さんプロデュースの「フラレガイガール」もね。
さユり 中学のときからずっと好きで聴いていたRADWIMPSの野田さんから曲を提供していただけるなんて、夢のようでした。
横槍 「フラレガイガール」は、野田さんの歌詞が相変わらず素晴らしいんですけど、これをさユりさんが歌う意味をすごく感じたんですよ。さユりさんが歌うことでかわいらしく、重たくなりすぎず、でも芯のある歌にまとまっていると思います。
さユり うれしい。私は「フラレガイガール」の主人公を、勝手に「クズの本懐」の花火と重ねていたんです。だからある意味、「フラレガイガール」が「平行線」に至る道筋を示してくれたようなところがあります。
横槍 うんうん、確かにつながるところがあるかもしれないですね。じゃあ、私も野田さんに感謝しなきゃですね(笑)。
さユり そうですね(笑)。
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さユり インタビュー
- さユり「ミカヅキの航海」
- 2017年5月17日発売 / アリオラジャパン
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初回生産限定盤A
[CD+Blu-ray Disc]
3900円 / BVCL-791~2 -
初回生産限定盤B [CD+DVD]
3500円 / BVCL-793~4 -
通常盤 [CD]
2700円 / BVCL-795
- CD収録曲
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- ミカヅキ
- 平行線
- 十億年
- ケーキを焼く
- フラレガイガール
- 蜂と見世物(サーカス)
- るーららるーらーるららるーらー
- オッドアイ
- それは小さな光のような
- 来世で会おう
- knot
- アノニマス
- 夏
- birthday song
- 初回生産限定盤A Blu-ray収録内容
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- ミカヅキ MV
- それは小さな光のような MV
- 来世で会おう MV
- フラレガイガール MV
- アノニマス MV
- 平行線 MV
- birthday song MV
- 初回生産限定盤B DVD収録内容
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- 東京キネマ倶楽部ワンマンライブ&新宿ReNYワンマンライブ ライブダイジェスト映像
- 酸欠少女さユり アルバム「ミカヅキの航海」発売記念全国ツアー「ミカヅキの航海2017~夜明けの全国ツアー~」
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- 2017年7月21日(金)福岡県 DRUM Be-1
- 2017年7月28日(金)愛知県 ElectricLadyLand
- 2017年7月30日(日)宮城県 仙台MACANA
- 2017年8月11日(金・祝)東京都 TSUTAYA O-EAST
- 2017年8月13日(日)北海道 cube garden
- 2017年8月25日(金)大阪府 BIGCAT
- さユり
- 福岡県出身、1996年生まれのシンガーソングライター。人とは違う感性と価値観を持つことにコンプレックスと優越感を抱き、生きることへの息苦しさを感じる自分を“酸欠少女”と表現している。中学生の頃に地元でライブ活動をスタートさせ、2013年に上京。2015年3月には東京・TSUTAYA O-nestでのワンマンライブを成功に収める。同年8月にフジテレビ「ノイタミナ」枠のアニメ「乱歩奇譚 Game of Laplace」のエンディングテーマ「ミカヅキ」でメジャーデビュー。2016年2月に2ndシングル「それは小さな光のような」をリリースした。同年6月に配信シングル「るーららるーらーるららるーらー」を配信限定で発表し、iTunesトップアルバム総合チャートで1位を獲得。注目度の高まる中、12月に野田洋次郎(RADWIMPS、illion)楽曲提供およびプロデュースによる新曲「フラレガイガール」をリリース。2017年3月に発表したシングル「平行線」はフジテレビ「ノイタミナ」枠のアニメ「クズの本懐」およびドラマ「クズの本懐」のエンディングテーマに使用され、大きな話題を集めた。5月に1stアルバム「ミカヅキの航海」をリリースする。
- 横槍メンゴ(ヨコヤリメンゴ)
- 1988年2月、三重県生まれ。2009年、マガジン・ウォー(サン出版)にて成人向けマンガでデビュー。2010年にCOMICすもも(双葉社)にて、エロマンガ家と双子美少女の三角関係を描いたコメディ「はるわか」の連載を開始する。2012年に週刊ヤングジャンプ(集英社)にて掲載された、岡本倫原作「君は淫らな僕の女王」は、ヒロインが自制心を失う設定と、かわいらしい絵柄とエロのギャップが人気を呼んだ。同年、月刊ビッグガンガン(スクウェア・エニックス)にて、高校生の純粋かつ歪んだ恋愛を描く「クズの本懐」の連載を開始する。インターネット上ではヨリのハンドルネームで活動し、ニコニコ動画などVOCALOIDを使用した楽曲のイラストも手がける。イラストレーターとしても活躍中。
2017年5月12日更新