SawanoHiroyuki[nZk]「Tranquility / Trollz」 PR

SawanoHiroyuki[nZk]|[nZk]の本質を浮き彫りにする両A面シングル

劇伴作家・澤野弘之によるボーカルプロジェクトSawanoHiroyuki[nZk]のニューシングル「Tranquility / Trollz」が10月2日にリリースされた。

シンガーソングライター・Anlyをボーカリストとしてフィーチャーした「Tranquility」は、アニメ「銀河英雄伝説 Die Neue These 星乱」のエンディングテーマとして書き下ろされた壮大なミディアムナンバー。一方の「Trollz」には「進撃の巨人」や「プロメア」といった澤野弘之のサントラ作品で存在感のある歌声を披露してきたLacoが参加し、ダークな世界観を力強く描き出した楽曲に仕上がっている。

洋楽のエッセンスを独自に昇華し、[nZk]にしか生み出しえないサウンドをJ-POPシーンに提示する本作。澤野本人へのインタビューを通して、そこに込められた音楽家としてのこだわりを紐解いていきたい。

取材・文 / もりひでゆき 撮影 / 映美

彼女の出す歌声に高揚していた

──昨年4月にリリースされた「Binary Star」に続き、新曲「Tranquility」もアニメ「銀河英雄伝説 Die Neue These」のために書き下ろされた楽曲ですね。今回はセカンドシーズン「星乱」のエンディングテーマになっています。

澤野弘之

はい。「Binary Star」のときにはストリングスを使ってほしい、英詞でお願いしたいというオーダーがあったので、今回も同じような形なのかなと思っていたんですよ。でも実際は壮大さのあるミディアムテンポの曲というオーダーで、特にストリングスを求められている感じではなかった。なので今回は、英詞ならではのグルーヴ感は引き継ぎながらも、前回とは違ったアプローチを素直にやれたところはありましたね。

──サウンドアプローチで特にこだわったところはありますか?

打ち込みとバンドサウンドを融合させた楽曲にするというところですかね。今回、リズムを生で録ってはいるんですけど、キックなんかにはちょっと打ち込みっぽい要素を足しているんですよ。そういったアプローチは昨今の海外のポップスの影響ではありますね。

──壮大でドラマチックな楽曲ですけど、構成自体は案外シンプルですよね。

そうですね。意識してシンプルにしなきゃと思ったわけでもないんですけど、この曲はサビのメロディの強さとAnlyさんのボーカルにドラマチックさを委ねればいいかなという思いがあって。だから構成も含め、サウンド的には今の自分が作りたいものを突き詰めることができたとは思います。

──Anlyさんは2015年11月にメジャーデビューした沖縄出身のシンガーソングライターで、[nZk]プロジェクトには初参加ですね。

過去に「七つの大罪」の劇伴をやっているときに、第2期のエンディングテーマ(「Beautiful」)をAnlyさんが歌っていて。打ち上げでご挨拶させてもらったことがあったんです。そこでいただいたCDを聴いたときに「気になるボーカリストだな」と思ったので、今回こういった形でご一緒できたことがうれしいですね。

──存在感のある歌声で[nZk]の世界観を見事に表現している印象があります。

Anlyさんはご自身で作った洋楽テイストの曲を歌われたりしているし、YouTubeにはアヴィーチーやRed Hot Chili Peppersをカバーした動画もアップされていて。それがめちゃくちゃカッコいいんですよ。普段から英語の曲を歌ってるボーカリストだったからこそ、「Tranquility」にもいい形でハマったんだと思います。もちろん彼女自身もどうアプローチするかをすごく考えてくださってたみたいですしね。

Anly

──本作のリリースが発表された際、澤野さんはレコーディングに関して「あっという間の時間だった」とコメントされていましたね。

僕はせっかちな性格なので普段からだいたい2、3時間で歌入れは終わっちゃうんですけど(笑)、初めてご一緒する方だとどれくらいかかるかわからないじゃないですか。でもAnlyさんは全然いつも通りのペースで進めていけたんですよね。しかも彼女の出す歌声に対して、僕はもちろん、作詞をしてくれたmpiさんやBenjaminもみんなが高揚していたところもあって。すごく楽しい現場だったから、よりあっという間に感じたのかもしれないですね。

──Anlyさんは何か感想をおっしゃっていました?

大変だったとは言ってましたね(笑)。彼女はシンガーソングライターだから、ほかの人間が作ったメロディが歌いづらい部分はもちろんあるでしょうし、サビでは普段以上に張った強い歌声を僕が求めたところもあったので。でも、それによって違った聞こえ方をする自分の歌に出会えて、そこにやりがいを感じたみたいなこともおっしゃってくれました。

──後半に出てくる「Oh Oh」パートがいいですよね。

最近、自分の曲に「Wow Wow」「Oh Oh」を入れがちなんですよね。隙があればどっかしらで入れてやろうくらいな感じで(笑)。

──あははは(笑)。でもこのパートがあるとないとじゃ曲の印象がまた大きく変わってくるような気もします。

澤野弘之

そうかもしれないですね。あ、そうだ。今回は現場でそのアイデアが出たんですよ。もう1つアクセントになるようなメロディ、声の要素を入れたいなと思って。でも歌詞という感じではなかったから、「『Oh Oh』って歌ってもらっていいっすか?」みたいな感じで(笑)。彼女の歌を聴いている中で、歌詞を歌うのではないスキャット的なアプローチを入れても面白くなるのかなという興味もありましたし。

──現場で出たアイデアをその場で試して盛り込んでいくことはけっこうあるんですか?

いや、わりともうほぼほぼ完成形のイメージのままレコーディングが進んでいくことがほとんどで。でも、その場のテンションで、「あ、こんなことやったら面白いかも」と思い浮かべば、頻繁ではないですけどやってみることはあります。今回はシングル曲としては案外、レアなパターンだったかもしれないですね。