SANDAL TELEPHONE「REFLEX」インタビュー|1stフルアルバムはメンバー会心の出来栄え

SANDAL TELEPHONEが1stフルアルバム「REFLEX」をリリースした。

本作には2021年1月発表のEP「SYSTEMATIC」以降の既発曲に加え、数々の有名グループの楽曲を手がける古川貴浩や山崎あおいを制作陣に迎えた新曲を多数収録。種々様々な12曲を通してメンバーの成長と大人びた一面を味わうことができる。音楽ナタリーではメンバー3人にロングインタビューを行い、新体制で駆け抜けてきた2022年の活動の手応え、新曲の注目ポイントなどをたっぷりと語ってもらった。

取材・文 / 近藤隼人撮影 / 入江達也

しっかり1つのグループになれた

──今年に入り、SANDAL TELEPHONEは4人から3人体制になりましたが、夏を通してフェスなど多くの現場を経験してきた中、現在の活動に手応えを感じられていますか?

夏芽ナツ 3人体制になったばかりの頃は、正直手応えを感じられなくて、なんならちょっと人気が落ちちゃったかもしれないと思ってたんです。でも、アルバムを発売するにあたって、今までと違うことをしようという意識がメンバーみんなに芽生えて。リリースイベントについて案を出し合ったりしたし、短期間で新曲5曲をレコーディングするのも初めてだったので、自分の歌い方や見せ方を考えたりしました。これまで以上に多くの方が関わってくださっていることもあり、グループに活気みたいなものがあって、すでに披露している新曲もファンの方からのウケがいいんです。このアルバムをきっかけに勢いが出てきてるのかなと思います。それに、この夏はいろんなイベント、フェスに呼んでいただいて、たくさんの方に見てもらう機会が多くて、SANDAL TELEPHONEを気に入ってくれている人が増えてきたのかなと感じています。

SANDAL TELEPHONE

SANDAL TELEPHONE

──3人体制になりたての頃は、メンバーが1人少なくなった分、ファンの方の数も減ってしまったんでしょうか。

藤井エリカ 最初は4人体制のときと同じくらいお客さんが来てくれてたんですけど、それは初めだけで。そのあとは少しずつ減っていることを実感してました。でもナツが今言ったように、新曲を出したり、リリースイベントをやったりと、新しく動き出したことで前に進み始めているし、リリイベに来てくださる方も増えている実感があります。

夏芽 手応えみたいなのはあるよね。やったことがちゃんと返ってきてる感じ。生配信があるライブだと、視聴してくれた人からの反響もあります。

藤井 私たち、配信ウケがいいんですよ(笑)。エゴサするとSANDAL TELEPHONEのことをつぶやいている人がけっこういるんです。現場には来てくれないんだなと思いつつ(笑)、配信きっかけでリリイベに足を運んでくれる人もいて。

小町まい 前は「曲がいい」というツイートしか見かけなかったけど、最近は「かわいい」という声が増えてきました(笑)。メンバーのことに触れてくれるようになったのがうれしいです。

──ここまで3人体制で活動してきて、メンバー同士の関係性に変化はありました?

夏芽 以前は前身グループから在籍していた私とまい、そこに合流してきたエリカと朱音(2021年末に卒業した西脇朱音)でそれぞれ固まりがちだったんですけど、3人になってからは一体感が出たというか、エリカがこっちに来てくれた感じがあって。しっかり1つのグループになれた気がします。

藤井 友達という感じでもないけど、メンバーの前ではなんでも自由にできる関係性で。そのままの性格を受け入れてくれるのがとても楽です。

小町 これは私だけが感じていたのかもしれないけど、干渉し合わない関係性なのは変わらないながらも、以前のほうがバチバチでした。メンバーに対して「なんだよー!」と思ったり(笑)。私が負けず嫌いな性格なんですよね。でも、今はそう思うことはあまりなくなったかなって。チームとしてがんばってる感じ。

夏芽 3人になってちょっと勢いが落ちたときに、それぞれ危機感を感じたんですよね。そこから、みんなでがんばらなきゃという気持ちが出てきたんだと思います。

小町 今はメンバーに対してじゃなく、ほかのグループさんに対してバチバチしてます(笑)。

──小町さんは、メンバーのどんなところに対して負けず嫌いだったんでしょう?

小町 うーん、例えばライブで目の前にいるファンの方がほかのメンバーのことを見ていると、「なんでだろう」と思ったり。ほかのメンバーに負けてると感じたことはないんですけど……逆にナツとエリカは人に興味がないんですよね(笑)。私にはそれが信じられなくて。

小町まい

小町まい

小町まい

小町まい

藤井 私は私でメンバーにそっけない態度を取っちゃたり、面倒くさいタイプなんですけど(笑)、以前よりまいに接しやすくなったと思います。やっぱり前はなんかピリピリしてたから(笑)。

夏芽 メンバーそれぞれが「自分は自分」と思っていたというか、個々に分かれていた感じです。

藤井 ダンスもみんな激しかったんですよ。自分だけ大きく踊れてればいいっていう。ヤバかったですね、前は(笑)。

夏芽 新曲を披露するライブの本番前も、ダンスをみんなでそろえることより、自分が踊れるかどうかしか心配してなかったです。メンバーとしっかり話し合う機会もなくて、自分だけで考えて自分だけで解決しようとしていて。今は個人よりもグループという考え方に変わりました。みんなで一緒に動画を観て考えを共有したりと、お互いにいろいろ言いやすくなったと思います。

人間になったSANDAL TELEPHONE

──そのほかにパフォーマンス面で変化を感じることはありますか?

小町 前はお客さんへの“レス”を過剰にやりすぎて、スタッフさんに怒られるくらいだったんですけど、レスをしなくてもパフォーマンスがよければファンの方が増えるんだなとわかってきました。

──メンバーの数が奇数になり、小町さんはセンターのポジションに立つことが多くなりましたよね。

小町 特にサビで真ん中に立つことが多くなったので、かんばらなきゃと思ってます。でも、3人それぞれが目立つようになりました。全員が強くなったイメージです。

夏芽 まいちゃんは一番歌割りが多いのに、激しく歌ったあとも息が上がらずにきれいに歌えるのがすごいです。

小町 いやいやいや、実はハアハアしてるし、心の中でブチギレてます。「こんな激しく踊ったあとに歌うなんて無理だろ!」って(笑)。

──ここまで小町さんの性格やパフォーマンスの変化についての話が出ましたが、夏芽さんと藤井さんに対して大きく変わったと思うところはありますか?

藤井 ナツは感情を出してくれるようになりました。「あー!」って叫び出すこともあって(笑)、そういうときは「今、頭がパンクしてるんだな」と思います。MCを任せちゃうことが多いけど、私もライブで話すことを頭に入れなきゃって。あと、ナツが特典会でファンの方と話しているところを見て、まいちゃんが「ナツ、前よりも楽しそう」って言ってたよね。

小町 前はいかにもアイドルなしゃべり方で「ありがとうございます!」ってファンに返してたんですけど、今はもっと素の感じ。ファンの方もげらげら笑ってるのが聞こえてくるんです。去年までのナツは「自分がしっかりしなきゃ!」という意識が強すぎたんだと思います。今もしっかりはしているんですけど、前より素の部分を見せてくれている気がします。いい意味で適当で、人間らしくなった。

夏芽 以前は私がMCを失敗したらライブが終わる、煽りでちょっとでも噛んだら空気が終わると考えてたんです。パフォーマンスについても、歌をミスったらこのグループは歌が下手だって思われちゃう、ダンスも私が張り切って踊らないとダメなんだと考えていて、全部に対して「自分ががんばらなきゃ!」と張り切りすぎてました。実際に何かミスをしたら、私のせいでライブが台無しになったと落ち込んでたし、特典会のときもアイドルらしくニコニコしていなきゃと思っていて。たぶん、変にプライドが高いんだと思います。弱いところを見せたくないっていう。長女だし、学校でもリーダーのような役割を多くやってきて。グループの中でもMCを任されて甘える場所がなかったんですけど、最近になって変わりました。硬くなっていた自分を崩したというか。

夏芽ナツ

夏芽ナツ

夏芽ナツ

夏芽ナツ

藤井 いきなりだったよね。それまではつらそうだった。

小町 ナツは泣くこともほとんどなくて。でも、あるとき、ステージに出る前にナツのことをふと見たら涙を流していて驚きました。「どうしたの!?」と驚きつつ、ナツが泣いていることに感動しました。

藤井 静かだなと思って見たらポロポロ涙を流していて。

夏芽 そういう面も昔はメンバーの前で出せなかったんですけど、つらかったらつらいと言えるようになりました。変にがんばらなくていいんだ、もっと頼っていいんだって。そしたら2人がすごく寄り添ってくれて、「人間ってこんなに優しいんだ!」と思いました(笑)。2人とも一緒に成長していて、結成した頃の子供だったまいとエリカじゃないんだと思ったら、急に距離を近くに感じました。

──自分も変わったし、周りも変わったと。

夏芽 エリカも私と少し近いところがあって、昔は「自分ががんばらなきゃ!」という感じでした。その気持ちは今も人一倍強いんですけど、いい意味で楽な心持ちになって、内面をオープンにしてくれるようになりました。本人は気付いてないかもしれないけど、他人にかなり気を遣うタイプなんですよね。メンバーにもスタッフさんにも気を遣っていたんですけど、そんなエリカも気を抜ける場所にSANDAL TELEPHONEがなれたのかなって。その影響がパフォーマンスにも出ていると思います。頼もしくなりました。

藤井 ……うれしい!

小町 確かに、前は気を遣って接してきてるのがわかりました。「私のこと嫌いなんだろうな」と思ってた(笑)。

藤井 人目を気にしていたというか、「相手はこういう気持ちだろうからそっとしておこう」と勝手に考えすぎて疲れちゃうことが多かったです。今は逆に素を出しすぎて困らせてるかもしれない(笑)。さっきも楽屋で楽しそうに話してたら冷たくされたんですよ。

藤井エリカ

藤井エリカ

藤井エリカ

藤井エリカ

小町 そんなことないよ(笑)。

夏芽 それもお互いに気を遣ってない証拠ですね。ステージ上でもいい意味でも気が抜けて、柔らかい雰囲気になったと思います。

藤井 楽屋と同じテンションでMCができるようになりました。

小町 しゃべり出したら止まらないくらいだよね。

藤井 特典会でも私が一方的に話しちゃって、ファンの方がひと言もしゃべらずに終わることもあります(笑)。

──3人の変化を総括すると、SANDAL TELEPHONEが人間味のあるグループになったということですかね。

藤井 はい。前はロボットでした。