サンダルテレフォン|作家陣とのクロストークで探るグループの現在地 4人に用意された次のステップは

サンダルテレフォンの両A面シングル「碧い鏡 / It's Show Time!」が6月8日にリリースされた。

洗練された楽曲で耳の早いリスナーから注目を浴び、アイドルシーンの中で存在感を高め続けているサンダルテレフォン。その楽曲の方向性もさまざまで、制作陣は1つのジャンルに固執することなく、作品ごとにメンバーの新たな一面を表出させている。今作もサンダルテレフォン史上最速のBPMである「碧い鏡」、ジャズのテイストを取り入れた「It's Show Time!」という聴き応えのある楽曲が並んでいる。今回、音楽ナタリーでは「碧い鏡」を手がけたちばけんいち、「It's Show Time!」を制作したその兄の千葉“naotyu-”直樹を交えてメンバーへのインタビューを行い、作家陣とのクロストークを通して新曲の注目ポイントやグループの現在地を探った。

取材・文 / 近藤隼人 撮影 / 高橋佑樹

探り探りで始めたシティポップ路線

──けんいちさんはこれまでサンダルテレフォンの楽曲を数多く手がけていますが、そもそもどういう経緯でこのグループに関わるようになったんですか?

ちばけんいち 僕は毎シングルの表題曲に関わらせていただいてますが、最初は「真夏の匂い」(2019年9月発表の1stシングル)でした。たまたま制作サイドとつながりがあり、その時点でmeganeさんの「コーリング」(1stシングルのカップリング曲)はできあがってたんですけど、雰囲気的にシティポップ風のおしゃれな感じの楽曲を、というお話をいただいて。それまでポップスの仕事をすることは少なかったんですけど、おしゃれ系な曲は好きだったので、「真夏の匂い」のデモを作ってプロデューサーさんに聴いてもらいました。

──その段階で、その後のグループとしての音楽の方向性はかっちり決まっていたんですか?

ちば いえ、「シティポップやりたいね」という話がふんわりあったくらいですね。曲を作る前にライブを1回観させてもらったんですが、果たして自分が書くメロディラインが合うかなとか、1曲目は探り探りでした。最終的にデモと比べると生音が多いアレンジになったんですけど、僕は普段クラブミュージックを作ることが多いので、アレンジ仕事で実績のある兄にも関わってもらったんです。それで結果的に「真夏の匂い」は共作になりました。

千葉“naotyu-”直樹 僕はJ-POPやアイドルの仕事が多かったので、より俯瞰的な目線でブラッシュアップしていきました。

ちば 僕はかなり前にインディーアイドルの曲を1曲書いたくらいで、どちらかというと自分自身の音楽活動をやってきたんですよ。アイドルグループに本格的に楽曲提供するのはサンダルテレフォンが初めてでした。

──最初のレコーディングでのメンバーの印象はどうでしたか?

ちば 「コーリング」は電話がテーマになっていて、このグループの名刺代わりになるくらい強い曲だと思っていた中で、シティポップらしいことに挑戦して。縦ノリと横ノリという大きな違いもありましたし、僕の趣味の押し付けになってないかなという不安や、横ノリの曲をどう歌ってくれるのかなというドキドキがありました。僕はアイドルに対して「かわいらしい声を出す人たち」という漠然としたイメージがあったんですけど、サンダルテレフォンはハスキーな声を出すメンバーが多くて。それがナチュラルでいいなと思いましたね。

怒られるんじゃないかなと怖かった

小町まい 私、「真夏の匂い」の歌詞を最初に見たときに、「あ、大人の男性が書いた曲だ」と思ったんです(笑)。それまで恋愛系の曲を歌ったことがなかったので、すごくドキドキして。作家さんもかなり歳上の人たちだと思っていて、レコーディングで怒られるんじゃないかなと怖がってました(笑)。

西脇朱音 でも、お会いしたら「これはこういうふうに歌ってほしい」と優しく教えてくださって。こんなに優しくしていただいていいのかな、ホントはもっとズバッと言いたいことがあるんじゃないのかなと思ってました(笑)。

夏芽ナツ

ちば お望みとあらばそうしますけど(笑)。

夏芽ナツ けんいちさんはすごい作曲家さんだと聞いていたので、私も怖い人かなと思ってたんですけど、実際はすごく優しくて、ダンディな感じでした。初めてnaotyu-さんに会ったときはダンディなけんいちさんのお兄さんだからもっと大人な感じだと思っていたら、逆におっとりした雰囲気で予想を裏切られました(笑)。

naotyu- 威厳がないのかな(笑)。

藤井エリカ (笑)。私は「真夏の匂い」のとき、レコーディングの経験がまだ2回目くらいで。会ったことのない大人の方とお仕事するということもあり、前日は緊張して寝れなかったんですけど、先にレコーディングしていたナツにLINEしたらスタジオ内の動画を送ってくれて。その動画からみんなの笑い声が聞こえてきたので安心してスタジオのインターホンを押しました(笑)。

──メンバー全員最初はビビっていたと(笑)。ちば兄弟はmeganeさんとともにグループの音楽面の軸になっています。メンバーはお二人が作る楽曲に対してどのような印象を持っていますか?

夏芽 けんいちさんの曲は、おしゃれな音楽が好きな層にズドンと刺さると思っていて。それに対してnaotyu-さんは全体的に誰にでも受けやすい曲を作ってくださるという印象です。

小町 けんいちさんの曲は大人っぽい雰囲気なので、最初のレコーディングではどうやって歌おうかと少し悩みました。naotyu-さんの曲は「Step by Step」をはじめ、キラキラしたアイドルというイメージです。「ファンの人もみんなこういうの好きでしょ?」って(笑)。

小町まい

──以前のインタビューで、小町さんはmeganeさん派とちばさん派で言ったらmeganeさん派と話していましたが、ちば兄弟の楽曲も歌っていくうちに好きになっていきました?

小町 そうですね(笑)。

naotyu- 僕らもmeganeさんと仲いいですからね(笑)。別にバチバチしてるわけではなく、「meganeさんの曲、いつもキャッチーでいいよね」と話してます。

ちば 作家として個性がバラけていていいと思います。せっかくなら人気で勝ちたいという気持ちもありますが(笑)。作ってるときはそんなに気にしないんですけど、meganeさんの曲を聴いたときに「うわ、強えな」と思いますね。

藤井 meganeさんの曲の歌詞は「どういう意味だろう……?」と考えてもわからないことが多いんですけど、ちばさんの音楽はひと昔前のラブソングっぽい親しみやすさがあって。

西脇 自分の両親の世代にも刺さる音楽だと思います。私の家族もいっぱい聴いてくれているし、現場の空気からもそう感じて。実際サンダルテレフォンはそういう層をターゲットにしているところはあると思います。逆にキャピキャピしたアイドルソングを聴いていた私にとってはすごく新鮮で、アイドルもこういう曲を歌うんだという驚きが最初はありました。