サンダルテレフォン現体制最後の作品はリミックスアルバム、インタビューで明かされた4人の胸中 (2/3)

藤井エリカ インタビュー

藤井エリカ

藤井エリカ

お客さんをいい意味で裏切りたい

──小町さんと夏芽さんは前身グループでも活動していましたが、藤井さんと西脇さんはサンダルテレフォン始動のタイミングで加入しました。同期の卒業の話を聞いたときは、かなりの衝撃だったんじゃないですか?

ほかのメンバーに言う前に、まず私に卒業のことを知らせてくれたんですけど、それが遠征でのライブ前だったんですよ。そのときにめっちゃ泣いちゃって、感情的になって「え、ダメだよ! 考えられない!」って言っちゃって。でも、家に帰ってゆっくり考えてみたら、朱音がライブの空き時間に勉強をがんばっている姿を思い出して、気持ちよく送り出そうという思いが大きくなりました。

──西脇さんとはどういう関係性なんですか?

なぜかはわからないんですけど、オーディションでかなりの数の参加者がいた中、朱音と一緒にいることが多くて。オーディションが終わった帰り道も「絶対に受かろうね!」と話していたんです。活動が始まってからも頻繁にごはんを食べに行って語り合うことが多かったです。

藤井エリカ

藤井エリカ

──お互いに波長が合ったんですかね?

そうだと思います。最初、朱音は“ザ・アイドル”という雰囲気があるから近寄りがたいと思っていたんですけど、実際に話してみたらそんなことなくて。最年長メンバーとしても頼りにしてきました。でも、しっかりしすぎているから、ホントは我慢していることもあるんじゃないかと勝手に思っているんです。デビューしたての頃は朱音も悔しいことがあったらみんなの前で泣いたり、楽しいことがあったらもっとはしゃいでいたんですよ。今はグループ全体のことをしっかり見ていて、私たちもそこに頼ってしまっています。

──ある意味、グループの柱とも言える存在だった西脇さんが抜けてしまうのは痛いですよね。3人がそれぞれの立ち位置やキャラクターをこれまで以上に意識して活動していく必要があると思うのですが、そんな中で藤井さんは自身が担う役割についてどう捉えていますか?

この質問、絶対聞かれると思ってました(笑)。私はデビューした頃から自分がどういうキャラクターでいるべきか迷っていて、今も正直迷っている途中なんです。でも、最近はパフォーマンスがきっかけでファンになってくれる方が増えてきたので、それが自信につながっていて。歌とダンスをもっとがんばろうという気持ちが大きくなっています。それ以外の面については、3人体制になったときに目立てるキャラクターを探していこうと思っています。(笑)。自分だけの色が欲しいなって。

藤井エリカ

藤井エリカ

──西脇さんのアイドル性とは違うものかもしれませんが、藤井さんも親しみやすく、柔らかいオーラを持っていますよね。

特典会でもそう言われることが多いです。でも、パフォーマンスではクールに見せているので、特典会に来てくれた人に「実際にしゃべるとこんな感じなんだ」と驚かれることも多くて。この雰囲気を好きになってくれるか、逆に引かれちゃうかの両極端なんです(笑)。

──パフォーマンスについては現時点でどう自己評価していますか?

歌のほうはまだそこまで自信がないんですけど、3人体制に向けてレッスンを重ねているので、それに全力を注いでます。

──では、藤井さんから見たほかのメンバーの評価は?

まいちゃんは私が作ろうと思っても作れないオーラを持っていて。本人も努力しているんだと思いますが、リハーサルの段階でステージに立っている姿が目を引きます。ナツはほかの3人があまりしゃべらないということもあって、最初からグループをまとめようとしてくれていて、メンバーの心を読み取ってくれています。そういう優しいナツがいるから救われているし、グループのいいバランスが保たれていると思います。

──そのバランスや空気感が3人体制になってどう変化していくのかも見ものですね。

ただ4人から3人にフォーメーションが変わっただけとは思わせたくなくて、お客さんをいい意味で裏切りたいんです。サンダルテレフォンの2章が始まることを印象付けて、ファンの方はもちろん、それ以外の人たちも振り向かせたいです。メンバー間のコミュニケーションも大事にして息をそろえて、「絶対に売れるぞ」という覚悟を決めてがんばっていきます。

西脇朱音 インタビュー

西脇朱音

西脇朱音

卒業しても後悔がないタイミングが来た

──改めて卒業を決断したときの思いを聞かせてください。

サンダルテレフォンとして活動していく中で、自分個人でやりたいことも並行してきたんですけど、その両立に限界を感じたんです。それに、グループとしての活動で自分がやりたいなと思っていたことがいろいろと叶って、卒業しても後悔がないタイミングが来たのかなって。

──後悔がないというのは、具体的にどういうところで感じたんでしょう?

大きなライブ会場を埋めるとかはできてないんですけど、前からやりたかった東名阪ツアーも実現できたし、今まで活動してきた中で自分にどういう役割があって、どういう立ち位置にいるのか見えなかった中、ここ最近はその役割を全うできたかなと感じています。

──役割、ですか。

はい。私は歌割りが少ないメンバーで、ファンの方が悲しむ姿も見てきたんですけど、それ以外の面でしっかり魅せることができたんじゃないかなって。最初の頃は私の居場所はここじゃなくてもいいんじゃないかと悩んでいた時期もあったんですよ。大学で学ぶのが楽しかったですし、今年4月の2ndワンマンライブの段階で忙しくて並行できないとも感じていました。そのときはまだアイドルとしてがんばろうという感情が大きかったんですが、「碧い鏡 / It's Show Time!」(今年6月発表のシングル)をリリースしたときに満足感を得られたんです。

西脇朱音

西脇朱音

──サンダルテレフォンの活動にしっかりとした手応えを覚えたと。一方、先日Twitterでは「ずーっと気になってるんだけど あかねがダルフォンの入口っていう方いるのかしら」と少し消極的なことをつぶやいてましたね。西脇さんは楽曲好きとアイドル好き両方を魅了できる存在だと思うのですが、その自覚は自身にはないんでしょうか?

ちょっとだけあります(笑)。ありがたいことに、自分を入り口にサンダルテレフォンのファンになってくれた方もいるにはいて。その後、結局ほかのメンバー推しになっちゃう人もいたんですけど(笑)。

──「グループの入り口になろう」という意識もありました?

私は歌やダンスが秀でているわけじゃないですが、アイドル性は高いかなという自覚はあって。愛されるようなキャラになれるようにがんばってきました。

──ほかのメンバーが語っていた西脇さんの印象として、アイドル性の高さに加え、最年長メンバーとして頼れる存在だという話も出ていました。

しっかりしなきゃという思いは少しずつ持ててきましたね。もともと人に頼れないタイプで、人に心配や迷惑をかけるのが嫌なんですよ。だから自分から率先して動くんだと思います。でも、それは決して無理しているわけではなく、素で動いてる感じです。

──自分の感情を出すことを我慢しているんじゃないかというメンバーの話もあったんですが、別にそういうわけではない?

そういうわけではないですが、メンバーに相談したことはないかもしれないです。別に仲が悪いわけではないので(笑)、メンバー同士素直に話せるんですけど、なんでなんだろう……やっぱり人に頼れないタイプなんですよね。

──メンバー3人に対してはどんな印象を持っていますか?

ナツはグループの中で一番しっかりしていて真面目で、ちゃんと考えを持って活動している子だと思います。私と同じ感じ。でも悩みやすいところがあるので、みんなで支え合いながらがんばってほしいです。まいはパフォーマンスしているときはしっかりしていて、歌もすごく上手なんですけど、近くにいると案外脆さも感じるんです。内側に秘めた思いが強いタイプでもあるので、それを外に出しつつ、野心を持っていけばもっと大きく成長できるんじゃないかと思います。アイドルグループって誰かメンバー1人を前に押し出していこうという話になりがちだと思うんですけど、サンダルテレフォンでそれをやるとしたらまいなんですよ。それをホントにやるとほかのメンバーのファンの方からいい目で見られないかもしれないですが、まいにはいいところがいっぱいあるので、自分の気持ちを大事にして、もっと自分自身を出していってほしいです。

西脇朱音

西脇朱音

──同期の藤井さんについてはどうでしょう?

エリカは一緒にいる時間が一番長くて。ホントに強くなったと感じます。根がネガティブなんですけど、グループに対する思いもしっかりあるし、周りのことやファンの方のことをよく見ていると思います。あと、スタジオを借りてダンスを自主的に練習していたり、すごく努力家ですね。努力で才能に勝てるタイプなのでエリカもがんばってほしいです。

──12月29日の卒業公演ではそんなメンバーたちから送り出されるわけですが、西脇さんとしてはどんなラストライブにしたいですか?

私のファンの人がどういう気持ちで、どれだけ悲しいかは自分には計り知れないんですけど、12月29日は3人が前を向いていく公演でもあって。3人はその先の景色も見せてくれると思うので、私のファンの方はサンダルテレフォンを応援するのをここで終わりしないでほしいです。自分にとってもサンダルテレフォンは変わらず大好きな場所だし、卒業公演で悲しくならないはずはないんですけど、ずっとニコニコしながら活動してきたので、笑顔で終われればと思っています。