斉藤朱夏「僕らはジーニアス」インタビュー|私がみんなを守りたい!強い覚悟を胸に次なるステージへ (2/2)

おばあちゃんになっても友達でいる人なんだろうな

──カップリング曲「最強じゃん?」は“ギャル朱夏”をテーマにした友情ソングということで。そのテーマに気付かないくらい、朱夏さんがお話ししているときの雰囲気そのものが自然な感じで出ている曲だなと思いました。

はははは。自分でもそう思いますね。

──朱夏さんのプロットがもとになっているということですが、どういうことを書いていたんですか?

今回は中学生の頃の親友との日常について書きました。私の曲って友情ソングが少ないなとふと思って。

──確かにあまりないですよね。

そう思ったときに親友のことを書きたくなって。その親友とは去年は特に一緒にいる時間も長くて、私にとって大切な存在だなということに改めて気付けたんですよね。その子とは何回も同じ話をして笑い合ったり。

斉藤朱夏

──この曲の「散々 駄弁ってもまだまだ足りねー それじゃ続きの長電話」という歌詞の通りですね。

大人になってから昔よりも会う回数が減ったというのもあってか、長電話することが多くて。普通に3時間くらいはしますね。そのうち30分くらいは無言の時間もあるんですけど。

──無言の時間?

お互いに電話を切らないで置いておいて、各々自由に行動してるんです。で、思い出して「ねえー」と話しかけると「何ー?」って返ってくるんですよ(笑)。そういう時間もあって3時間くらいになって、「じゃあね」と電話を切ろうとしても「てかさー」と話を思い出しちゃってどんどん長電話になったり。それは学生のときも今も変わらないかもしれないですね。

──中学生の頃からずっと仲がいいんですね。

でも、2年間くらい連絡を取っていなかった時期があったんですよね。連絡を取らなかったというわけではなくて、多分何かあったら連絡くるよねとお互いに思っていて。でも、私が「ズームイン!!サタデー」でお天気お姉さんをやったタイミングで、携帯に「今この電話って使える?」とメッセージがきたんです。「元気?」というところからやりとりがまた始まって、「セカイノハテ」のレコ発ワンマンライブでひさしぶりに会って、そこからずっと一緒にいますね。再会したときは「待って、めっちゃなついんだけど!」ってお互い涙したり。「てか、なんでうちら連絡取ってなかったんだろうね」「わかんない! でも、まあいっか!」みたいな(笑)。

──そこで「いっか!」となる関係性がいいですね。

「またLINEするわ、じゃあね!」って(笑)。2年間も連絡を取っていなかったのが嘘のように変わらず会うし、長電話もするし。きっとこういう子がおばあちゃんになっても友達でいる人なんだろうなと思います。

──まさに「将来シワシワのおばあちゃんになっても同じがいいじゃん」という歌詞もあります。

ここはプロットに書いていたわけじゃなくて、ケイさんと「2コーラス目でどういう話を書く?」と話していたときに出てきたところで。「『おばあちゃんになってもこれからもずっと友達でいようね』という話を友達とよくしますよ」と言ったら、「それいいじゃないですか」という話になりましたね。

変わらない関係性

──“ギャル朱夏”の話に戻るんですが、朱夏さんの中ではプロットを書くときに特に「ギャルっぽく書こう」という意識はなかったわけですよね?

まったくなかったです(笑)。ありのままですもん。

──じゃあシンプルにケイさんがプロットを見たときに「ギャルだ」と感じたんでしょうね。

ははは。そしてそのプロットをもとに、ケイさんなりのギャルの歌詞をがんばって書いてくださったんだと思います。その中で「ここはこうしたいです」「この言葉は入れたいです」という相談もさせてもらいました。語尾に「っ」を入れるのは朱夏っぽさがあるとか、星マークを入れてほしいとか。

──「いつものところに集合ねっ☆」というところですね。

「バリダルい」という言葉は絶対入れたいという話もしましたね。ここ、けっこう重要なんですよ。とりあえず「ダルい」って言い合いたいだけみたいな。あと、「お互い褒めて伸ばそうぜ」のところが最初は「伸ばそうや」だったんですけど「ぜ」のほうが私っぽいということも。

──より朱夏さんの素の言葉に近付けていったと。

そうですね。この曲はちょっと砕けた言葉を使いたいなという気持ちがあって。親友のことを書いてはいるんですけど、聴いてくれた人が私と友達のような感じで、「いつものところに集合ねっ☆」ってライブに遊びに来るような感覚になったらいいなと思っていました。

斉藤朱夏

──この曲を聴いていて、“変わらない関係性”というのが1つのテーマになっているような気がしました。

大人になっても、結局みんな変わってないんですよね。中学時代の友達と会うと、その当時に戻ったような感覚になる。私もこの親友から「マジで何も変わってないね」と言われました。「MCでしゃべってる感じとか、何も変わってなさすぎてビビった」って(笑)。

──中学時代から同じ感じなんですね(笑)。

「マジ? ヤバイじゃんそれ!」って言ったら、「いい意味で!」と強調してくれましたけどね。「芸能界に入って変わっちゃうのかなと思っていたけど、まったくもって変わってなくて逆に心配になってる。もうちょっとかわいい感じのこととかやったほうがいいんじゃない?」みたいなことも言われて、「えー! やってるし!」みたいな(笑)。

──(笑)。その親友さんはもうこの曲を聴いたんですか?(※取材は1月末に実施)

まだ聴かせてないですね。ただ、その子に「あんたのこと、歌詞に書いたから」と連絡したら、「まじ? ヤバ! 私、歌になるの?」みたいなLINEがきて(笑)。「歌になるよ。楽しみにしてて」という話はしました。

──この曲の最後、「いつも一緒にいてくれて ありがと」という言葉のあとに「なんちゃって」って照れ隠しをしているのが、いいポイントだと思いました。

母親や親友に対して「ありがとう」と言うのがめちゃめちゃ照れくさいんですよね。親友に「ありがとう」と伝えるとき、超小声で言いますもん。あとは手紙で書きます。この間、その親友と一緒にディズニーランドに行ったとき、お互いに手紙を書いてディズニーランドのポストから送り合ったんです。それで届いた手紙を見たら、書いてあることが私の書いた内容と全部被ってて大爆笑しました(笑)。「自分の手紙が届いたのかな?」というくらい同じで。「うちら同じこと書いてるね」ってLINEしましたね!

その背中を見ていてよ

──シングルには去年4月に行われたライブツアー「朱演2022 LIVE HOUSE TOUR『はじまりのサイン』」に向けて作られた楽曲「はじまりのサイン」も収録されています。12月のワンマンライブ「くもり空の向こう側」でもアンコールの最後に歌われていましたが、この曲は朱夏さんにとってはどういう位置付けの曲ですか?

この曲は2021年の終わりにやったホールツアー「つぎはぎのステージ」で大阪公演が中止になってしまって、すごく悔しい思いをしたときに作った曲なんですよ。悔しさの中でも、目を閉じれば君が向けてくれてる大切なサインがある、という。この曲は自分の中で2022年のテーマソングのような感じでしたね。ツアー「はじまりのサイン」の初日が大阪だったんですけど、当日無事にライブを迎えられて大阪でこの曲を初めて披露した瞬間は、鳥肌が立つくらいすごかったです。悔しい思いがこもっている曲だったからこそ、大阪公演で歌えたことによって心の黒いモヤがどんどんなくなっていく感覚がありました。しかも年末に「くもり空の向こう側」の最後に歌ったとき、この曲はまた新しい景色を見せてくれたんですよ。未来がキラキラ光り輝いて、希望しかないような……(参照:斉藤朱夏、“くもり空の向こう側”に見た最高の景色)。

──その景色は、客席からも確かに見えました。

この「くもり空の向こう側」で「はじまりのサイン」を歌ったときに1回目のゴールテープを切ったような感覚があったんですよね。だからこれから簡単には歌えないというか、ライブで歌うタイミングが難しいという気持ちもあります。2022年で話していた言葉は、2023年ではもう話せないと私は思っているんです。2023年はみんなに伝えていくことがきっと変わっていくんだろうなって。

「朱演2022『くもり空の向こう側』」より。

「朱演2022『くもり空の向こう側』」より。

──2022年の言葉はしっかり伝えきったという。

そうなんですよ。もうそこに自分がいないような感覚があります。2023年は「私が仲間を守るんだ」という覚悟を持ったうえでライブをしていくんだと思いますね。猛スピードで走ることに関しては今までと変わらないんですよ。基本的に歩かないし、休むことを知らないし、勝手に転んで「痛い!」ってなる。ただ、今まではそういうときに「絆創膏を付けてね」とみんなにお願いしてたけど、今年は多分「あっ、大丈夫だから」と言えるんですよね。それは突き放しているわけじゃなくて、覚悟があるからこそ、「大丈夫。その背中を見ていてよ」という。「君が転んだら、絆創膏をすぐ出すからね」と立ち回るようになっていくんだと思います。

──4月には愛知、大阪、神奈川でライブハウスツアーが開催されます。

これだけ覚悟を持って、どこかどっしりと構えている自分がいるからこそ、強めにいきたいなとは思います。みんなにもその覚悟を伝えられたらいいな。とはいえ、楽しくいきたいので気楽に来てほしいです! ライブハウスですし、とにかくはしゃぎたいですね。ハードなセットリストをやりたいです(笑)。

ツアー情報

朱演2023 LIVE HOUSE TOUR

  • 2023年4月22日(土)愛知県 DIAMOND HALL
    OPEN 17:00 / START 18:00
  • 2023年4月23日(日)大阪府 BIGCAT
    OPEN 17:00 / START 18:00
  • 2023年4月30日(日)神奈川県 CLUB CITTA'
    [1部] OPEN 14:00 / START 15:00
    [2部] OPEN 18:00 / START 19:00

プロフィール

斉藤朱夏(サイトウシュカ)

2015年に「ラブライブ!サンシャイン!!」の渡辺曜役で声優デビューし、作中のスクールアイドルグループAqoursのメンバーとしての活動をスタートさせる。2018年11月にはAqoursとしてライブ「ラブライブ!サンシャイン!! Aqours 4th LoveLive! ~Sailing to the Sunshine~」で東京・東京ドームのステージに立ち、12月に「第69回NHK紅白歌合戦」に出演した。2019年8月にミニアルバム「くつひも」でソロアーティストとしてデビュー。2021年8月に1stフルアルバム「パッチワーク」を発表し、11月にホール公演「朱演 2021『つぎはぎのステージ』」を神奈川・パシフィコ横浜 国立大ホールで開催。2022年4月に東名阪ツアー「朱演2022 LIVE HOUSE TOUR『はじまりのサイン』」を行った。8月にアーティスト活動3周年&バースデーシングル「イッパイアッテナ」をリリースし、初の全国ツアー「朱演2022 LIVE HOUSE TOUR『キミとはだしの青春』」を開催。12月に東京・日本青年館ホールでワンマンライブ「朱演2022『くもり空の向こう側』」を行い、2023年2月に4thシングル「僕らはジーニアス」をリリースした。FM NACK5で毎週水曜深夜24:30よりレギュラーラジオ番組「斉藤朱夏 しゅかラジ!」が放送中。