RYUCHELL|自分を愛してあげることがすべてのスタート

僕がメイクをする理由

──最近は報道番組などさまざまなメディアでRYUCHELLさんの発言が報じられたりして、いつも敬服しながら拝見していますが、プレッシャーを感じたりすることはないですか?

ないですねー。今日もですけど、いつも素なんです(笑)。背伸びもしないし、わからないことには首を突っ込まないし、わからなかったら「わからないです」って言うし。ただ経験上、誰のことも否定せず、みんなの意見を聞いて受け止めたうえで自分の意見を言うようにしたいなとは思ってます。

──経験上とは?

僕自身「そんなに個性が大事なの? 孤独になってまでも個性を貫くべきなの?」って思ってた時期もあるんです。でも結局、自分を偽ったほうが孤独でした。そういう経験もあって、怖さもつらさもわかるから、今そう思っている人に対して「ダメだよ!」とは言えないんですよね。

──なるほど。今回のビジュアルについても少し伺えますか? コスメブランドのNYX Professional Makeupとタッグを組んだメイク動画も公開されていますね。

リリースがハロウィンの時期ということもあって、最初は「変わる」ってテーマがあったんです。ハロウィンって、多くの人にとっては1日だけ思いっきり羽目を外せる楽しい日じゃないですか。そういう日をきっかけに、ふだん頭の中に眠っている自分を出すのはすごい快感だと思うし、素敵なことなので、そういう楽しさを表現できればなって。メイクのテーマは「Candy Monster」なんですけど、何をどうしたらCandy Monsterになるのかすごく考えて、前々日ぐらいに自分でリハーサルしてみて「変だな」と思って消してやり直したり。歌と一緒で、作品として出す前にいろいろ試すんです。色味はこれがいいとか、ここはラメがいい、マットがいい、髪型はどうする、ってすごい細かいところまで考えて、楽しかったです。

RYUCHELL

──RYUCHELLさんにとってメイクにはどんな意味合いがあるんでしょうか。

モテるためとか、自分をもっとかわいく、カッコよく見せるためにメイクされてる方もいると思いますし、マナーのためにやっている方もいると思いますけど、僕の場合はとにかく自分を表現するため、なりたい自分に近づくためですね。それが最終的に「きれい」って言われたらうれしいけど、それよりもまず自分らしくなった姿、なりたい自分に近づいた姿を鏡で見たら「よっしゃ」ってキラキラ過ごせるんですよね。「みんなウケより自分ウケ」って感じです(笑)。

──いい言葉ですね! そういった考え方において共感できる人はいますか?

やっぱりぺこりんですね。ぺこりんの地元の大阪の友達はみんなギャルなんですよ。普通だったら「浮いてるな」と思ってその場に馴染もうとしたりするけど、ぺこりんは1人でも自分の好きな原宿っぽい格好をしてたんです。そんな自分を強く持ったところが尊敬できて好きになったので、ぺこりんの姿を見て僕も「ずっと僕らしく生きていこう」って思うし、子供にも自分らしく生きていってほしいので、周りにどう言われても、キラキラ生きている親の姿を見せたいです。

──僕も大人の務めは「楽しそうにしていること」だと思います。

あー、ほんとそうですね。自分を隠して生きている人って、子供にも自分を隠すように教えちゃうと思うんですよ。僕は自分らしく生きてたからこそ運命の人とも出会えて、お仕事にもつながって、自分のことを愛することができる大人になれたから、「そういう人になってほしいよね」ってぺこりんといつも話してます。

スタートラインはみんな一緒

RYUCHELL

──そんなRYUCHELLさんの影響もあってか、「いろんな生き方があっていい、自分らしさを大切にしよう」という考え方が世間に広がりつつある反面、それを抑えつけようとする動きもありますよね。例えば国会議員による「LGBTには生産性がない」といった発言があったり。RYUCHELLさんのような考え方がもっと広がっていくにはどうしたらいいと思いますか?

「RYUCHELLは芸能人だから自分らしく生きられるんでしょ。一般の人は難しいんだよ」ってすごくよく言われるんです。でも「いやいや、僕も一般人だったよ……」って思うんですよ。結局みんなスタートラインは一緒で、大事なのは自分でどう人生を切り開くかっていうところだと思います。僕が自分を表現できるようになったのは、まずTwitterという自分の居場所を見つけたことがきっかけでした。それまでは自分の好きなものを家族にも内緒にしてたし、「僕には居場所がない」って思ってたけど、Twitterで自分を表現していたら原宿のショップから声をかけてもらって、上京して働くことになって、人生が開けていったんです。だから、居場所は自分で見つけるもの、作るものだって本当に思うんですね。

──なるほど。

誰もが自分を表現してキラキラして、ほかの人のことも認められる個性豊かな社会になるのは、時間はかかるかもしれないけど、1人ひとりが自分らしくいられる場所を見つけることがすごく大きな一歩になるんじゃないかなって思います。実際そこに行ったら新しい自分に出会えるかもしれないし、そうやって自分のために行動することがあってもいいんじゃないかなって。TwitterやInstagram、ブログといったSNSでも、特定のお店でも、どこでもいいから「ここでなら自分を表現できるかも」と思える場所を1つでも見つけてほしい。僕はせっかく表に出る仕事をしているので、歌を通してみんなが「そっか、わたしもやってみようかな」って思えるように、これからも楽しくポジティブに、強くメッセージを届けていきたいなって思います。

──今後も歌のお仕事は続けていくんですよね。

はい、続けて……いけるように、応援よろしくお願いします(笑)。人と同じだと安心するって人たちの気持ちもわかるし、どんな自分になりたいかもわからないという人も実際、多いと思うんですよね。だから、とにかくまずは自分を愛してあげてほしいです。「Diversity Guys!」を聴けば、「RYUCHELLはこんなに自分のことを大事にしてて、自分の道を自信を持って歩んでるんだ」って感じてもらえると思うんです。それだけでも伝わったらうれしいし、人目を気にしたり空気を読む能力があるんだったら自分のことを認めてあげる能力もあると思うので、自信を持って自分を認めてあげてほしいですね。

RYUCHELL
RYUCHELL(リュウチェル)
RYUCHELL
1995年、沖縄県生まれのタレント。原宿の古着店で働く傍ら、読者モデルとして芸能活動をスタートさせる。その独特なファッションや奔放なキャラクターが話題となり、バラエティ番組やテレビCMで活躍。2018年2月14日にRYUCHELL名義で配信シングル「Hands up!! If you're Awesome」をリリースし、アーティストデビューを果たす。8月15日にはヒャダインが作詞作曲を手がけた2nd配信シングル「Link」を発表した。10月17日に配信第3弾シングル「Diversity Guys!」をリリース。