RYUCHELL|ありのままの僕が見つけた愛と 息子に伝えたいメッセージ

RYUCHELLの新曲「Link」が8月15日に配信リリースされた。

2月に「Hands up!! If you're Awesome」で華やかなアーティストデビューを果たしたRYUCHELL。7月に誕生したばかりの第1子の名前をタイトルに冠した「Link」は、RYUCHELLがこれまで歩んできた道のりを息子やリスナーへ示すような内容のナンバーになっている。

このシングル発売を記念し、音楽ナタリーではRYUCHELLへのインタビューを実施。RYUCHELLは、息子や妻・ぺこ(RYUCHELLの妻でモデルのオクヒラテツコ)への真摯な思いや父親となった自身の変化、そして「Link」の作詞作曲を手がけたヒャダインとの制作にまつわるエピソードをたっぷりと語ってくれた。

取材・文 / 秦野邦彦 撮影 / 竹中圭樹(D-CORD)

初めて映画館で号泣してしまった「ヘアスプレー」

RYUCHELL

──2nd配信シングル「Link」のお話を聞く前に、まずは長男リンクくんの誕生おめでとうございます!(参照:Prince Link!!!りゅうちぇるがパパに、ぺこ第1子を出産

ありがとうございます! 実はデビュー曲「Hands up!! If you're Awesome」の準備中にぺこりんの妊娠がわかったんですけど、無事に出産を終えることができて。たくさんの人にお祝いしてもらって、本当にリンクは幸せ者だなって。とにかく感謝の気持ちしかないです。

──リンクという名前は、お二人が大好きなミュージカル映画「ヘアスプレー」(2007年公開)の登場人物から名付けられたそうですね。

僕が小学6年生ぐらいのときに劇場公開されたんです。とにかく世界観とパワーに圧倒されて、初めて映画館で号泣してしまって。「ヘアスプレー」のリンクは自分の容姿ばかり気にする子だったけど、これじゃダメだと気付いて、主人公のトレイシーという女の子と出会って彼女の内面を好きになる……しっかり相手の中身を見て愛せる男の子だったんです。すごくクールだし、男の子が生まれたらリンクって名前にしようと前から決めていて。漢字を当てるとまた違う意味になっちゃうから、そのままカタカナでリンクにしました。

ヒャダインさんが「リンクくんの曲はどう?」って

RYUCHELL

──いいお話ですね。そんな息子さんのお名前を冠した「Link」は、ヒャダインこと前山田健一さんとの初タッグです。

ヒャダインさんとはバラエティの収録でお会いするぐらいで、しっかりお話ししたのは今回が初めてでした。曲を作るにあたって僕のリアルな気持ちを知りたいということだったので、作文を書いてお渡しさせてもらったんです。テレビに出ている僕は明るいイメージがあると思うんですけど、学生時代はちょっとしゃべっただけで「オカマ」って言われるのが怖くて人を避けてた時期もあって。そういう過去を踏まえてハッピーに生きている、“バックグランドのある明るさ”をヒャダインさんは感じ取ってくださって。僕の気持ちを100%表現してくださったので、本当に感謝しかないです。

──制作にあたって印象的だったお話はありますか?

実は、そもそも「リンクくんの曲はどう?」って提案してくださったのはヒャダインさんのほうなんです。僕の中ではプライベートなことだし、自分の子供を歌にするのはちょっと大げさすぎるし、そんなことまったく想像してなかったんですね。もちろん「Hands up!! ~」で歌っていた「自分らしくいてほしい」というテーマがリンクにも届くといいな、とは思っていたんですけど、ここまでがっつりリンクの歌っていうのは考えてもいなくて。

──それは素晴らしい提案ですね。

でも最初は「よくぞ言ってくれた」とかじゃなくて、正直「ええーっ! なんで?」ってびっくりしたんです。だけどもしリンクの歌を歌うなら、まずはぺこりんへの感謝がないと始まらないと思ったから、ぺこりんとの出会いから現在までを全部言葉にしてヒャダインさんにお送りして。そしたらこの曲が戻ってきたんです。それまで「自分の子供を曲にしていいものか」と悩んでたんですけど、「Link」にはこれからリンクが大きくなっても届けたいメッセージが込められているし、ぺこりんへの感謝を歌にしたステキな曲だと思うし。しかも自分たちだけの歌で止まらず、お子さんがいる方や、両親を大切に思う方、いろんな人に聴いていただける曲だなと思いました。

ポジティブに変換された「キラキラキラ☆☆☆」

──おっしゃる通り、さまざまな世代に届く力強い歌になっていると思います。例えば「これから結婚しよう」というカップルにも響くでしょうし。

RYUCHELL

ヒャダインさんが、僕の書いた文を本当にきれいにまとめてくださったんです。僕の学生時代から、ぺこりんとの出会い、テレビに初めて出たとき、結婚して、リンクが生まれて、リンクに伝えたいこと、すべてが入っている。「キラキラキラ☆☆☆」という部分はヒャダインさんが考えてくださったんですけど、これは結婚してすぐ「子供が生まれたら名前は?」といろいろなところで質問されて、「男の子ならリンク、女の子はモナ」と答えてたんです。それで実際にリンクにすると発表したら、「キラキラネームなんじゃないの?」って叩かれたりもして。僕たちが真剣に考えて決めた名前をそうやって言われたことがショックだったんですけど、ヒャダインさんは「そのキラキラネームの“キラキラ”をポジティブに変換して(歌詞に)入れたよ」と言ってくださって。

──かなり深いところまで理解されていたんですね。

ぺこりんの言葉なんかも関西弁のまま「そのままのほうが ええやん」って。この歌詞には、僕がテレビに出演し始めた頃に自分の素を出したら「ぺこりんの彼氏、オカマなの?」と視聴者の方から言われたことが背景にあるんです。でも、そういうときもぺこりんは「そのままでええやん」って言ってくれて。本当に、ぺこりんの存在は大きいんです。

──そうだったんですね。

「Hands up!!~」にも「普通」という言葉を入れさせてもらったんですけど、僕の中での普通がこれなら、それでいいんじゃないかなって思えた。ありのままの自分で勝負してたら、ぺこりんと出会えたわけですしね。「おままごとだ」とか「ビジネスカップルだ」とか世間からいろいろ言われたけど、もう気にしないです。どんどん自分らしいスタイルを確立したほうが幸せになれると僕たちは思っているから。ヒャダインさんはそういう考えも、全部歌詞で表現してくださいました。