リアクション ザ ブッタ特集|初のベストアルバムに見る、バンドの歴史と未来 (3/3)

特別な場所に置きたかった「君へ」

──佐々木さんが書く楽曲にはラブソングと応援歌が多いと感じていて、ベスト盤にはその2つがほぼ半々で入っていますよね。もっと言えば前半はラブソング中心、後半は応援歌中心に分けられていると感じていましたが、これは意図的なものですか?

佐々木 意図的にそうしたわけではありませんが、僕らが発表してきた楽曲の中ですごく共感してもらえたのが恋愛の曲だったからアルバムの冒頭に持ってきたというのはありますね。ベストアルバムは僕らのためだけじゃなくて、これまで応援してくれた聴き手あってのものだから、まずはみんなの思い出の中にある曲を聴いてもらいたかった。ただそれだけじゃなくて、今後も一緒に進んでいきたいという思いや、聴き手だけじゃなくて自分たちも鼓舞するような応援歌もちゃんと入れたくて、後半になるにつれて「一緒に進んでいこう」というメッセージを込めた曲が多くなったのかな。自然とこの流れになって、僕も前半後半でなんとなく属性が分かれているのにあとから気付いたという(笑)。

リアクション ザ ブッタ

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木田 そうだったんだ。曲順に関しては佐々木が考えたものが送られてきて、「これいいね。これでいこう!」って感じだったので、その理由までは聞いてなかったな。

佐々木 単純にアルバムとして楽しく聴いてもらいたかったから、前半はけっこういろんな曲調の曲を入れよう、みたいなことも考えていたけどね。あと「君へ」をアルバムの最後に入れることだけは最初から決めていて。

──それはなぜ?

佐々木 「RO69JACK」で最優秀賞を獲ったこともありますが、「君へ」はシンプルに曲として強い。すごく包容力がある曲というか、演奏していて僕ら自身も感動できる曲であり続けている。だから「君へ」は特別な場所に置きたかった。

木田 僕も佐々木と同じで、「君へ」には特別な思い入れがありますね。この曲に込められたメッセージが、リアクション ザ ブッタの本質だと思うから。「君へ」は聴き手に寄り添う応援歌なんですが、結局僕らはみんなの抱えている問題を具体的に解決できるわけではない。みんなの痛みを聞いたとして、100%理解することも難しいかもしれないけど、あなたに寄り添って名前を呼び続けるよ、というメッセージの在り方はブッタの姿勢そのものを表していると思います。

──ある種の不器用さも等身大で表現されている曲ですよね。

木田 僕らはグイっとリスナーを引っ張っていけるタイプじゃないんですよ。どちらかと言うと、みんなと同じ目線で横に立って「一緒に進んでいこう」と呼びかけるような存在。10年以上前に作った曲だけど、僕らの芯が変わっていない意思表示として、「君へ」が最後に収録されているのは必然なんです。

このチームで夢を成し遂げたい

──ライブ音源の話で少し触れていた渋谷CLUB QUATTROワンマンについても話を聞かせてください。前回のインタビューはワンマン開催前のタイミングだったので、皆さん「不安もある」と語っていましたが……(参照:リアクション ザ ブッタ「酸いも甘いも、好きも嫌いも」特集|コロナ禍を経て新境地に到達)。

木田 主に僕が「不安だ」と話していたと思いますが、ワンマンに向けて準備を重ねていくうちにその不安は解消されて、本番が近付く頃には「早くライブの日にならないかな」と思うくらいになってました。実際にライブはすごく楽しかったし、ベスト盤のメジャーリリースの発表をしたときはいつも応援してくれる人たちが涙する姿を見てすごく感慨深いものがありました。なんだか映画やドラマみたいだなって。こんなことが自分の人生で起こるんだ、と思えるくらい、夢みたいな景色が見れました。

佐々木 今までにないほどリハーサルを重ねていたし、ライブ中に何を伝えたいかも整理して臨めたライブだったかな。準備を万全にしたからといって予定調和にもならずに、そのときその瞬間で感じた本心のまま、やりたいライブをできたからすごく満足しています。メジャーリリースを発表したときの反応が予想以上で、大きな声援や拍手をいただけたときはうれしかったですね。これからも進んでいけるなと思えるような充実した1日でした。

大野 僕はすごく緊張してたかな。緊張して、あっという間だった。もう1回やれるならもっと気持ちをほぐしてライブできるだろうな、と今は思っています。それと演奏面の不安はそんなになかったけど、メジャーリリースの発表をするというのが僕としては少し不安もあって。

大野宏二朗(Dr)

大野宏二朗(Dr)

──どんな不安ですか?

大野 こういう取材の場で、メジャーレーベルのスタッフさんを前に言うのもアレなんですが、やっぱりインディーズ歴が長かったからこそ、メジャーに進出することに対して否定的に捉えてしまう人もいるんじゃないかと思っていて。否定とまではいかなくても「遠くにいっちゃうんですか?」と不安に感じてしまうファンもいるだろうし。発表前はそれが頭をよぎっていたけど、実際にステージの上でみんなに伝えてみたら「おめでとう」という声をたくさんいただけたし、何より拍手の音がすごくて、込み上げるものがありました。一生のうちにそう何度も訪れないであろう、感動の瞬間だったと思います。

──今後のブッタはどうなるのか、どういうビジョンを見ているのか、聞かせてください。

佐々木 今の環境で活動をするようになって数カ月が経ちますが、この人たちと、このチームで大きくなっていきたいという思いが強くなっています。それとSACRA MUSICと言えばアニソンで、僕はアニメも大好きなので、アニメのタイアップみたいなことも経験してみたいですね。

──かねてから掲げている「地元・埼玉にあるさいたまスーパーアリーナでライブをする」という夢は変わりませんか?

佐々木 はい。その夢がメジャーでグッと近付くというより、1つひとつの活動を大事にしながら着実に階段を登った先に、さいたまスーパーアリーナがあったらいいなという夢は変わりません。その夢を分かち合える人たち、ブッタのことを信じてくれる人と出会えたことに感謝しているので、このチームで夢を成し遂げたいですね。

リアクション ザ ブッタ

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ライブ情報

リアクション ザ ブッタ BEST ALBUM「REACTION THE BEST」RELEASE ONE MAN TOUR "FROM NOW ON"

  • 2024年6月8日(土)埼玉県 西川口Hearts
  • 2024年6月14日(金)北海道 PLANT
  • 2024年6月21日(金)大阪府 Shangri-La
  • 2024年6月28日(金)愛知県 ell.FITS ALL
  • 2024年7月5日(金)福岡県 LIVEHOUSE OP's
  • 2024年7月15日(月・祝)東京都 下北沢シャングリラ

プロフィール

リアクション ザ ブッタ

佐々木直人(B, Vo)、木田健太郎(G, Cho)、大野宏二朗(Dr)からなる3ピースロックバンド。2009年に行われたバンド選手権「TEENS ROCK IN HITACHINAKA 2009」で最優秀賞を受賞し、同年夏に開催されたロックフェス「ROCK IN JAPAN FES.2009」への出演を果たす。2014年にはバンドオーディション「RO69 JACK」で優勝した。2017年には「SANUKI ROCK COLOSSEUM」「HAPPY JACK 2017」「NUMBER SHOT 2017」「ap bank fes 2017」などさまざまなライブイベントに出場し、その知名度を高めていく。2022年にはTBSで放送されたドラマ「村井の恋」のエンディングテーマとして「虹を呼ぶ」を書き下ろした。2023年11月にアルバム「酸いも甘いも、好きも嫌いも」を配信リリース。2024年5月にベストアルバム「REACTION THE BEST」をSACRA MUSICから発表した。