ナタリー PowerPush - RIP SLYME(PES、SU)×OKAMOTO'S(ハマ・オカモト、オカモトレイジ)

相思相愛な2組の意見交換

OKAMOTO'Sは自分たちと空気が似てる

──PESさんとSUさんはOKAMOTO'Sというバンドにどういう印象を持ってますか?

PES 演奏がうまくて、淡々とスキルフルなことをやる感じがカッコいいなって。あとは、さっきも話に出ましたけど自分たちと空気が似てるなと思うところもあって。友達同士でグループをやってるっていう。メンバーの仲がよくて、ときにはピリッとすることもあるんだろうけど、よく笑ってるなあっていう印象がありますね。

レイジ ああ、確かに笑ってることは多いかもしれないですね。

SU

SU ヘタしたら20くらい歳が違うと思うんだけど、昔の音楽にあったカッコよさを独自のやり方で表現していて。俺たちも若い頃、上の世代から「どこか懐かしいんだけど、今の音楽としてカッコいい」って言われることがあったんだけど、OKAMOTO'Sの場合はもっといろんな文化が当たり前にある世代でそれを柔軟に吸収していてうらやましいなって思う。

「このベース、カッコいい! 誰!?」

──ハマくんが「SLY」に参加するまでにどういう流れがあったんですか?

SU イル(ILMARI)くんが「絶対ハマくんがいい」って言ってたんだよね。

ハマ 最初はプライベートでイルさんとごはんを食べていて。そのときに「FUMIYAくんもハマくんのベースがカッコいいって言ってるから、今度何かお願いしてもいい?」って言っていただいて。僕は「もちろんです、いつでも!」って言って。それが今年の夏だったので、来年あたりに何か一緒にやれたらいいなと思ってたんですけど、1週間後くらいに事務所で「RIP SLYMEからオファーが来たよ」って話をされたんです。「え、もしかしてこの前の話!?」と思ってイルさんにすぐに電話して。「オファーをいただいたみたいなんですけど、これってこの前言ってたことですか?」って聞いたら、「たぶんそうだと思うよー」ってユルい感じで言われて(笑)。ホントにすぐ実現できてよかったなって思いました。

──レコーディングはどうでしたか?

ハマ 僕の演奏自体は30分くらいで終わったんです。そこでSUさんがお怒りになられていて(笑)。「まだ夕方じゃん! 夜、一緒にごはん食べに行きたかったのに!」って。スタジオにはSUさんとFUMIYAさんとイルさんがいたんですけど、夜まで時間をつぶそうって、スタジオの近くに川があったので鯉にエサをあげに行って(笑)。そのあとは焼肉を食べに行って楽しい時間を過ごしました。

PES でも、イルくんは自分でハマくんのゲスト参加を熱望していたのに、レコーディングに間に合わなかったんだよね(笑)。

ハマ・オカモト

ハマ 大遅刻なされて(笑)。さらにヤバい後日談があって。僕らもそのスタジオをよく使っていて、アシスタントエンジニアの方も一緒なんですけど、その人が「この前、ILMARIさんが『SLY』のラップを録っているときにオケを聴きながら『このベース、カッコいい! 誰!?』って言ってたんですよ」って(笑)。

レイジ そのエピソード、かなりヤバいなあ(笑)。

PES おまえがハマくんに弾いてもらいたいって言ったんじゃんっていう(笑)。

ハマ イルさんも「ああ、そうだ、ハマくんだったわ。ゴメン、ゴメン」って言ってたらしいんですけど(笑)。またILMARIさん伝説がひとつ生まれたなと思って。

PES でも、ホントにハマくんのベースが入ったことでさらにグルーヴが出たよね。「SLY」ってけっこう打ち込みの要素が強いから、生感が出たのがすごくよかった。

──SUさんはどうですか?

SU あのベース、誰ですか!?(笑) っていうくらいカッコよかったです。

──レイジくんは音源を聴いてどうでしたか?

レイジ ぜひ俺も参加させてもらいたいって思いましたよ。ああいう曲だったらなおさらそう思いますね。

PES 今度はレイジくんにもぜひお願いしたい。

RIP SLYME、OKAMOTO'Sの曲作り

レイジ いつも曲ってどういうふうに作ってるんですか?

PES

PES 基本的にはFUMIYAくんが最終アレンジ手前くらいまでバーッと作って。そこに16小節ずつくらいラップを入れる余白が空けてあるから、MCがそれぞれバーッとラップを書いて録るって感じかな。で、録ったものを聴いてみたらラップの順番が変わってたり、サビが半分切られてたりすることもあって。

ハマ そういうエディットも全部FUMIYAさんがやるんですか?

PES そう。で、できたものを覚えてライブでやるっていう。

レイジ フックのメロディもFUMIYAさんが?

PES 何もないときは俺が作るけど、最近はだいたいFUMIYAくんが作ることが多いかな。OKAMOTO'Sの曲作りはセッションから始まるの?

ハマ 昔はよくセッションから作っていたんですけど、最近は基本的にはボーカルのショウがデモを作って、その音源を事前にもらって聴いておいて、スタジオで合わせるときに各パートの音を自由に入れる感じですね。

レイジ ショウから「こういうドラムパターンで叩いてほしい」っていう注文をもらうときもあるんですけど。

ハマ そういうやり方が固まったのが去年から今年にかけてで。ようやくいい形ができたなって。

オカモトレイジ

レイジ ショウの作曲能力が今年1年でものすごく上がったんです。上げてくるデモのクオリティがどれも高いんです。僕もたまに曲を作ってみるんですけど、バンドに還元できる曲があんまりできなくて。「これ、作ったはいいけどOKAMOTO'Sではやんねえだろう」って個人的に思ってメンバーにも送らない曲がたくさんあるんですよね。

PES (SUに向かって)その気持ちわかるでしょ?

SU うん(笑)。

ハマ SUさんもそういうことが多いんですか?

SU 自分が作った曲をひたすらメンバーに聴かせてた時期もあったけど、何も引っかからず(笑)。

PES 俺は今でもどんどん作ってくればいいのにって思うんだけどね。昔はSUさんが作った曲をシングルのカップリングやアルバムに入れてたんだけど、メンバーに聴かせても通り過ぎていく曲が多いからか、いつからかドアをノックすることもしなくなって(笑)。悔しかったのかなあって。

SU 悔しいというのは全然ないんだけどね。だからさ、レイジくんもそのぶん、別のところで主張しようということで髪を赤くしたりしてるわけでしょう?

PES そういうことじゃないでしょ(笑)。

レイジ いや、でもホントに自分のバンド内の役割が最近わかってきて。ハマくんはベースがものすごくうまくて、米国のFender社とエンドースメント契約をしたり、リップやももクロの曲にゲストミュージシャンとして参加したり。僕は交遊関係をきっかけにして、リップのスタイリングも担当しているTEPPEIさんや、衣装を作ってもらってるPHINGERINとかCYDERHOUSEっていうアパレルブランドとバンドをつなげたりして。

──SIMI LABのメンバーでありデザイナーのMA1LLさんとかもそうだし。

レイジ そうそう。そういうクリエイターをバンドに招聘する係になりたいなと思ってるんですよね。

RIP SLYME ニューアルバム「GOLDEN TIME」/ 2013年12月4日発売 / unBORDE
初回限定盤[CD+DVD] 3700円 / WPZL-30777~8
通常盤[CD] 3150円 / WPCL-11581
CD収録曲
  1. GOLDEN TIME
  2. FAKE
  3. SLY(Album version)
  4. AH! YEAH!
  5. ジャングルフィーバー
  6. 気の置けない二人
  7. ROAD MAP
  8. アプリオリ
  9. 恋のシンキングタイム
  10. 断捨離ズム
  11. Run with...
  12. ロングバケーション
  13. Butterfly Effect
初回限定盤DVD収録内容
  • 「RIP SLYME presents 真夏のWOW at STUDIO COAST」スペシャル映像(ライブ映像数曲入り)
OKAMOTO'S ニューアルバム「Let It V」/ 2014年1月15日発売 / アリオラジャパン
OKAMOTO'S「Let It V」ジャケット
初回限定盤[CD+DVD] 3500円 / BVCL-570~71
通常盤[CD] 2730円 / BVCL-572
CD収録曲
  1. Let It V
  2. Kill Dreams
  3. Let's Go! Hurry Up!
  4. HAPPY BIRTHDAY
  5. 告白
  6. Yah!!(ビューティフルカウントダウン)
  7. It's Alright
  8. SEXY BODY
  9. JOY JOY JOY
  10. ドアを叩けば

※初回限定盤DVD収録内容は後日発表

RIP SLYME(りっぷすらいむ)

RYO-Z、ILMARI、PES、SU、FUMIYAからなる4MC&1DJヒップホップユニット。1994年に結成され、2001年3月にシングル「STEPPER'S DELIGHT」でメジャーデビュー。その後2ndアルバム「TOKYO CLASSIC」がミリオンヒットを記録する。さらに国内のヒップホップユニットとして初めての日本武道館ワンマンライブを行い、日本にヒップホップ文化を広く浸透させた。2005年にFUMIYAが病気療養のため一時ユニットを離脱するも、翌年8月に無事復帰。再び5人体制で精力的にリリースやライブ活動を行っている。2010年には、メジャーデビュー10年目を記念しベストアルバム「GOOD TIMES」とカップリングベストアルバム「BAD TIMES」をリリース。2013年12月には9枚目のオリジナルアルバム「GOLDEN TIME」を発表した。

OKAMOTO'S(おかもとず)
OKAMOTO'S

オカモトショウ(Vo)、オカモトコウキ(G)、ハマ・オカモト(B)、オカモトレイジ(Dr)の4人からなるロックバンド。バンド名およびメンバー名は、彼らが敬愛する岡本太郎に由来する。抜群の演奏力とアグレッシブなライブパフォーマンスに定評があり、2010年3月にはアメリカのショーケースイベント「SXSW」に出演。続けて行われた全米ツアーでも高い評価を受けた。次世代のロックシーンを担うホープとして注目を集める中、2010年5月に1stアルバム「10'S」でメジャーデビュー。2011年7月には「FUJI ROCK FESTIVAL '11」に初出演を果たし、10月には初のアジアツアーを開催した。2013年1月にセルフタイトルを冠した4thアルバム「OKAMOTO'S」を発表。同年11月にはニューシングル「SEXY BODY」をリリースした。


2013年12月10日更新