Reol×ケンモチヒデフミ(水曜日のカンパネラ)|ジャンルを超え惹かれ合う異色クリエイターたち

Reolが1stアルバム「事実上」を10月17日にリリースした。

音楽ナタリーではアルバムの発売を記念して、兼ねてから交流があるというReolとケンモチヒデフミ(水曜日のカンパネラ)との対談を企画。アーティストとして独自のクリエイティビティを発揮している両者の交流が生まれたきっかけやアルバム「事実上」にまつわるトーク、また楽曲制作に対するスタンスなどを語り合ってもらった。

取材・文 / 倉嶌孝彦 撮影 / 草場雄介

「ラジオでケンモチさんがREOLの話をしてましたよ」

──そもそもお二人はどういうきっかけから交流を持ったんでしょうか?

Reol 2017年2月にREOLとして東京・Zepp Tokyoで「テンカイ ノ コウシキ」ってライブをやったんです。そのとき、関係者の皆さんの中にケンモチさんにそっくりな方がいて……。

ケンモチヒデフミ 本物の僕だったんですよね。

Reol そうなんです。それでビックリして。実はそれより前に私たちのリスナーさんが「ラジオでケンモチさんがREOLの話をしてましたよ」って教えてくれたことがあったんですけど、そのときは信じてなかったんですよ。「絶対聞き間違いでしょ」って。

ケンモチ いやいや、それも本当のことなんです。

左からReol、ケンモチヒデフミ。

──ケンモチさんはReolさんがやっていたユニット・REOLのことをいつ知ったんですか?

ケンモチ 「Σ」(2016年10月発売のアルバム)が出たときにYouTubeで「ギミアブレスタッナウ」のミュージックビデオを観て衝撃を受けたんです。ニコニコ動画の界隈から出てきた人たちって、ちょっとロック寄りのジャンルの人たちとか、クラシカルな感じの音楽を好む人たちが多いイメージだったんですよ。でも「ギミアブレスタッナウ」にはトラップやトワークのサウンドの要素が取り入れられていて、REOL時代も楽曲を作っていたGigaちゃんのトラックがやけにイケイケだったんですよね。あとReolちゃんのビジュアルから出る声のインパクトもすごかったです。

Reol きっかけは「ギミアブレスタッナウ」だったんですね。

──「ギミアブレスタッナウ」はReolさんが初めて実写のMVに挑戦した作品でもありました(参照:REOL「Σ」インタビュー)。

ケンモチ これまでずっとビジュアルを出してなかった人の出方じゃないんですよ(笑)。ちょっとギョっとするような演出も入ってて。

Reol 「ちょっとずつ顔出しをする」みたいなやり方が嫌だったんですよね。顔がかわいいとかかわいくないとか、そういうことに目がいかなくなるぐらいしっちゃかめっちゃかな映像を作ろうというところが出発点だったので。

ケンモチ ファンの方からは驚かれたんじゃない?

Reol 「ギミアブレスタッナウ」のMVを公開したときファンの感想が二分したんです。動画共有サイトで活動していたときに使っていたイラストのイメージや空気感に惹かれていた人たちにとってはやっぱり衝撃的だったみたいで。賛否両論はありましたけど、ちゃんと音楽を聴いて判断してくれてる人たちにはすんなり受け入れてもらった感覚はあったし、ああやって顔を出すとそのあとが楽なんですよね。もう何やっても驚かれなくなった感じがあるので。

──Reolさんはいつからケンモチさんのことを知っていたんですか?

Reol

Reol 私が水カンさんを知ったのは4年ぐらい前だと思います。コムアイさんをフィメールラッパーとして捉えていたから、ヒップホップを追いかけているうちに知ったんですよね。たぶん「桃太郎」が話題になるちょっと前くらいのタイミングに。私、気に入ったものはすぐにGigaと共有するから「水カンのトラック、めちゃくちゃ音よくない?」って、すぐに聴かせたんです。

ケンモチ いやあ、恐縮ですね。

Reol 「この曲のシンセ、超いいから同じの買おうよ」みたいな(笑)。以前からずっとケンモチさんをリスペクトしてたんですよ。

アルバムのコンセプトを打ち出した3曲

ケンモチ さっきビジュアルの話が出たけど、アルバム「事実上」のジャケットもすごくいいよね。エキゾチックな雰囲気があって、Reolちゃんの振り切ってる感じがにじみ出てる。ビジュアルだけじゃなくて、サウンドにもエキゾチック感があるのが今作の特徴ですよね。

Reol 私もGigaもエキゾチックなサウンドが好きで、今作ではその好みをかなり押し出した形になりました。

ケンモチヒデフミ

ケンモチ 途中でラップがお経みたいに聞こえるところがあるし。

Reol ヒップホップも好きでけっこう聴いてるんですけど、なんとなくお経ってラップっぽいなと思うようになって。そういうフロウを取り入れた曲に挑戦してみたくて作ったのが、「煩悩遊戯」って曲なんです。

ケンモチ 「十中八九」「煩悩遊戯」「-MANDARA FACT-」の流れがすごく好きです。「-MANDARA FACT-」はインストのトラックだけど、なぜアルバムの中盤にインスト曲を入れようと?

Reol 私の声質っていい意味でも悪い意味でも圧があるから、ずっと聴いていると耳が疲れるなと思っていて。で、声だけじゃなくてGigaのトラックも音圧が強いんです。だからちょっと力を抜いてもらう意味でもアルバムの真ん中にインストのトラックを入れるようにしていて。

ケンモチ ただ「-MANDARA FACT-」はアルバム全体のカラーを表す曲として、ちゃんと力を抜いていないんですよね。クロスフェード動画を観たときに「-MANDARA FACT-」が曲紹介以外の部分でも使われていて、アルバム全体を象徴する曲なんだろうと思ったんです。

Reol ケンモチさんのおっしゃる通り、「十中八九」から「-MANDARA FACT-」までの3曲がアルバムのコンセプトを色濃く出せているところだと思っています。私、シングルの寄せ集めみたいなアルバムはあまり好きじゃなくて、曲をまとめて出すならコンセプチュアルな形にしてリリースしたいと思っているので、インスト1曲入れるにしてもどういう曲調にしようかはすごく考えました。水カンさんのアルバムも毎回コンセプトは意識していますよね?

ケンモチ そうですね。でもどういうコンセプトになるかって、事前に決めているわけじゃなくて、結果的にそうなっていることも多いんです。僕らの作品は最初に作ろうと思っていた形がいつの間にか崩壊してることがよくあるんです(笑)。でもちゃんと違うところにコンセプトの芽が出てきて「あ、こっちのほうが面白いかも」って軌道修正した結果、アルバムとして完成するってパターンばかりですね。

Reol「事実上」
2018年10月17日発売 / CONNECTONE
Reol「事実上」初回限定盤

初回限定盤 [CD+DVD]
4104円 / VIZL-1418

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Reol「事実上」通常盤

通常盤 [CD]
2700円 / VICL-65037

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CD収録曲
  1. 幽居のワルツ
  2. サイサキ
  3. 激白
  4. 十中八九
  5. 煩悩遊戯
  6. -MANDARA FACT-
  7. 真空オールドローズ
  8. ミラージュ
  9. SAIREN
  10. 秋映
  11. mede:mede -JJJ Remix-
初回限定盤DVD収録内容
  • 初回限定盤DVD
  • 「エンド」MV
  • 「サイサキ」MV
  • 「SAIREN」MV
  • 事実上制作メイキング
ライブ情報
Reol Japan Tour 2018 MADE IN FACTION
  • 2018年11月30日(金) 東京都 Zepp TokyoOPEN 18:00 / START 19:00
Reol(レヲル)
Reol
シンガーソングライター。2012年より動画共有サイトにて歌唱動画や自身が作詞を手がけた楽曲を投稿し始める。2015年7月には、れをる名義でソロアルバム「極彩色」をリリース。また同年10月には1stワンマンライブ「極彩色High Fidelity 東の宴」を開催した。2016年3月にはサウンドクリエイターのギガ、映像クリエイターのお菊と共にユニット・REOLとしての活動をスタートさせ、同年10月にはアルバム「Σ」を発表した。しかし2017年8月にユニット・REOLの“発展的解散”を発表し、同年10月に行われたラストライブ「REOL LAST LIVE『終楽章』」を開催。ユニットとしての活動に終止符を打った。2018年1月にはReol名義で“再起動”することがアナウンスされ、同年3月に新作ミニアルバム「虚構集」をリリース。同年10月に1stアルバム「事実上」を発表した。アルバム発売後には全国ツアー「Reol Japan Tour 2018 MADE IN FACTION」を開催。11月30日には東京・Zepp Tokyoでのツアーファイナルを控えている。
ケンモチヒデフミ
ケンモチヒデフミ
1981年生まれ、埼玉県育ち。サウンドプロデューサー、トラックメイカー、作詞家、作曲家。学生時代に音響専門学校に通いながらも、トラックメイカーに転向する。Kenmochi Hidefumi名義でクラブジャズ系シーンで活動し、2008年にはNujabes主宰のHydeout Productionsより1stアルバム「Falliccia」をリリースした。2012年に水曜日のカンパネラを始動させ、サウンドプロデューサー兼メンバーとして活動している。並行してChara、iri、吉田凜音などのアーティストへの楽曲提供を行ったり、映画「猫は抱くもの」の劇伴を手がけたりと活躍の場を広げている。