映画の監督に近い役割
ケンモチ アルバムのジャケットデザインとかはReolちゃんが自分でアイデア出しをしてるの?
Reol ポージングや衣装のアイデアは出してますけど、細かいアイテムの選定とかは信頼の置けるデザイナーさんにお願いしています。本当は全部を選べればいいんですけど、やりたいことを全部形にするには自分が3人ぐらいいないと手が回らないので……。
ケンモチ 細かいところまで気にし始めると音楽のほうに集中できないからね。
Reol 音楽が本質であることは絶対条件だと思っているので、ある程度は私の意を汲んで形にしてくれる人が必要なんですよね。トラックで言えばそれがGigaであり、動画制作で言えばそれがREOLのときに一緒にやっていたお菊であり、今回のアートワークで言えばそれをやってくれたのがデザイナーの木村(豊)さんなんです。
ケンモチ Reolちゃんは映画の監督に近い役割だよね。脚本には脚本家がいるし、カメラとか照明とかそれぞれに専門のスタッフがいるから指示がなくても何かしらの作品はできちゃうんだけど、自分のやりたいことをしっかり言葉にする監督がいないといい作品は生まれないから。周りの人にやりたいことをちゃんと伝えて、自分の中のイメージをどう形にしてもらうのかって、すごく大事なことだと思う。
Reol 周りの人との信頼関係もすごく大事ですよね。驕りみたいに聞こえてしまうかもしれないんですけど、Gigaもお菊も私以外の人間の仕事ってあまり受けないんですよ。もともと2人とは仕事として音楽をやり始める前から遊びのように作品を一緒に作っていたし、今でもその延長線上で一緒に作品が作れている。逆に仕事として発注していたらこの関係性は築けなかったし、いつまでこういう特別な関係が続くんだろうっていうのは考えちゃいますね。
ユニットでやる醍醐味
ケンモチ 歌詞で気になったところがあるんだけど聞いていい?
Reol もちろん、なんでも聞いてください。
ケンモチ 「十中八九」の歌い出しの「七日でちょいと天地創造 あとはみんなご自由にどうぞ」ってところ、すごいですよね。これシラフじゃ絶対書けないよ。
Reol 歌詞を書くときはシラフです(笑)。
ケンモチ ここの歌詞が出てきただけで「よっしゃ」って思ったでしょ?
Reol 「十中八九」はジャケットのアートワークができてから作った曲で、神様視点で書こうと思って書き始めたんです。
ケンモチ ちゃんと韻を踏んでるから聴いてて気持ちがいいし、ただ韻を踏んでるだけじゃなくて意味もつながるようになってるんだよね。
Reol 「こいつ、韻を踏んでるだけで意味ねえな」って思われたくないから、ちゃんと意味がつながってるかどうかはすごく気を使ってます。「十中八九」はそれがうまくいった例ですね。ケンモチさんは歌詞を書くときどんなことに気を使ってますか?
ケンモチ 1曲1曲に法則性を持たせてみたり、意味があるようで実は意味がないような言葉遊びをしたり、けっこう曲ごとに考えていることは違いますね。どうやったら面白く聞こえるかを重視しているかな。
Reol 私、「かぐや姫」の歌詞に面食らったんですよ。
ケンモチ ホントですか?
Reol 「かぐや姫」のMVがアップされてGigaとすぐ観たんですよ。「すくすくと」って響きを入れるところが本当に水カンでしかできないだろうなと思って。私が「すくすくと」って入れるとしたらもっとテンポが速くなっちゃうし。自分では絶対できないアプローチだからすごく衝撃的でした。
ケンモチ 「かぐや姫」はコムアイが詞を書いた曲だから、僕の想定ともまた違うんだよね。トラックを作った段階の譜割ではもうちょっと言葉数があるように投げたんですよ。それをコムアイに投げたら「すくすくと」って返ってきて(笑)。「情報量どこ行った!」と思ったけど、予測できない返しがあるのはユニットでやる醍醐味でもありますよね。ちなみにReolちゃんが好きな水曜日のカンパネラの曲はどれですか?
Reol 「チュパカブラ」とか「ラー」が好きです。
ケンモチ やっぱりダンストラックなんですね。
Reol 「チュパカブラ」はメチャクチャ聴きました。
ケンモチ 「チュパカブラ」は一応ジャンル的にはラップになるんだと思うけど、コムアイの声ってちょっとふわふわした感じで、ふわふわした感じのラッパーってシーンにけっこういるんですよね。だから普通に作ったら埋もれちゃうなと思って、テーマ性とかトラックの作り方でコムアイの個性が生きるように意識してるんです。「チュパカブラ」とか「ラー」は、今話したような作り方で形になった曲ですね。
固定概念をどんどん崩していきたい
──ケンモチさんから見て、Reolさんに合いそうなサウンドは何か思い付きますか?
ケンモチ いろんなジャンルのものを歌っている印象なんですけど、あんまりスローテンポな歌がないですよね。例えばチル系の曲とか。
Reol 確かに、チル系は全然手を出してないですね。スローテンポなバラードとかってよく聴くんですけど、自分がやってウケるかどうかというのを考えてしまって。アルバムの収録曲ならまだしも、バラードでシングルを切るには相当自信のある曲じゃないと無理だなと思ってます。
ケンモチ でもReolちゃんがリバーブをバンバンに効かせたチル系の曲を歌ったら衝撃的だと思うよ。
Reol こうやって活動してると、イメージを塗り替えていくのがすごく大事だと思うので、一度やってみたいですね。「Reolといえばこういう曲」みたいな固定概念をどんどん崩していきたい。
ケンモチ 「〇〇っぽい曲が聴きたい」って言われるんだけど、そういう要望に応えると「〇〇に似てる」って言われるわけだしね(笑)。それに同じクオリティのものを発表すると、聴くほうとしては最初の曲に比べて衝撃が薄れてるから、60%くらいのインパクトでしか受け取られないし。僕らもどうやって聴いてくれる方々に衝撃を与えられるかは常に考えています。
Reol 1つ提案なんですけど、今度一緒に曲作るのはどうですか?
ケンモチ え、むしろいいんですか?
Reol Gigaとトラックを共作するのとかどうです? 面白そうだなと思って。
ケンモチ 僕が手を出すところあるのかって気がするんですけど、僕としてはありがたい話ですね。
Reol ぜひお願いします! Gigaもきっと喜ぶし、何しろいろいろ刺激をもらえると思うので、すごく楽しみです。
- Reol「事実上」
- 2018年10月17日発売 / CONNECTONE
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初回限定盤 [CD+DVD]
4104円 / VIZL-1418 -
通常盤 [CD]
2700円 / VICL-65037
- CD収録曲
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- 幽居のワルツ
- サイサキ
- 激白
- 十中八九
- 煩悩遊戯
- -MANDARA FACT-
- 真空オールドローズ
- ミラージュ
- SAIREN
- 秋映
- mede:mede -JJJ Remix-
- 初回限定盤DVD収録内容
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- 初回限定盤DVD
- 「エンド」MV
- 「サイサキ」MV
- 「SAIREN」MV
- 事実上制作メイキング
- ライブ情報
Reol Japan Tour 2018 MADE IN FACTION -
- 2018年11月30日(金) 東京都 Zepp TokyoOPEN 18:00 / START 19:00
- Reol(レヲル)
- シンガーソングライター。2012年より動画共有サイトにて歌唱動画や自身が作詞を手がけた楽曲を投稿し始める。2015年7月には、れをる名義でソロアルバム「極彩色」をリリース。また同年10月には1stワンマンライブ「極彩色High Fidelity 東の宴」を開催した。2016年3月にはサウンドクリエイターのギガ、映像クリエイターのお菊と共にユニット・REOLとしての活動をスタートさせ、同年10月にはアルバム「Σ」を発表した。しかし2017年8月にユニット・REOLの“発展的解散”を発表し、同年10月に行われたラストライブ「REOL LAST LIVE『終楽章』」を開催。ユニットとしての活動に終止符を打った。2018年1月にはReol名義で“再起動”することがアナウンスされ、同年3月に新作ミニアルバム「虚構集」をリリース。同年10月に1stアルバム「事実上」を発表した。アルバム発売後には全国ツアー「Reol Japan Tour 2018 MADE IN FACTION」を開催。11月30日には東京・Zepp Tokyoでのツアーファイナルを控えている。
- ケンモチヒデフミ
- 1981年生まれ、埼玉県育ち。サウンドプロデューサー、トラックメイカー、作詞家、作曲家。学生時代に音響専門学校に通いながらも、トラックメイカーに転向する。Kenmochi Hidefumi名義でクラブジャズ系シーンで活動し、2008年にはNujabes主宰のHydeout Productionsより1stアルバム「Falliccia」をリリースした。2012年に水曜日のカンパネラを始動させ、サウンドプロデューサー兼メンバーとして活動している。並行してChara、iri、吉田凜音などのアーティストへの楽曲提供を行ったり、映画「猫は抱くもの」の劇伴を手がけたりと活躍の場を広げている。