Reolが1stミニアルバム「虚構集」を3月14日にリリースした。
昨年10月、3人組ユニット・REOLが“発展的解散”となり、ソロ活動をスタートさせたReol。今作「虚構集」では彼女自身が全曲の作詞作曲を手がけ、REOLの元メンバーであるギガのほか、ミト(クラムボン)、瀬恒啓といった面々がアレンジで参加している。音楽ナタリーではReolにインタビューを行い、ユニット解散のときに考えていたこと、ソロとして再び歩き始めた心の内などを語ってもらった。
取材・文 / 倉嶌孝彦 撮影 / 竹中圭樹(D-CORD)
- Reol「虚構集」
- 2018年3月14日発売 / CONNECTONE
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初回限定盤
[CD+ブックレット]
2700円 / VIZL-1328 -
通常盤 [CD]
1944円 / VICL-64954
- 収録曲
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- エンド
- 平面鏡
- ミッシング
- カルト
- あ可よろし
「ここで折れるのは自分らしくない」
──今回はReolさんへの取材ではありますが、昨年10月に“発展的解散”をしたユニット・REOLのお話から伺えればと思います(参照:REOLが“発展的解散”発表、ラストライブは東阪で)。Reolさん自身はグループの解散をどう受け止めたんでしょうか?
正直に言うと、解散に関して私は最後まで反対でした。メンバーのお菊から「辞めたい」という申し出を受けたとき、辞めないよう、すごく説得をしたんです。彼女はレーベルから求められる音源のリリースやライブ開催のペースに対して、クオリティを保ったまま映像を作り続けるのが難しいと言っていて。私自身はソロかユニットか、どっちの活動を本格化させるかっていうときに、ソロという選択肢を蹴ってREOLとしての活動を始めていたから、改善できる部分があるのなら改善して、解散だけは避けたいと思っていたんですけど……映像に関する悩みって私やギガではどうしようもなくて、さらに私たちのようなユニットはあまり前例がないから、どう改善してあげればいいのかわからなかった。
──REOLの中で映像を手がけるメンバーはお菊さん1人であり、REOLの作品である以上、負担を軽くするために映像制作を外注するわけにもいかなかった、ということですよね。
はい。代替案として別の人を立てて映像を作ってもらうという選択肢も考えたんですけど、それはお菊としても抵抗感があったみたいで。「なんのために自分がアートワーク担当として入ったのかわからなくなる」って言われて、私もその通りだなって思った。レーベルには「いいものを作るから少し待ってくれ」と言って待ってもらったんですけど、これ以上足取りを遅くすることができなくなり、かと言ってペースを上げるとなると映像作りが間に合わなくなるので、続けることが困難になってしまったんです。それが去年1年の間にあったことですね。
──“発展的解散”を経て、Reolさん自身にはいろんな選択肢があったと思います。ソロ活動をすることに迷いはなかったんでしょうか?
最初はソロでやろうとか全然考えてなくて。解散が決まったときはホントに頭の中が真っ白になってしまって、これから先、自分がどうすればいいかわからなくなってしまったんです。そんな中、お菊から「解散はするけど、れをるにはソロで活動し続けてほしい」って言われたんですよね。「自分が足を引っ張っているようで嫌だし、れをるだったらもっと高みへ1人でも行ける。そのためのサポートならできるけど、メンバーとして一緒にやっていくにはペースが合わせられない」って。それとレーベルの人や友達に解散を伝えたときに「じゃあソロでやっていくんでしょ」みたいに言われることも多かったし、一番大きかったのは親に「このまま終わるなんてカッコ悪すぎる」って言われたことですね(笑)。私自身「ここで折れるのは自分らしくない」と思って。だからもう一度、今度はReolとして歩き出してみることにしたんです。
新しいReolの音楽性
──ユニットのREOLではなく、ソロアーティスト・Reolとしてどういう方向性で活動していこうと考えたのでしょうか?
この考え方は以前から変わらないんですけど、私は自分の好きなものしか作りたくない性分なんです。だから私自身は商業的に音楽を作ることができない、と思っていて。声をかけてくれたレーベルの方には「売れる音楽を狙って作ることができないんですが、それでもいいんですか?」って話をして。それと、ユニットとの差別化も図らなきゃいけないから今までとは違う音楽性を持たせるということ、自分の足でちゃんと立っていくために作詞作曲などのクリエイティブを全部自分でやらせてほしいことも伝えて、それでも乗ってきてくれたのがビクターのCONNECTONEだったんです。
──これまでギガさんが作曲した曲を歌うことが多かったReolさんにとって、すべての曲を自分で作詞作曲するというのは大きな変化ですね。
とにかくクリエイティブに関することは私が取り仕切るっていうのがReolとしての活動の大前提なんです。正直、ギガとお菊とはユニットを組む前から数えると5年ぐらい一緒にやってきたので、自分としては心の支えが一気になくなるような喪失感も感じていて。でも今は今で支えてくれる人たちもいるし、ユニットではできていなかったロックのような音楽性にチャレンジするいい機会だと捉えるようにしています。
──「れをる」や「REOL」の音源には収録されていなかった王道のロックサウンドを取り入れたのが、今作「虚構集」の特徴だと思いました。
もともと私のルーツはロックなんですけど、れをるやREOLのときはギガが表現するエレクトロの曲を、ロックをルーツに持つ私が歌うっていう化学反応が面白かったところがあって。今回は全部私が作詞作曲だから、自然とロックのサウンドに寄っていったし、ミトさんや瀬恒(啓)さんにアレンジをお願いできたこともあって、今まで発表してきた曲とは違う新しいReolの世界観を表現できた手応えがあります。
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ギガとお菊への依頼
- ライブ情報
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「刮目相待 -六の宴-」
2018年6月1日(金)
東京都 EX THEATER ROPPONGI「刮目相待 -八の宴-」
2018年6月8日(金)
大阪府 なんばHatch
- Reol(レヲル)
- シンガーソングライター。2012年より動画共有サイトにて歌唱動画や自身が作詞を手がけた楽曲を投稿し始める。2015年7月には、れをる名義でソロアルバム「極彩色」をリリース。また同年10月には1stワンマンライブ「極彩色High Fidelity 東の宴」を開催した。2016年3月にはサウンドクリエイターのギガ、映像クリエイターのお菊と共にユニット・REOLとしての活動をスタートさせ、同年10月にはアルバム「Σ」を発表した。しかし2017年8月にユニット・REOLの“発展的解散”を発表し、同年10月に行われたラストライブ「REOL LAST LIVE『終楽章』」を開催。ユニットとしての活動に終止符を打った。2018年1月にはReol名義で“再起動”することがアナウンスされ、同年3月に新作ミニアルバム「虚構集」をリリースした。