音楽ナタリー Power Push - ReN
どん底の挫折からシンガーの道へ
闇の中にこそ光がある
──6月には初のアルバムがリリースとなります。「Illumination」「Stars」「Lights」といった曲名や、アートワーク、歌詞、「Lights」のミュージックビデオなど星をイメージさせる要素が多かったのですが、これはなぜ?
レーサーの頃に富士山のほうとかよく行ったんですけど、星のきれいな場所があって。煮つまったときは深夜そこへ行って、寝っ転がるのが好きでした。星が想像以上にキラキラ光っていて。けれど、その星は地球から何万光年の距離があるんですよね。そんな景色を見つめるのが好きだったんです。それでギターをつまびいたり、かき鳴らしたりするたびに、あのとき見た星たちが降り注いでくるようなイメージが浮かぶんです。人間って絶望したら心を閉ざして、目の前が真っ暗になって、先が見えなくなってしまうじゃないですか? でも、そこからずっと遠くを見つめると、かすかな光が見えてくる気がするんです。そんなイメージを反映しました。
──ボーナストラックに「生きる」のアコースティックバージョンが入っていますが、本編のラストに「Lights」が来る構成になっていますね。ReNさんが音楽活動をスタートさせ、「百戦蓮磨」を1年間行い、今に至るまでのプロセスが詰め込まれたような作品に感じました。
それ以上の表現はありませんね。普段はアコギ1本とかLoop Stationだけ使っているので表現に限界があるんですけど、アルバム収録曲はもし僕がすべての楽器を弾けたら、こういう音を出すだろうなっていう形で作っています。僕の頭の中で流れていたイメージをそのまま投影しているんです。
──アレンジについてもすべてご自身で指示するような形ですか?
小学校のとき、僕にギターを教えてくれた大先輩がいて。その先輩のスタジオに毎日のように行き、僕のイメージを具現化してもらいました。
──ギター以外の演奏は?
バイオリンやドラム、ベースとかはほかの人にお願いしましたけど、基本的に自分が弾ける楽器とか、どうしても自分で入れたかった音については全部僕が演奏しました。どんなに下手でも自分のエッセンスを注ぎたかったので。
「本当によかった!」って思ったことは一度もない
──ReNさんのこれまでの活動を振り返ると、少しずつポジティブな方向に進んでいく様子は「生きる」の歌詞を体現しているようですね。
でもまだまだです。「今日のライブは本当によかった!」って思ったことは一度もないんですよ。おそらくは一生かかると思うんですけど、いつかはそこまで到達してみたいです。
──その都度目標を作っていくことはいいですね。
作るというか、勝手にできるというか。ライブが終わったあと、スタッフのみんなが悪かった部分を指摘してくれるので、毎回直していくポイントは明確化してます。
──アルバム発売後の展開はどうでしょうか?
12月にはShibuya eggmanでワンマンライブを予定していまして。あとはFm yokohamaで毎週生放送している「おれん家へようこそ!」っていうラジオ番組をやっているんですけど、それとワンマンのコラボを展開していこうと思っています。
──地方でのライブもありますよね。
たくさん回りたいです。今まで行けなかったところ、行ってみたいところもあるので。12月までにどんなライブをやってきたかでワンマンがどうなるか決まると思うので、どんどん動いていきます。
──昨年は「FUJI ROCK FESTIVAL '15」にも出演されましたが、こういった大規模なライブへの出演についてはいかがですか?
もちろん、今後も出てみたいですね。けど、もっともっと自分の力をつけて、相手から「出てください!」って言われるようになりたいです。
──現在ライブでは1人で演奏されていますが、アルバム録音時のようにバンドメンバーと演奏するのもまた面白いんじゃないかと。その点はどうでしょうか?
興味はあるんですけど、シンガーとしてのレースは始まったばかりです。まずは1人の可能性を追及してみたいです。エド・シーランを超えられるだけのスキルは必要だし、自分にしかないスキルも手に入れないといけないので。音楽っていうのは正解不正解がないからいいんです。その人ならではのスタイルであればやっぱりカッコいいですよね。自分もどこまでできるか考えつつ、走っていきます。
収録曲
- Illumination
- Sheffield
- Me&You
- Stars
- 時間切れ
- Friends Forever
- 生きる
- Goodbye
- Lights
- 生きる(Acoustic Live Session)
ReN(レン)
1994年生まれのシンガーソングライター。幼少期からギターに親しみつつ、12歳でモータースポーツ選手としての活動をスタートさせた。2014年に試合中のけがによる選手引退を機に、シンガーソングライターとしての道を歩む。2015年には1年間で100本のライブを行う「百戦蓮磨2015」に挑戦。野外フェス「FUJI ROCK FESTIVAL '15」への出演を挟み、12月の東京・原宿ストロボカフェでの単独公演をもって年間ライブ100本を達成した。2016年4月からはFm yokohamaにて、自身がパーソナリティを務める番組「おれん家へようこそ!」の放送が開始。6月に自身初となるアルバム「Lights」をリリースする。