ナタリー PowerPush - レキシ

足軽先生と探るレキシの秘密

池田貴史のソロプロジェクト・レキシの3rdアルバム「レキミ」が完成した。このアルバムは、斉藤和義、Salyu、真城めぐみ(HICKSVILLE)、山口隆(サンボマスター)ら豪華ゲストが多数参加する話題作。日本史をテーマにしたさまざまな楽曲を、個性豊かなアーティスト陣が自由自在に表現している。

今回ナタリーでは、初期からレキシに参加する“足軽先生”こといとうせいこうと池田による対談を企画。レキシの持つユニークな魅力について存分に語ってもらった。

取材・文 / 大山卓也 インタビュー撮影 / 広川智基

 
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日本史を歌って押し付けがましさ回避

──今日はアルバム「レキミ」発売記念対談という企画なんですけど、お2人にはまず「そもそもレキシとはなんなのか?」というところから伺いたいと思ってまして。

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いとう レキシというユニットの成り立ちっていうこと?

──はい。やっぱりレキシってだいぶ特殊な存在で、世界中探してもこういうコンセプトで音楽をやってる人はあまりいないんじゃないかと思うんですよ。

いとう ていうか、これPファンクでしょ?

池田 あはは(笑)。ざっくり言いますね。まあそうなんですけど。

いとう いろんなメンバーが出たり入ったりする感じとかまさにPファンクだよね。でもPファンクはアコースティックをやらないから、そこが違うところではある。

池田 そうすね、確かに。

いとう うん。レキシはね、生ギターとパーカッションと池田のキーボードがあれば、スリーピースでもやれるっていうのがすごいところなんだよ。Pファンクファミリーもびっくりっていうかさ、地味だけどわびさびのあるグルーヴで乗せちゃう。そこはやっぱ日本的な発想なんじゃないの?

──池田さん自身はレキシの独自性についてはどう捉えてるんですか?

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池田 やっぱその、ファンクとかブラックミュージックを日本語でやると、どうしてもクサくなっちゃったり、押し付けがましくなりがちなんで。レキシではそこをうまく回避できたかな、という感じはありますね。

──日本史に関することしか歌わないというコンセプトによって。

池田 そうですね。でも特に変わったことやってるつもりもなくて、自分から出るものを自然にやってるだけなんですけど。

──自然体でこれっていうのもすごいですね。

池田 ほんと僕としてはライフワークというか、私生活のちょい延長ぐらいの感覚で。ほら、なんか奇をてらったりすると疲れちゃうじゃないですか。

いとう えっ、奇はてらってるでしょ?(笑) そういうメガネかけたりして!

池田 いや、まあそれはありますけど(笑)。そこはレキシとしてっていうよりかは、ミュージシャンとして人前に出るわけですし。それなりのあれはまあもちろん……。

いとう あと袴履いて出てきたりしてさ。それで私生活の延長っつったらちょっとおかしな話になっちゃうじゃない(笑)。

ギャグもあるし愛もある

──でもそういう池田さんのキャラクターのおかげもあってか、ファン層もどんどん広がってますよね。日本史というニッチなテーマを扱ってるのに、マニアックにならず広く支持されてる。その理由についてはどう分析してますか?

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いとう それはやっぱ日本史だけじゃなくて、ちゃんとギャグもあるし愛もあるからじゃない? 「恋に落ち武者」なんていうろくでもないタイトルの曲をじーんとしながら聴いてること自体がいいでしょ。「狩りから稲作へ」(2ndアルバム「レキツ」収録)だってそうだよ。最初はみんな笑って聴いてるんだけど……。

──歌詞は、彼氏が稲作を始めるかどうかの話から、恋人同士が一緒に定住するかどうかという2人の将来の話に発展していく内容ですよね。

いとう みんな共感して「あれいい歌ですよね」とか言うんだよな。

池田 「泣けます」とか。いやいやいや、どうかしてるよっていう話で(笑)。

──でもそれってすごい発明ですよね、表現として。

池田 発明なんすかねえ(笑)。

──じゃあ池田さん自身はこのコンセプトから生まれる感動については、あまり意図してなかった?

池田 うん、どっちかって言うと日本史を曲にしていく楽しさが先行してましたから。

いとう 「恋に落ち武者」も初期はもっと単純に「平家の落ち武者 平家の落ち武者」って言ってただけだったし。

──ああ、シンプルな感じで。

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池田 そういう「連呼もの」の曲が、やってくうちに「恋愛もの」とうまく融合してったってのはありますね。

いとう だんだん膨らんでいったね。

──ちょっと待ってください、今池田さん「連呼もの」って言いました?

いとう あはははは(笑)。言ったね。

池田 連呼もの(笑)。

──そんなジャンルが。

いとう 「LOVE!」とか「レキシ!」とか言ってるだけで、実質何も言ってないやつだね。

池田 うん、実のないことをさんざん連呼するっていう。

いとう ずっとコール&レスポンスやってればお客も逃げないしね(笑)。

ニューアルバム「レキミ」 / 2012年12月5日発売 / commmons
ニューアルバム「レキミ」
ニューアルバム「レキミ」CD+DVD盤 [CD+DVD] 3800円 / RZCM-59247/B
ニューアルバム「レキミ」CD盤 [CD] 2800円 / RZCM-59248
CD収録曲
  1. 大奥~ラビリンス~ feat. シャカッチ
  2. 姫君Shake! feat. 齋藤摩羅衛門(斉藤和義)
  3. 武士ワンダーランド feat. カブキちゃん(Salyu)
  4. ハニワニハ
  5. 恋に落ち武者 feat. 足軽先生(いとうせいこう)
  6. 古墳へGO!
  7. 甘えん坊将軍
  8. 君がいない幕府 feat. お台所さま(真城めぐみ from HICKSVILLE)
  9. LOVE弁慶
  10. 墾田永年私財法 feat. 田ンボマスター(山口 隆 from サンボマスター)
DVD収録内容
  • <MUSIC VIDEO>
    姫君Shake! feat. 齋藤摩羅衛門
  • <レキシ池ちゃんとシャカッチ、百休さんによる遺跡ドキュメンタリー>
    「赤き縄文から青き弥生へ」(撮影:いかるがくん)
レキシ

1974年福井県生まれの池田貴史によるソロプロジェクト。池田は1997年にSUPER BUTTER DOGのキーボーディストとしてデビューし、2004年からは100sのメンバーとしても活躍。その日本史マニアぶりを生かし、2007年にレキシとしての1stアルバム「レキシ」を発表した。レキシでは日本史の登場人物や史実をソウルフルなサウンドに乗せて歌う独自のスタイルで注目を集め、2011年3月に2ndアルバム「レキツ」、2012年12月に 3rdアルバム「レキミ」をリリース。