君にとっての幸せはなんですか?
──「Arabic Yamato」というのは、あの有名な液体のり「アラビックヤマト」のことですよね?
はい。最初はたまたま文房具箱に入ってて、曲の仮タイトルとして付けていて。でも愛について歌った曲なので、のりが人と人とをくっつけるみたいな意味合いでそのまま採用してもいいなと思ったんです。それでヤマト株式会社さんに「使っていいですか?」って。曲のタイトルにさせてもらいました。
──そうだったんですね。この曲でも歌われている“私と君”という関係性は、このアルバム全体に通じている世界観だなと思いました。
そうですね。忙しく生きてたり、一生懸命生きてたりすると、目の前にあることでいっぱいいっぱいになって。なんのために、誰のために生きているのか、何が一番大事なのかを見失ってしまう瞬間もあります。でも、自分にとって何が一番大切なものなのか、それだけを考えれば、方程式がすごくシンプルになると思うんです。大切なものを大切にしてあげるために、そのほかのことを考えていく。
──その方程式が“私と君”という世界観で表現されているんですね。どうしてその考えに行き着いたんですか?
私も、何かに集中し始めたら頭がごちゃごちゃになって、どの方向を向いていいのかわからなくなることがあって。そんなときに「私は音楽が好きなんだ」「自分にとっての幸せってなんだろう」とか、そういうところに立ち返ったら、そのほかのことは自分の思い通りにいかなくてもいいじゃないかって思えたんです。みんなにもそういう指標みたいなものがあったら、もっと楽に、シンプルに日々を送れるんじゃないかと思いました。「Silver Shoes」にも「改めて、君にとっての幸せはなんですか?」っていう問いかけのメッセージを込めていて。やっぱり、それが基本じゃん?って思うんです。聴いてくれる人がそういうことを考えるきっかけになったらいいなって、歌い手としては思います。
クラシックギターと私の“2人っきり”が原点
──さまざまな音が入ったアルバムですが、最後のインストゥルメンタル「before sunrise」はクラシックギター1本で演奏されているのが素敵だなと思いました。Reiさんはニューヨークにいた4歳の頃、テレビ番組で女性がギターを弾く姿を観たことをきっかけに、クラシックギターを始めたんですよね。
はい。私にとっての原点は、クラシックギターを弾くことなんです。クラシックギターと私の“2人っきり”でステージに立って演奏するっていうところから私の音楽がはじまってるので、弾くと元の場所に帰れるような感覚になる。でも、「before sunrise」は日の出前っていう意味なので、立ち返ってこれからまた歩み始めるぞっていう始まりの歌でもあります。
──11月に行われる企画ライブには、デビュー作「BLU」を共同プロデュースされた長岡亮介(ペトロールズ)さんがゲスト出演されますね。こちらも原点回帰的と言いますか。
亮介さんと「BLU」を一緒に作らせていただいて、そこから自分の音楽作りの基礎ができたと思っていて。今回改めて自分のイベントにお呼びできるということで、もちろん一緒に作らせていただいた曲もやりたいなと思いますし、せっかく亮介さんとやるんだったらこれでしょ!っていうカバーもやりたいですね。
──そんな「BLU」から「REI」までのReiさんの中での大きな流れが完結しますが、今はどんなお気持ちですか?
「REI」は集大成っていう気持ちはまったくなくて、常に前を向いて作った作品です。3、2、1っていうカウントダウンの意味で言うとシリーズのピリオドではあるので、ここからまたどういうものを作ろうかって企んでいきたいです。お楽しみに。
Reiが選ぶ、セルフタイトルの名盤3枚
- The Beatles「The Beatles」1968年発売
© Apple Corps Ltd.- 大好きなビートルズのセルフタイトル作。最初に聴いたときは、正直曲数も多いしまとまりがないなって思っていたんです……(笑)。でも好きな曲がたくさん入っているし、今改めて聴くとすごい濃厚で。4人それぞれが作曲した曲も入っていて、セルフタイトルにふさわしいバリエーションに富んだ作品なので、そういう意味では素晴らしいなと思います。
- ジャコ・パストリアス「Jaco Pastorius」1976年発売
写真提供:ソニー・ミュージックジャパンインターナショナル- 曲作りを始めた頃に、音楽ソフトでデモテープを作るようになって、ベースを弾くようになったんです。そのときによくジャコをカバーしていたことから聴いたアルバム。彼はものすごくテクニカルだし、ベーシストとしてレベルが高いと思うんですけど、このアルバムには彼自身の人としての不器用さが曲に反映されていて。私はそういうところが好きです。
- ジョニー・ウィンター「Johnny Winter」1969年発売
写真提供:ソニー・ミュージックジャパンインターナショナル- たびたびフェイバリットギタリストとして挙げているジョニー・ウィンターのデビュー作。B.B.キング「Be Careful with a Fool」のカバーが入ってるんですけど、カバーでありながらも自分のものにしちゃうところがさすがだなって思います。あと、ジョニーの好きなところはシグネチャーサウンドを持っているところ。1音聴いただけで「あ、ジョニー・ウィンターかな」って思わせるマジックを持っているので、そういう意味でもすごく教科書的なセルフタイトルアルバムだと思います。
- Rei「REI」
- 2018年11月7日発売 / Reiny Records / ユニバーサル ミュージック
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Limited Edition
[CD+DVD]
3888円 / UCCJ-9217 -
Standard Edition
[CD]
3024円 / UCCJ-2163
- CD収録曲
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- BZ BZ
- LAZY LOSER
- My Name is Rei
- Follow the Big Wave
- PLANETS
- Dreamin'
- Silver Shoes
- Clara
- MELODY MAKER
- The Reflection
- Arabic Yamato
- before sunrise
- Limited Edition付属DVD収録内容
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- MUSIC FILM #2 “Rei of Light”
- 参加メンバー
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Vocal & Guitar:Rei
Bass:KenKen(LIFE IS GROOVE、RIZE、Dragon Ash) / 角田隆太 (ものんくる) / 真船勝博(FLOWER FLOWER)
Drums & Percussion:ASA-CHANG(ASA-CHANG & 巡礼) / 伊藤大地 / HAZE / みどりん (SOIL & "PIMP" SESSIONS)
Keyboards:ちゃんMARI(ゲスの極み乙女。) / 渡辺シュンスケ(Schroeder-Headz)
Marimba & Glocken:加納りな
Sax:後関好宏
Trumpet:村上基(在日ファンク、Gentle Forest Jazz Band)
Trombone:ジェントル久保田(在日ファンク、Gentle Forest Jazz Band)
Flute:武嶋聡
Harp:千賀太郎(MONSTER大陸)
Chorus:マナ、カナ、ユナ(CHAI)
- Rei(レイ)
- 兵庫県伊丹市生まれのシンガーシングライター、ギタリスト。幼少期をアメリカ・ニューヨークで過ごし、4歳よりクラシックギターを始める。5歳でブルースに出会い、さまざまなジャンルの音楽を取り入れたオリジナリティある楽曲の制作を開始した。2015年2月に長岡亮介(ペトロールズ)との共同プロデュースによる1stミニアルバム「BLU」でCDデビュー。2015年11月に2ndミニアルバム「UNO」、2016年9月に3rdミニアルバム「ORB」を発売した。2017年7月にはCDと“MUSIC BOOK”からなる「CRY」、2018年2月にはCDと“MUSIC FILM”からなる「FLY」を発表。11月に満を持してのセルフタイトル作である1stアルバム「REI」をリリースした。これまでに「FUJI ROCK FESTIVAL」「SUMMER SONIC」「SXSW Music Festival」「Les Eurockéennes」など国内外の音楽フェスティバルに出演。また日本人ミュージシャンで初めて、世界的カンファレンス「TED」でライブパフォーマンスを行ったことでも話題を集めた。
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