ナタリー PowerPush - Rayflower
実力派集結のスーパーバンド 3年半ぶりに放つ会心作
職人5人による“バンド感”
──今回のタイミングでRayflowerが手にした“バンド感”について、もう少し詳しく聞かせてもらえますか?
都 例えばみんなで同じ釜の飯を食って生まれるバンド感はもちろんあると思うんですよ。それは自分も経験してきたことだし、全然普通のことだと思う。でも、そうすれば必ずバンド感が出るかっていうとそれはまた微妙で。メンバーそれぞれの生い立ちなんかを知っている仲ではなくっても、音楽でつながって、しっかりとグルーヴが生み出せればそこにバンド感は生まれるんだと思うんです。で、そういうものが今のRayflowerには普通にあると思うんですよね。
田澤 具体的に言うと、演奏をしてるときに今はこの人のパートがガッと前に出てておいしいから、じゃあほかの人は引っ込みいや、みたいなことを思い付くようになったというか。当初はやっぱり職人が5人集まったらどうなるのか、みたいな感覚でやってたんやけど、そこがちょっと変わってきたところなんですよね。
──それぞれのテクニックをぶつけ合うのではなく、全体のバランスをより意識するようになったということなんでしょうね。
田澤 そう。以前はそれぞれの演奏がただただすごいっていう感覚だったから、バランスをどうこうみたいな発想がなかったんですよね。そういう意味ではそれぞれが傍観者だったところもあったんだと思う。
IKUO ああ確かにそういうところはあったかもしれないね。
田澤 でも今はバンドのメンバーとして、バンドとしての音をしっかり見れるようになったというか。そこにバンド感をめっちゃ感じたんですよね。とは言え、誤解を恐れず言うならば、変に暑苦しい感じもメンバー間にはないから、いわゆる普通のバンドよりもクールに接せられる部分もあって。そこはバンドっぽくない部分かもしれないけど、いやでもバンドっぽいぞっていう(笑)。
IKUO 要は、バラバラで活動してるメンバーはそれぞれが社長みたいなもんなんですよ。独立したキャラや方向性を持ってる5人が集まってるっていう。だから安定感よりはドキドキ感のほうが、やる側も見る側も大きい。でも、都さんっていうリーダーがいることでバラバラにはならないし、ちゃんとバンドらしさも出るんですよね。
都 社長たちをまとめるのは、ぶっちゃけ大変じゃないと言えばウソになりますけどね(笑)。
田澤・IKUO あはははは(笑)。
都 まあでもみんな大人なんでね、臨機応変にやってます。プレイヤーとしても濃いメンバーたちのいい部分をうまいこと汲み取っていきたいなってことを考えつつ。
だから3年半に1枚のリリースなんです
──Rayflowerはその成り立ちも含め、非常に珍しいスタンスで動いているバンドと言えそうですよね。
都 そうだと思いますよ。ただね、今回ミックス作業の後に5人で話し合う時間が奇跡的にあったんだけど、そこでメンバーみんながRayflowerに対しての今後をすごく真剣に考えていてくれたことがすごくうれしかったんですよ。正直、バンドというものに対してもう少しクールなのかなって思ってたし、それはそれでいいかなと思ってたんだけど。
──メンバー同士ベタベタした関係性ではないけれど、バンドに対してはみんなが熱い思いをちゃんと持っていたと。
都 そうそう。そこでも僕はすごくバンドっぽさを感じたんですよ。
田澤 今までもバンドとしてひとつにはなってたし、そこに面白さは感じていたけど、みんなどう思ってるんやろうって、みんながみんな思ってたと思う。でも、今回のミーティングで熱い思いが聞けたんでね、先がすごく見えた気がします。
都 うん。ちょうど新しい音源ができあがったタイミングでそういう確認ができたんで、Rayflowerはここからだなってすごく思えたんですよね。
──そういったお話を聞いていると、すごく長いスパンで活動を続けられるバンドのような気もしてきます。
IKUO そうなんですよ! 僕もすごくそう思うんですよね。
都 だから3年半に1枚のリリースなんです(笑)。
田澤 それくらいが一番ええんかな? いやいやヤバいっすよ、それは!(笑)
都 そうやな。オリンピックに近い感じやもんな(笑)。
──リスナーももうちょっと早く聴きたいと思っているはずですから。
都 もうちょっと早くね(笑)。でも今回のレコーディングはすごく楽しかったし、新たな発見もたくさんあったから、ここから先も自分らがいいと思うものをいい形で届けていきたいなって思ってます。
まさに“歌詞職人”やね
──今回のミニアルバムには、“自己愛”をテーマにした楽曲が並んでいますよね。
田澤 そうですね。「Border Line」という曲だけがあった段階で「自己愛」というテーマが出てきて。そのテーマで俺はあと4曲の歌詞を書くことができるのかなって考えたときに、「いけるな」って思ったんです。だって、言ってしまえばなんだって自己愛に結び付けられるわけですよ。歌詞を書くという行為だってそうやし、「愛してる」って人に言うことでさえも、それはもしかしたら自分のためかもしれないわけで。誰にでも当てはまる、間口の広いテーマだなと思ったんですよね。
──ストレートに言葉がつづられているので、聴いているとハッとさせられる瞬間が何度もありました。
田澤 今回は自分の中での挑戦として、歌詞の中でかなりはっきりと思いを言ったんですよね。曲のテイストからするともうちょっと難しい言葉を選んだほうがいいのかもなっていう気持ちもあったから、かなり度胸がいる挑戦やったんですけど。
──確かにRayflowerの楽曲が持っているサウンドスケープからすると、フィクション的要素のある耽美な世界観が似合う感じですもんね。
田澤 そうそう。でも、そういう書き方をせず、物事をはっきり描いたことで、何を歌っているかがめっちゃ入ってきやすい仕上がりにはなったと思うんですよね。
都 うんうん。聴いてると歌がめっちゃ入ってくるね。僕的にはもう、どストライクな歌詞でしたよ。
IKUO 同じく、僕も。歌詞職人だと思いました(笑)。
田澤 菓子職人? パティシエ? あざっす!(笑)
都 このアルバムは「Narcissus」というタイトルですけど、曲が伝えようとしてることは、決して俺らがナルシストっていうことではないんですよ。むしろ逆。そういう視点も面白いんですよ。まさに歌詞職人やね(笑)。
収録曲
- Border Line
- Make A Judgment
- Garbera
- NIGHT SHADE
- Words Of The Wise Man ~時の贈り物~
- libra【Rayflower ver.】
Rayflower(れいふらわー)
SOPHIAの都啓一(Key)、ZIGZOのSakura(Dr)、DUSTAR-3のYUKI(G)、BULL ZEICHEN 88のIKUO(B)、元Waiveの田澤孝介(Vo)の5人により、2010年春放送のテレビアニメ「裏切りは僕の名前を知っている」のオープニング&エンディングテーマのために結成されたバンド。2010年5月に1stシングル「裏切りのない世界まで / 蒼い糸」、同年8月に2ndシングル「イニシエ / 絆」を立て続けに発表し、同年9月には初のミニアルバム「Flower Language」をリリースした。2014年2月、およそ3年5カ月ぶりの新作となる2ndミニアルバム「Narcissus」を発表。3月には東名阪3都市を回るバンド初のライブツアー「Rayflower LIVE TOUR 2014」を行う。