ナタリー PowerPush - ポルノグラフィティ
ポルノグラフィティ15年の軌跡
今年9月8日にメジャーデビュー丸14年を迎え、15年目へと突入したポルノグラフィティ。シングル「青春花道」「東京デスティニー」の2カ月連続シングルリリースに続き、これまでのシングル曲を全網羅した3枚組全シングル収録のベスト盤「PORNOGRAFFITTI 15th Anniversary"ALL TIME SINGLES"」が間もなく到着する。
それを記念し、ナタリーでは岡野昭仁と新藤晴一の2人にインタビューを実施。ベストの内容をなぞりながら、15年という輝かしい歴史をたっぷりと振り返ってもらうことにした。
取材・文 / もりひでゆき
15年目という節目には大きな意味がある
──15周年イヤーに突入した今のお気持ちから聞かせてください。
岡野昭仁(Vo) こういった取材もそうですけど、いろんなことを振り返るタイミングではありますよね。15年はあっという間の時間でしたけど、細かく見ていくとやっぱりよかったことも、反省することも、いろんなエピソードがある。そういったことを改めて思い出すのは、これからの自分たちにとっても役に立つんじゃないかなって気がします。例えば「音のない森」(2003年リリース)なんかは、よくあのタイミングであんなわがままを通してもらったもんだな、みたいなことを思ったりもするし(笑)。
──あの曲はシングルとして初めて昭仁さんが作詞・作曲したものでしたよね。
岡野 あの曲をシングルにすること自体もそうだったしノンプロモーションでリリースしたっていうこともそう。そんな試みをデビューからまだ4年しか経っていない大事な時期によくやらせてくれたなって今はすごく思うんですよね。まあ、その思い切りのよさは今思うとそれはそれでよかった気はしますけど(笑)。
──晴一さんはいかがですか?
新藤晴一(G) 10年でもなく20年でもなく15年ってところが中途半端だなとは思いますね(笑)。数字としてもそうだけど自分たちの立ち位置としてもそう。若手とはもちろん言えないし中堅からベテランになる時期だろうけど、決して大御所と呼ばれる感じではないっていう。だからまだ中途半端って表現になっちゃうかな、やっぱり。
──なるほど。とはいえ今回のベストアルバムを聴かせていただくと、そこに刻まれている濃密な歴史を感じることはできます。
岡野 そうですね。きっと僕らの初期の曲を知らない若い人たちもたくさんいると思うんですよ。そう考えると15年の歴史は感じます。このベストを通してまた間口が広がって僕らに興味を持ってくれる人が増えるかもしれないわけですから、やっぱりこういった作品がリリースできる15年目という節目には大きな意味があると思います。
あのときの達成感はあとにも先にもないくらい大きい
──今回の作品の面白いところは時系列で楽曲が並べられつつも、ディスクごとにバンドとしてのターニングポイントがしっかり見えているところですね。
岡野 これがね、たまたまなんですよ(笑)。全収録曲を均等に3枚に分けてみたら不思議なんだけどそうなったっていう。
新藤 うん。1枚目が3人時代、メンバーにTama(B)がいたときですよね。2枚目がプロデューサーであった本間(昭光)さんの楽曲がメイン。で、3枚目が俺と昭仁2人の楽曲だけで構成されているっていう。たまたまそういうことになったんだけど、でもそこにはきっと必然というかね、何かの意味があるんだろうと思ったのでディスクを“Episode”という呼び方にしたんです。
──今回はその“Episode”ごとにお話を伺って、その時代が持つ意味を紐解いていきたいと思います。まずは初期の楽曲が詰まった“EpisodeI(DISC1)”から。
岡野 とにかくデビュー曲である「アポロ」(1999年リリース)でのスタートダッシュがあまりにもよかったので、その状況が非常にうれしかったというのがまずありましたよね。メジャーで売れたいという気持ちが僕らは強かったので、それが早々に達成できたわけですから。あのときに感じた達成感は人生においてあとにも先にもないくらい大きなものでした。で、そのまま最初の5年間は突っ走った感じで。
──いきなりヒットに恵まれたからこその戸惑いや不安、迷いみたいなものはなかったですか?
岡野 それはもちろんありましたよ。そもそもメンバー自身で書いていない楽曲でのデビューだったので、そこへのコンプレックスがまずありました。当時の自分らとしては少なからず本意ではないところもあったので。
新藤 とはいえ「アゲハ蝶」(2001年リリース)くらいまでは迷いなくやっていたと思うんです。でも、だんだんと「ヴォイス」(2001年リリース)のような内面的なバラードでヒット曲を出したいという欲が出てきた。その上で変拍子の入ったゴリゴリの「渦」(2003年リリース)や、さっき出た「音のない森」のような曲をあえてリリースすることでヒット曲に対する疑問を呈してみたりもして。
──早い段階からいろんなトライをしながら果敢に攻めている印象はありますね。
新藤 でも一方では「メリッサ」や「愛が呼ぶほうへ」(共に2003年リリース)のような、そのときのポルノの立ち位置で求められているものをしっかり出していきたい気持ちもあった。そこから外れた曲ばかりになっていったわけじゃないですからね。
──ポルノの王道的な曲を踏まえつつのトライですよね。
新藤 そうそう。要はね、その踏ん切りの悪さも含めて(笑)、いっぱい迷ってた時期ではあったなとは思いますね。
岡野 そういう山あり谷ありみたいなところはきっとこの先もあると思うんです。確固たるものができあがって、気持ちがまったく揺らがなくなるのが一番いいことなのかもしれないけど、僕らにとってはその迷いとか悩みが楽曲の多様性みたいなことに言い換えられる部分もあって。そう考えると、それはそれでアリなのかなとも今は思うんですよね。
- ベストアルバム「PORNOGRAFFITTI 15th Anniversary“ALL TIME SINGLES”」2013年11月20日発売 / SME Records
- 初回限定盤 [3CD+DVD] 4500円 / SECL-1431~4
- 初回限定盤 [3CD+DVD] 4500円 / SECL-1431~4
- 通常盤 [3CD] 3900円 / SECL-1435~7
CD収録曲
DISC 1
- アポロ
- ヒトリノ夜
- ミュージック・アワー
- サウダージ
- サボテン
- アゲハ蝶
- ヴォイス
- 幸せについて本気出して考えてみた
- Mugen
- 渦
- 音のない森
- メリッサ
- 愛が呼ぶほうへ
- ラック
DISC 2
- シスター
- 黄昏ロマンス
- ネオメロドラマティック
- ROLL
- NaNaNa サマーガール
- ジョバイロ
- DON'T CALL ME CRAZY
- ハネウマライダー
- Winding Road
- リンク
- あなたがここにいたら
- 痛い立ち位置
- ギフト
- Love,too Death,too
DISC 3
- 今宵、月が見えずとも
- この胸を、愛を射よ
- アニマロッサ
- 瞳の奥をのぞかせて
- 君は100%
- EXIT
- ワンモアタイム
- ゆきのいろ
- 2012Spark
- カゲボウシ
- 瞬く星の下で
- 青春花道
- 東京デスティニー
- ひとひら
初回限定盤DVD収録内容
- 青春花道 Video Clip
- 東京デスティニー Video Clip
- ALL TIME SINGLES CM COLLECTION
ポルノグラフィティ
岡野昭仁(Vo)と新藤晴一(G)からなるロックバンド。1999年9月にシングル「アポロ」でメジャーデビューを果たす。2000年7月のシングル「ミュージック・アワー」がポカリスエットCMソングに起用され、大ヒットを記録。続く「サウダージ」は初のミリオンセールスとなり、一躍トップアーティストの仲間入りを果たす。その後も「アゲハ蝶」「幸せについて本気出して考えてみた」「メリッサ」などヒット曲を連発させる。2013年9、10月には「青春花道」「東京デスティニー」と立て続けに新曲をリリースしデビュー15周年イヤーに突入。同年11月には全シングル収録のベスト盤「PORNOGRAFFITTI 15th Anniversary“ALL TIME SINGLES”」をリリースする。