ナタリー PowerPush - Perfume

またひとつ夢が実現「未来のミュージアム」

Perfumeのニューシングル「未来のミュージアム」はインディーズ時代の彼女たちを彷彿とさせるキュートなラウンジポップ。この曲は「映画ドラえもん のび太のひみつ道具博物館(ミュージアム)」の主題歌として書き下ろされたもので、アニメの世界観に寄り添ったポップで親しみやすい楽曲に仕上がっている。

今回の特集ではこのシングルについてPerfumeの3人にインタビューを実施。さらに昨年4都市で行い大成功を収めた初の海外ツアー「Perfume WORLD TOUR 1st」についても振り返ってもらった。

取材・文 / 橋本尚平 撮影 / 井出眞諭

完成したのを観たときはみんなで「フゥーッ!」って

──「未来のミュージアム」は「ドラえもん」にピッタリのかわいい曲になりましたね。

左から、かしゆか、あ~ちゃん、のっち。

のっち そうですね。中田(ヤスタカ)さんが自ら「ドラえもん」の打ち合わせに赴いてこの曲を書いたそうです。

かしゆか 「こういう映画になるので、こんな感じの主題歌を書いていただきたいです」みたいな打ち合わせが最初にあったらしいんですけど、「中田さんがわざわざ打ち合わせに来たんだよ!」ってスタッフさんが言ってて、「あ、普段行かないんだ」ってビックリしました(笑)。自分から出向くくらいものすごく「ドラえもん」が好きみたいなので、そんな中田さんの「ドラえもん」のイメージが詰まった曲になってると思います。

あ~ちゃん ファンシーでかわいらしい曲だったので「なるほど中田さん、寄せた感じですね♪」「了解です! 私たち『ドラえもん』に染まります」ってワクワクしながら受けとめた感じでした。

──前作「Spending all my time」から、また一気に雰囲気が変わったなと思いました。

のっち ギャップが激しいですよね。でも振れ幅が広がってよかったなって思いました。ライブのときに同じような曲が並んじゃったりすると「もっと緩急つけて盛り上げたいな」って思うので、いろんなタイプの曲を作っていただけるのはうれしいです。

かしゆか 最初に聴いたときはまだ曲の基本の部分しかできてなかったから、「ドラえもん」の主題歌になるからってこんなにかわいい曲でいいのかなって、そこまで行っちゃって大丈夫かなっていう心配があったんです。でもできあがったら、しっかり低音が入ってるし、間奏で遊んでるし、展開に細かい変化があるし、歌だけ聴くとすごくかわいい曲なんだけどちゃんと大人も楽しめる曲になったと思いました。あとはジャケットとかPVでバランスが取れたなって思います。

あ~ちゃん 子供たちに興味を持ってほしい、なおかつ、いつも応援してくれてるファンの方にも楽しんでもらいたい、そういう気持ちがジャケットやPVにも表れてます。PVは「Spring of Life」「Spending all my time」と同じく田中(裕介)監督が撮ってくれたんですけど、未来から送られてくるアンドロイドが「Spring of Life」のときの衣装だったり、敵を倒すシーンでのゆかちゃんの攻撃が「Spending all my time」で積み木をバーンってやる超能力だったり、いろいろ小ネタが挟まれてるんです。完成したのを観たときは「フゥーッ!」って言って、みんなで拍手喝采しましたね。

男の子が動きだけで感情を表現しててビックリ

──過去のPVとはテイストが違うので、撮影も今までとは違った苦労がありそうですね。

かしゆか 今回はほとんどがアニメなので撮影自体は大変じゃなかったです! 私たちが出るシーンはグリーンバックで撮影したので「ここにこういうキャラクターが出てくるのでこうリアクションしてください」みたいに、そこにないものを想像しながら動かなきゃいけなかったのが苦労しました。「リアクションおっきく」って言われて、やってみたら「でもそれはちょっとやりすぎ」みたいな(笑)。その点、男の子の役の人はすごく演技が上手で、絶妙なんですよ。

あ~ちゃん すごかったね。スタントマンの人で、それを職業にされてるプロの方だから、できて当たり前なんでしょうし「すごい」なんて言うのも本当はちょっと失礼なんだと思うんですけど……(笑)。被り物をしていて顔の表情を変えられないのに、動きだけで感情を表現するんですよ。「驚いてる感じで」って言われたら、自分から「飛んだりとかするのは違いますかね?」って提案してて、本当に驚いてるように演技して。「うわ、めっちゃ驚いてる!」ってビックリしました。

──確かに難しそう。

あ~ちゃん 自分たちは表情とかいろんな方法で表現できるのに「これじゃないな」って何度か撮り直しさせてもらうこともある。でも、ジェスチャーしかできない人が一発OKで表現してるのを見て、「いや、プロなんじゃけん私もそれくらいできんといけん!」と自分に喝を入れました(笑)。

ニューシングル「未来のミュージアム」 / 2013年2月27日発売 / UNIVERSAL J
「初回限定盤」[CD+DVD] / 1500円 / UPCP-9003
「通常盤」[CD] / 1000円 / UPCP-5003
CD収録曲
  1. 未来のミュージアム
  2. だいじょばない
  3. 未来のミュージアム -Original Instrumental-
  4. だいじょばない -Original Instrumental-
初回限定盤DVD収録内容
  • 未来のミュージアム -Video Clip-
Perfume(ぱふゅーむ)

プロフィール画像

かしゆか(樫野有香) 、のっち(大本彩乃)、あ~ちゃん(西脇綾香)により2000年に広島で結成。2003年に活動拠点を東京に移してからは、プロデューサーにcapsuleの中田ヤスタカを迎え、インディーズレーベルで精力的に活動を開始。2005年にシングル「リニアモーターガール」でメジャーデビューを果たし、近未来的な世界観のサウンドとダンスで耳の肥えた音楽ファンの間でも高い評価を獲得する。2007年に「NHK環境・リサイクルキャンペーン」テレビCMに出演し、CMソング「ポリリズム」が大ヒット。テクノポップブームの火付け役となり、2008年には日本武道館、2010年には東京ドームでのワンマンライブを成功させる。2011年にはピクサー映画「カーズ2」の挿入歌&日本語吹き替え版エンディングテーマに、アメリカのスタッフによる指名で「ポリリズム」が抜擢。2012年にユニバーサルJに移籍してアルバム「JPN」のiTunes Store世界配信を実施し、同年4月に「キリンチューハイ 氷結」のCMソング「Spring of Life」のCDシングルをリリースする。10月にアジア4カ国で行われた初の海外ツアーは大成功のうち終了。2013年2月には「映画ドラえもん のび太のひみつ道具博物館(ミュージアム)」の主題歌「未来のミュージアム」をCDシングルとしてリリースする。