音楽ナタリー Power Push - PENGUIN RESEARCH

不確かな未来を照らす「スポットライト」

これまで数多くのアニメ / ゲームソングを手がけてきた作編曲家・堀江晶太率いるPENGUIN RESEARCHが、メジャー第2弾シングル「スポットライト」をリリースした。

表題曲はアニメ「マギ シンドバッドの冒険」のオープニングテーマに採用されている、爽快感のあるピアノロック。カップリングには“男子校ノリ”の青春パンク「boyhood」と、切なくも温かいポップチューン「八月の流星」が収録されている。今年3月に行われた初ワンマンライブ、そして4月の初ワンマンツアーで得たものを詰め込んだというこのシングルについて5人に話を聞いた。

取材・文 / 須藤輝 撮影 / 後藤倫人

手探りでも前に進める可能性があると信じたい

──ニューシングルの表題曲「スポットライト」は、実はバンドを結成するにあたって最初に作った曲なんですよね?

PENGUIN RESEARCH

堀江晶太(B) そうです。仮の曲名も、1番目のデモということで「デモ1」だったんですよ。ですから当然タイアップも何も想定しないで作った曲なんですけど、縁あってアニメの制作の方に聴いていただく機会があって、「マギ シンドバッドの冒険」のオープニングテーマに採用していただきました。

──「マギ シンドバッドの冒険」は王道の冒険アニメですが、その世界観に「スポットライト」の歌詞も曲調もよくマッチしていますね。歌詞については、タイアップが決まってから書き換えたりしたんですか?

堀江 はい。と言っても、細かい言い回しをほんの2、3カ所直す程度でしたね。物語のテーマ自体は曲とリンクしていたので、そういう意味でも縁があったのかなと。そうやってアニメの雰囲気や世界観を汲んだ上で、音はボーカルから楽器からすべてレコーディングし直して、ブラッシュアップして今の形になりました。

──「スポットライト」は最初に作った曲ということで、バンドのひな形でもあると思われます。それが、今言ったように冒険を想起させる、前向きな曲になっているわけですが、どんな気持ちで書かれたんですか?

堀江 やっぱり最初は不安が大きかったので、ある種自分自身を勇気付けるというか、不確かな未来の中にも希望があると、手探りでも前に進める可能性があると信じたくて。この曲は、ふとした瞬間に雲間から射す朝焼けの光をスポットライトに見立てているんですね。その光は別に誰を照らすものでもないんだけど、仮に自分を照らしているように思えたら、少し救われるんじゃないかっていうイメージで。

生田鷹司(Vo) 高知で保育士をしてた僕が上京してきて、初めて晶太からこの曲を「デモ1」としてもらったとき、まず歌詞にものすごい重みを感じたんですよね。例えば歌い出しの「今日を生き抜くのは そんなに簡単じゃない」からぶん殴られたような気分になって。今までの自分の生き方を反省したというか、惰性で生きるのと、必死に何かをつかもうとして生きるのとは全然違うんだって気付かされましたね。

神田ジョン(G) 僕はPENGUIN RESEARCHを結成する前から、晶太くんがほかのアーティストさんに提供した曲のギターをよく弾いてたんですけど、「スポットライト」を初めて聴いたときに「ああ、すごい晶太くんらしい曲だな」って思ったんですよ。と同時に、彼が楽曲提供という形ではなく、バンドとして「こういう音楽がやりたい」っていう意思も伝わってきました。

ピアノの弾きすぎで調律が狂ってレコーディング中止

──「スポットライト」は、PENGUIN RESEARCHの曲の中では相対的に体温を感じるような音作りをされていますよね。

堀江 リリースに際して録り直してはいるんですけど、「デモ1」のときから音作りの方針は変わってなくて。僕はもともと1人で、DTMソフトで音楽を作っていた人間なので、それとはまた違うこともしてみたいなって。なので、基本的にバンドメンバーによって演奏される、人の血が通った音にしたかったんです。そこに乗せる詞に関しても、自分の思ってることだけをそのまま抽出した生の言葉にしようと。

  • 堀江晶太(B)
  • 堀江晶太(B)

新保恵大(Dr) 前回のインタビュー(参照:PENGUIN RESEARCH「WILL」インタビュー)で、僕とキーボードの洋輔だけはオーディションを経てバンドに加入したっていう話をしたと思うんですけど、そのオーディションを受けるにあたって晶太くんから渡されたデモが「スポットライト」だったんです。で、聴いた瞬間に「これは絶対にバンドでやりたい!」って思ったし、実際ライブで演奏しててもグッと来る、思い入れの強い曲ですね。

──そのインタビューで、堀江さんはベーシストでありながら、ご自身のイメージを一番伝えられる楽器はピアノだとおっしゃっていました。バンドにとって最初の曲である「スポットライト」では、そのピアノが大きくフィーチャーされていますね。

柴崎洋輔(Key) プレッシャーでしたね(笑)。この曲はピアノが主役と言ってもおかしくないので、かなり気合いを入れて、満足いくまで何回も録り直して。結局4~5回スタジオに入ってるので、弾いた時間は何十時間にもおよんだんですよ。1日目は弾きすぎて、ピアノの調律が狂ってしまってレコーディングが中止になった事件も……。

居残り状態でボーカル録り

神田 ボーカルも大変だったよね。

生田 「スポットライト」は一番苦労したかも……。

堀江 スケジュール通りに歌録りが終わらなくて、カップリング曲の「boyhood」の楽器録りの日にずれ込んだもんね。みんなで「boyhood」をレコーディングしてるスタジオの別の部屋で、鷹司1人だけで歌を録ってもらって。

──そんな居残り補習みたいなことに……。

堀江 もっと言えば、バンド結成当初は「今日はもうやめとこうか」「一旦持ち帰って考えてみて」みたいなこともいっぱいあったんですよ。でも、最近はイメージの共有もできてきて。

神田 レコーディング中に何か言われるのがずいぶん減ったよね、鷹司は。

生田 以前は自分の中で歌詞を噛み砕けてない部分があったというか、歌詞と歌がリンクしなくて、自分でも歌に深みがないと感じることがあったんですよね。「スポットライト」に関しても、ライブを重ねて、あるいはスタジオで何回も録り直すたびに徐々に消化できて、やっと歌えました。

──今年3月にリリースされたミニアルバム「WILL」の収録曲に比べると、いい感じに肩の力が抜けた歌い方になっている印象です。色で言えば暖色系の曲に、ふわっと歌が乗っているなと。

堀江 レコーディングの方針として、もっと気を張って、緊張感を持って録るという選択もあったんです。でも、この曲はハーモニーを重視した曲でもあるので、ボーカルの圧力で攻めるのではなく、自然体で出てくる音をきれいに重ねたいなと。あと、爽快感と同時にどこか儚い感じが欲しくて、その両方のバランスが一番いい音はどこか、吟味しながら録りました。

ニューシングル「スポットライト」 / 2016年6月8日発売 / SME Records
期間生産限定アニメ盤 [CD+DVD] / 1600円 / SECL-1912~3
通常盤 [CD] / 1300円 / SECL-1911
CD収録曲
  1. スポットライト
  2. boyhood
  3. 八月の流星
  4. スポットライト(instrumental)
期間生産限定アニメ盤 DVD収録内容
  • スポットライト
  • TVアニメ「マギ シンドバッドの冒険」ノンクレジットOP映像
ALL OFF presents「Never Gave Up Release Tour!!」
2016年6月26日(日)東京都 LIQUIDROOM
出演者 ALL OFF / SCREEN mode / PENGUIN RESEARCH / BACK-ON / Fo’xTails
SEIZE THE DAY presents「今を生きる vol.0 powered by BARKS」
2016年6月27日(月)東京都 TSUTAYA O-WEST
出演者 SEIZE THE DAY / LASTGASP / PENGUIN RESEARCH
Penguin Go a Road 2016 ~東奔西走腹滑り~
2016年9月3日(土)愛知県 池下CLUB UPSET
2016年9月19日(月・祝)大阪府 梅田Zeela
2016年9月22日(木・祝)東京都 吉祥寺CLUB SEATA
PENGUIN RESEARCH(ペンギンリサーチ)

PENGUIN RESEARCH

生田鷹司(Vo)、堀江晶太(B)、神田ジョン(G)、新保恵大(Dr)、柴崎洋輔(Key)からなるロックバンド。LiSA、茅原実里、ベイビーレイズJAPANらの楽曲の作編曲を手がける堀江が生田に声をかけ2015年に結成される。2016年1月にシングル「ジョーカーに宜しく」でメジャーデビューを果たし、3月に初のワンマンライブを東京・新代田FEVERにて開催した。3月には6曲入りミニアルバム「WILL」をリリース。6月にアニメ「マギ シンドバッドの冒険」のオープニングテーマ「スポットライト」を収録したシングルを発表する。