音楽ナタリー Power Push - PENGUIN RESEARCH

不確かな未来を照らす「スポットライト」

このままじゃ寂しすぎて、最後に歌詞を追加した

──「八月の流星」は、個人的にギターの音色がすごく好きなんですよね。特にサビに入る前のブレイクの部分が。

神田 僕もなんですよ(笑)。「八月の流星」のギターはもともと僕の家で宅録したデータを、ミックスのときにリアンプしたものです。で、この曲の“流星”感を出すために、ギターのディレイにすごいこだわって録ったんですよ。僕は本来そういうプレイが得意だし好きなんで、自分らしいギターが弾けたなと思うし、合間に入ってくるフレーズなんかも込みで超お気に入りですね。

  • 神田ジョン(G)
  • 神田ジョン(G)

堀江 それが上のほうで鳴ってるようにミックスしてるんですよ。星がキラキラしてる感じを出したくて。

──加えて、“夏”感もありますね。

新保 今思い出したんですけど、この曲の歌詞は、レコーディングのときまで最後の2行がなかったんです。

堀江 そうだ。当初はラスサビまでで仕上げてたんだけど、それではあまりにも自分が寂しくなっちゃって、曲の最後に急遽Aメロを追加したんですよ。

新保 この2行が加わったことで、救われる。

──確かにこれがあるとないとではまったく印象が変わりますね。

神田 「えっ! まだ先があるの!?」みたいな(笑)。

結局、バンドとして発信すべきことは変わらない

──前回のインタビューの最後に、堀江さんは今年3月の初ワンマンライブのあと、バンドのメッセージが想像以上にお客さんに響いていたことに驚いたとおっしゃっていました。

堀江 はい。

──で、今後そういうお客さんに対して自分たちは何ができるのか、それを判断する材料を4月の愛知と大阪のワンマンツアーで集めたいと。ツアーを終えてみて、材料は集まりました?

堀江 おっしゃる通りツアーをして、その間に新曲の「boyhood」も書いて、バンドとして何を発信していくか、現時点で自分なりに出した答えが今回のシングルだと思っています。結局、ライブを重ねて感じたのは、よりたくさんの人が聴いてくれるといっても、発信すべきものは一緒だということなんですね。自分の身の丈以上のことは言うべきではないし、本心から思ってることじゃないと言っても響かない。だから1周回って、今まで通り自分が好きなものや信じてることを、惜しまずにそのまま提示していくことが正しいんだなと。

──ほかの皆さんは、初のツアーを終えてみて、何か変わったことはありましたか?

新保 3月の初ワンマンで、PENGUIN RESEARCHは結成から約1年経ってようやく「バンド」になれたとメンバー全員が実感した……というのは前回お話しした通りなんですけど、その一方で、僕はそれがまぐれだったんじゃないかって、不安でもあったんです。でも、4月のツアーではその不安を払拭できたというか、僕らはバンドとしてがっちり固まっているという確信が得られて、それは大きな収穫でしたね。

  • 新保恵大(Dr)
  • 新保恵大(Dr)

神田 自分たちのライブ映像を観て思ったんですけど、僕らの持ち味って、熱量なんじゃないかって。それは5人全員が根っこの部分で共通して持ってるもので、最初の頃はパフォーマンスの見せ方とかでいろいろ悩んだりもしたけど、結局みんなの熱を包み隠さずぶつけるスタイルが、一番PENGUIN RESEARCHっぽいなと。とにかくライブで「こいつら無闇に熱いな!」みたいにお客さんに感じてもらえるバンドでありたいですね。

柴崎 僕は単純に、バンドでいる時間が好きになりました。

神田 洋輔はいつも楽しそうだよね。

柴崎 最初の頃は、僕は一番年下だし、音楽歴もほかの人と比べたら浅いし……でもがんばんなきゃって気を張ってたところがあったんですね。でも、ワンマンを経てバンドになったときから、この先PENGUIN RESEARCHがより大きなステージに行くにはどうしたらいいかなとか、バンドの行く末を考えるのが楽しくて。

──最後に、生田さんは?

生田 僕はですね、1つ反省点が見つかったというか、いつもMCでは自分の思ったことを素直に口に出すようにしてるんですけど、それが独りよがりな言葉になっている瞬間があることに気付いたんです。僕がこうしてステージに立ててるのは、いろんな人が支えてくれているからであって、その人たちに対する感謝の気持ちを絶対に忘れてはいけないなと、改めて感じました。

友達募集中です

──直近の活動として、6月26日と27日に“お呼ばれ”のライブがありますね。

新保 いろんなバンドのファンの前で演奏することになるんですけど、その中でPENGUIN RESEARCHがどこまでインパクトを与えられるかっていうのが今後の課題でもあり、楽しみでもあるところですね。

──PENGUIN RESEARCHサイドで対バンを企画したりは?

堀江 それがですね、僕らはバンドの友達がいないんですよ。

一同 (笑)。

堀江 メンバーの出自がバラバラで、生粋のバンドマンも神田さんくらいだったんで、バンドの知り合いもいないし。

堀江 vivid undressさんという、下北沢を拠点に活動してる女性ボーカルのバンドと仲よくしてて、「お互いに切磋琢磨していきたいね」なんて話したりするんですけどね。対バンしたい、片思いしてるバンドはたくさんいるんです。

──この場でラブコールを送ってみては?

堀江 ぜひ! まずfhánaさん、サイダーガールさん。

神田 UNISON SQUARE GARDENさん。あと、名古屋のQaijffさんも。

──fhánaさんは、音楽性は異なるものの、音作りの緻密さみたいなところでPENGUIN RESEARCHと通じる部分がありますね。

堀江 個人的にすごい好きなんです。ポップスとしてもレベルが高いし、メッセージソングとしても響くし。いつかやってみたいですね。

神田 僕はfhánaさん、Qaijffさん、PENGUIN RESEARCHのスリーマンやりたい!

堀江 ほんとに僕ら、友達がいないので、ぜひよろしくお願いします。友達募集中です。

PENGUIN RESEARCH
ニューシングル「スポットライト」 / 2016年6月8日発売 / SME Records
期間生産限定アニメ盤 [CD+DVD] / 1600円 / SECL-1912~3
通常盤 [CD] / 1300円 / SECL-1911
CD収録曲
  1. スポットライト
  2. boyhood
  3. 八月の流星
  4. スポットライト(instrumental)
期間生産限定アニメ盤 DVD収録内容
  • スポットライト
  • TVアニメ「マギ シンドバッドの冒険」ノンクレジットOP映像
ALL OFF presents「Never Gave Up Release Tour!!」
2016年6月26日(日)東京都 LIQUIDROOM
出演者 ALL OFF / SCREEN mode / PENGUIN RESEARCH / BACK-ON / Fo’xTails
SEIZE THE DAY presents「今を生きる vol.0 powered by BARKS」
2016年6月27日(月)東京都 TSUTAYA O-WEST
出演者 SEIZE THE DAY / LASTGASP / PENGUIN RESEARCH
Penguin Go a Road 2016 ~東奔西走腹滑り~
2016年9月3日(土)愛知県 池下CLUB UPSET
2016年9月19日(月・祝)大阪府 梅田Zeela
2016年9月22日(木・祝)東京都 吉祥寺CLUB SEATA
PENGUIN RESEARCH(ペンギンリサーチ)

PENGUIN RESEARCH

生田鷹司(Vo)、堀江晶太(B)、神田ジョン(G)、新保恵大(Dr)、柴崎洋輔(Key)からなるロックバンド。LiSA、茅原実里、ベイビーレイズJAPANらの楽曲の作編曲を手がける堀江が生田に声をかけ2015年に結成される。2016年1月にシングル「ジョーカーに宜しく」でメジャーデビューを果たし、3月に初のワンマンライブを東京・新代田FEVERにて開催した。3月には6曲入りミニアルバム「WILL」をリリース。6月にアニメ「マギ シンドバッドの冒険」のオープニングテーマ「スポットライト」を収録したシングルを発表する。